LIBORは国境を越えた融資や債券の金利として利用されており、金融のグローバリゼーションを象徴していた。円、ドル、ユーロなどの通貨について、日米欧はいうまでもなく、アジアや、アフリカなどでも、同じ仕様の指標金利が使われていた。いわば金利の国際標準だった。 その国際標準の指標がなくなると、米国はSOFR(担保付翌日物調達金利)、欧州はESTER(ユーロ短期金利)、日本はTONA(東京無担保コール翌日物平均金利)などと、指標は通貨ごとにばらばらになる。算出方法も算出時間も異なるようになり、経済効率が落ちる。国境の壁を取り除いて国際的な動きを促そうとしてきた金融グローバリゼーション後退への大きな転機となる
2015年8月3日、トム・ヘイズが一連の不正操作をめぐり個人で初の有罪判決を受けた[15]。2016年5月25日、米商品先物取引委員会がシティグループに合計4億2500万ドルの罰金を課すと発表した[16]。この2日前には、ニューヨークの第2巡回区連邦控訴裁判所でシティ他、バンカメ、JPモルガンなどメガバンク16行に対して、LIBOR不正操作による反トラスト法訴訟が受理されている[17]。翌6月にイギリスの欧州連合離脱が実現する事態となった。12月、スイス公取委がバークレイズを皮ぎりとした4年にわたる調査を経てJPモルガンを筆頭に彼ら金利カルテルへ罰金を言い渡した[18]。ブリュッセル当局も、HSBC、JPモルガン、クレディ・アグリコルに対し、5年の調査を経て罰金を課した[19]。これら三行は2014年5月から欧州委員会から法令違反を通告されていた[20]。
こうした不祥事の連続をうけて、16兆ドル規模の米国債市場における不正操作にアメリカ司法省がメスを入れようとしている。ドナルド・トランプ大統領には試練となる。関係者筋によると、2017年5月上旬、UBS、BNPパリバ、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド、モルガン・スタンレーは、捜査が2年前から続いていることの分かる召喚状を受け取った。[21]
^ 日経新聞電子版 欧州委、制裁金2400億円 LIBOR不正で 2013/12/5
^ AFP LIBOR不正操作、英元トレーダーに禁錮14年 2015年8月4日
^ 日経新聞電子版 米シティグループに罰金470億円 不正操作企て巡りCFTC 2016/5/26
^ WSJ電子版 「LIBOR不正操作めぐる訴訟、銀行業績への影響は」 By John Carney 2016年5月25日
^ ロイター Swiss watchdog fines banks almost $100 million over rate cartels
^ ガーディアン HSBC, JP Morgan and Crédit Agricole fined €485m by EU 7 December 2016
^ ロイター EU、JPモルガンなど3社を金利指標操作で処罰へ=関係筋 2016年11月16日
^ フィナンシャル・タイムズ "Treasuries probe shapes up to be test for White House", May 15, 2017 by: David J Lynch in Washington and Joe Rennison and Alexandra Scaggs in New York
^ http://www.bbalibor.com/news-releases/bba-reports-findings-of-libor-reform-consultation
^ http://www.bbalibor.com/explained/faqs
国、米国債保有額、3月前月比(単位、10億ドル)
日本(Japan) 1271.7 +3.4
中国(China, Mainland) 1081.6-10.7
英国(United Kingdom) 395.3-7.9
アイルランド(Ireland) 271.5-11.2
ブラジル(Brazil) 264.4-21.5
ルクセンブルク(Luxembourg) 246.1-14.7
香港(Hong Kong) 245.3-4.5
スイス(Switzerland) 244.6 +0.9
ケイマン諸島(Cayman Islands) 207.2-12.2
ベルギー(Belgium) 206.1-11.9