「今のままの国のシステムだったら、誰が首相になろうと、どこの党が政権を獲ろうと今の政権のように迷走します。国の統治機構をいじれるのは政治家のみ、国会議員のみ。政策の中身より、政治が機能するシステム作りをまずやらなければなりません。 」橋下徹大阪府知事
日本の議会政治が機能しなくなったのは、近衛文麿の頃からずっと続いている。日本の舵取りは三次にわたる近衛内閣を通じて議会から遊離し、長年議会は追認の機関となりはてている。陸軍→旧内務省→旧大蔵省→財務省OBへと議会の外に置かれているこの仕組みは、ナチスドイツとソ連の独裁政治の手法を議会制民主主義の擬制に注入した近衛文麿の遺産と言ってもいいだろう。
権力を国会の外に移転して、ごく一部の官僚OB院政を現役の人事と引き換えにテリトリーを確立している歴史的事実を政治家が戦って白日に晒さなければ、橋下徹知事の改革も意味を為さない。橋本知事がシステムに目をつけて提言しているのはいい姿勢だが、国会が政治家自身を含めた官僚OBによる違法と適法の境界と越権行為を定義して戦わなければ国民は永遠に舵取りシステムを奪い返せない。
だが橋本徹府知事は今日も
「赤字債を止めて予算を作るのは大変ですよ。国会議員が血みどろになって働かなければならない。ましてや霞が関の官僚も。でもね、こういうときに日本の官僚はもの凄いパワーを発揮します。ゴールを設定すれば確実に達成する。大阪府庁の官僚もそうでした。」
とつぶやく。
橋本氏はこうやって官僚の協力を取り込もうとするが、100年近く国民の手を離れた舵を取り戻すことは簡単ではない。 安易な姿勢では菅直人のように逆に取りこまれてしまうことだろう。
なぜならば、橋本氏は、官僚がなにを動機にこれまでパワーを発揮してきているか勘違いしている。官吏に限らず、誰であれ経済的動機なしに自己犠牲はない。橋本徹府政の場合は、引き算の猶予、すなわち所属テリトリーに犠牲を出さなくてすむことが保険されるべき瞬間に官吏が一瞬のパワーを出すのであって、経済動機には将来にマイナス環境ありき故の「犠牲的献身」に過ぎない。
法曹出身人なら、もっと根本的な法システムに目を向けるべきだろうし、意図してそうしていないのなら橋本氏は真実から目をそらす役割の有害な政治家ということになる。
橋本知事は国政選挙の洗礼を受けていない非代議者が<官僚と通謀して政策を立案する違法な行為>を定義していない法体系の欠陥にあるということに国政のメスをいれるべきだろう。少なくともロビイスト登録とその官庁渉外行動の公開の原則。資格のないロビイストの行為を反国益共謀と定義して、ロビイストとつるむ官僚も含め処罰し、行政の中から締め出すロビイスト規制基本法の原則をつくり、立法し、国家の裏口から堂々と入り込んでいる通謀者の侵入を閉めるべきだろう。その上で、刑法を改正して外患誘致の定義を経済・情報の国益毀損行為まで拡大適応するべきであろう。いまや国家の裏口からの侵入者は日本国民とは限らないのだから。
追補2017.8.17
【ジュネーブ=笹沢教一】サンフランシスコ講和条約の締結など戦後日本の針路を決める重要な政策決定を行った吉田茂元首相(1878~1967年)が1965~67年に連続でノーベル賞候補に推薦され、65年には最終審査の対象となるリストに入っていたことが、ノルウェー・ノーベル研究所(オスロ)への情報公開請求でわかった。
ノーベル賞の選考過程については、ノーベル財団規約で「50年間は非公開」と規定され、平和賞は、研究者やジャーナリストに解禁後の情報公開を認めている。
読売新聞が入手した資料によると、65年には、当時の首相で74年に平和賞を受賞する佐藤栄作や当時の外相の椎名悦三郎ら日本の4人が推薦人に名を連ねた推薦状が、平和賞の選考を行うノルウェー・ノーベル委員会に送られた。
推薦理由は「戦後処理を通じたアジアと世界の平和と繁栄への貢献」。日本政府の働きかけで、ディーン・アチソン元米国務長官、コンラート・アデナウアー元西独首相からも推薦があった。平和賞は、閣僚や国会議員、著名有識者、過去の平和賞受賞者などに推薦資格がある。