<原論文情報>
Yun-Gi Kim*†, Kei Sakamoto*, Sang-Uk Seo, Joseph M. Pickard, Merritt G. Gillilland III, Nicholas A. Pudlo, Matthew Hoostal, Xue Li, Thomas D. Wang, Taylor Feehley, Andrew T. Stefka, Thomas M. Schmidt, Eric C. Martens, Shinji Fukuda, Naohiro Inohara, Cathryn R. Nagler, Gabriel Núñez†
(*筆頭著者、†責任著者)
Neonatal acquisition of Clostridia species protects against colonization by bacterial pathogens. Science (2017) DOI: 10.1126/science.aag2029
腸内細菌群が病原菌に抵抗=乳児から成長して強化-慶応大など
2017年04月22日16時46分
乳幼児の腸が病原菌に対する抵抗力をつけるためには、腸内で生後自然に増え、構成が変化していく細菌群が重要な役割を果たしていることが分かった。慶応大と米ミシガン大、シカゴ大の研究チームがマウスのサルモネラ菌感染実験で解明し、22日までに米科学誌サイエンスに発表した。
研究チームは無菌環境で飼育した成獣マウスの腸に、通常の乳児マウスと成獣マウスの腸内細菌群を移植した上で、サルモネラ菌に感染させる実験を行った。その結果、乳児の腸内細菌群を移植した場合は感染しやすく、成獣の腸内細菌群を移植した場合は感染しにくいことが分かった。
この抵抗力は「クロストリジウム」類の細菌が担っていることを発見。しかし、無菌マウスの腸にクロストリジウム類細菌だけ移植しても増殖効率が低く、乳児の腸内にある他の種類の細菌群から生み出される物質が増殖に必要なことが判明した。乳児からの成長過程で腸内のクロストリジウム類細菌が増え、病原菌への抵抗力がつくことが示された。
Yun-Gi Kim*†, Kei Sakamoto*, Sang-Uk Seo, Joseph M. Pickard, Merritt G. Gillilland III, Nicholas A. Pudlo, Matthew Hoostal, Xue Li, Thomas D. Wang, Taylor Feehley, Andrew T. Stefka, Thomas M. Schmidt, Eric C. Martens, Shinji Fukuda, Naohiro Inohara, Cathryn R. Nagler, Gabriel Núñez†
(*筆頭著者、†責任著者)
Neonatal acquisition of Clostridia species protects against colonization by bacterial pathogens. Science (2017) DOI: 10.1126/science.aag2029
腸内細菌群が病原菌に抵抗=乳児から成長して強化-慶応大など
2017年04月22日16時46分
乳幼児の腸が病原菌に対する抵抗力をつけるためには、腸内で生後自然に増え、構成が変化していく細菌群が重要な役割を果たしていることが分かった。慶応大と米ミシガン大、シカゴ大の研究チームがマウスのサルモネラ菌感染実験で解明し、22日までに米科学誌サイエンスに発表した。
研究チームは無菌環境で飼育した成獣マウスの腸に、通常の乳児マウスと成獣マウスの腸内細菌群を移植した上で、サルモネラ菌に感染させる実験を行った。その結果、乳児の腸内細菌群を移植した場合は感染しやすく、成獣の腸内細菌群を移植した場合は感染しにくいことが分かった。
この抵抗力は「クロストリジウム」類の細菌が担っていることを発見。しかし、無菌マウスの腸にクロストリジウム類細菌だけ移植しても増殖効率が低く、乳児の腸内にある他の種類の細菌群から生み出される物質が増殖に必要なことが判明した。乳児からの成長過程で腸内のクロストリジウム類細菌が増え、病原菌への抵抗力がつくことが示された。
本研究は、乳幼児期に腸管感染症の感受性が高いことの一因として腸内細菌叢が未成熟であることを明らかにしたものであり、今後は乳幼児の腸管感染抵抗性を強化するために、腸内細菌叢をターゲットにした新たな予防・治療法開発等の臨床応用への発展が期待されます。本研究成果は、2017年4月21日(米国東部時間)に国際学術誌Science電子版に掲載されます。
2017/04/21
慶應義塾大学
慶應義塾大学、ミシガン大学(米国)、シカゴ大学(米国)、は、乳幼児期の腸内細菌叢の成熟化が腸管感染抵抗性に重要であることを明らかにしました。
慶應義塾大学薬学部の金 倫基(きむ ゆんぎ)准教授(前ミシガン大学医学部病理学部門研究員)、
慶應義塾大学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)の福田 真嗣(ふくだ しんじ)特任准教授(JSTさきがけ研究者)、
ミシガン大学医学部病理学部門のGabriel Nunez(ガブリエル ヌネッツ)教授・
坂本 啓(さかもと けい)博士研究員、シカゴ大学病理学部門のCathryn R. Nagler(キャスリン ナグラー)教授、を中心とする研究グループの成果です。