事業文章、随身銷毀、而精神万古如新、功名富貴、逐世転移、而気節千載一日、君子信不当以彼易此也
菜根譚より
事業文章は、身に随いて銷毀(しょうき)す、而して精神は万古新がごとし、功名富貴は、世を逐(お)うて転移す、而して気節は千載一日なり、君子、まことにまさに彼をもって此に易(か)うべからず
事業や学問というものは死ねばなくなるが、その魂(精神)は永遠に古くなることはない。
地位や財産というものは時を経れば移り変わるが、その心意気は長く残っていく。
君子は一時のものに永遠を捨てるものではない、ここの分別が大事である。
限りあるものの上に命を賭けるのは、砂の上に城を築くようなものだ。限りあるエネルギーの上に文明を築くことは愚かである。限りある時間の間に畑をおこす農民はいない。限りある生命の上に技芸を積み上げてもその人の代で途絶えてしまうのならば、前二者と同じようにおろかしいことだ。
有限な個人は何事にも魂を見失わないように心得なければならない。永続することを求めれば、自ずから精神のあり方を問わざる得ない。たとえそれが小さな商店や職人の技であったとしても、永続する価値を認め、それを残したいのならば、文章も事業体も力を持たない。
ただただ、魂に事業功名の永続を求めるべき。
「命には終わりあり、能には果てあるべからず」世阿弥
omake
居官有二語、曰惟公則生明、惟廉則生威、
居家有二語、曰惟恕則情平、惟倹則用足
官に居るに二語あり、曰く「ただ公なれば明を生じ、ただ廉なれば威を生ず」、
家に居るに二語あり、曰く「ただ恕(じょ)なれば情平らかに、ただ倹なれば用足る」
役人にとって大切な言葉を二つ。
「公平を守れば正しい判断ができる」「潔白を守れば権威が生まれる」
家庭生活の中で大切な言葉を二つ。
「寛大な心を保てば皆の心が穏やかとなる」「つましく暮らせば不自由はない」
菜根譚より
事業文章は、身に随いて銷毀(しょうき)す、而して精神は万古新がごとし、功名富貴は、世を逐(お)うて転移す、而して気節は千載一日なり、君子、まことにまさに彼をもって此に易(か)うべからず
事業や学問というものは死ねばなくなるが、その魂(精神)は永遠に古くなることはない。
地位や財産というものは時を経れば移り変わるが、その心意気は長く残っていく。
君子は一時のものに永遠を捨てるものではない、ここの分別が大事である。
限りあるものの上に命を賭けるのは、砂の上に城を築くようなものだ。限りあるエネルギーの上に文明を築くことは愚かである。限りある時間の間に畑をおこす農民はいない。限りある生命の上に技芸を積み上げてもその人の代で途絶えてしまうのならば、前二者と同じようにおろかしいことだ。
有限な個人は何事にも魂を見失わないように心得なければならない。永続することを求めれば、自ずから精神のあり方を問わざる得ない。たとえそれが小さな商店や職人の技であったとしても、永続する価値を認め、それを残したいのならば、文章も事業体も力を持たない。
ただただ、魂に事業功名の永続を求めるべき。
「命には終わりあり、能には果てあるべからず」世阿弥
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居官有二語、曰惟公則生明、惟廉則生威、
居家有二語、曰惟恕則情平、惟倹則用足
官に居るに二語あり、曰く「ただ公なれば明を生じ、ただ廉なれば威を生ず」、
家に居るに二語あり、曰く「ただ恕(じょ)なれば情平らかに、ただ倹なれば用足る」
役人にとって大切な言葉を二つ。
「公平を守れば正しい判断ができる」「潔白を守れば権威が生まれる」
家庭生活の中で大切な言葉を二つ。
「寛大な心を保てば皆の心が穏やかとなる」「つましく暮らせば不自由はない」