石川 統訳
石川 統(いしかわ はじめ、1940年 - 2005年11月22日)先生は亡くなっていたんですね。知りませんでしたが、業績は弟子筋の方から聞いていました。
翻訳だけでもこれだけある。一度お会いしてみたかった。
細胞から大宇宙へ(ルイス・トマス(著),平凡社、1976年)
生命をつくり変える(G.J.V. ノッサル(著),岩波書店、1986年)
生命の起源を解く七つの鍵(A.G.ケアンズ=スミス(著),岩波書店、1987年)
ウォーレス現代生物学上・下(Wallece(著),東京化学同人、1991年(上巻)、1992年(下巻))
性(セックス)とはなにか(リン・マーギュリス(著),ドリオン・セイーガン(著),せりか書房、2000年)
ケイン生物学(M.L.Cain(著),東京化学同人、2004年)
進化 -- 1冊でわかる --(ブライアン・チャールズワース(著),デボラ・チャールズワース(著),岩波書店、2005年)
分子細胞生物学(Lodish(著)ほか,東京化学同人、2005年)
A・G・ケアンズ=スミスといえば、
『遺伝的乗っ取り生命の鉱物起源説』
紀伊国屋書店 1988
ISBN:4314005033
A.G.Cairns-Smith
Genetic Takeover―and the mineral origins of life 1982
[訳]野田春彦・川口啓明
の方が翻訳が後で、タイトルの効果もあり有名になったが、ほぼ同じことを書いている。
私はどちらかというと、生命の起源の前に知識のシステム完成があったと考える無神論的創造説の側なので、科学の即物因果論に依拠した哲学的状況を承認できないが、現在の生命のシステムの前のシステムに注目した独創性は承認できる。まだ中途だが、シューレディンガーとの対比を後日してみようと思う。
p76-78の進化によると考えられる疑問は、部品の共通性は合理的効率的進化の帰結であったとしても、部品は機械の全体像を前提として作られるのが論理的だという根本矛盾がある。多くのサブシステムが緊密に連携するには連携間の共通情報が必要である。機械論的な生命システムの説明の限界はここにある。精緻な仕組みが明確になるほど、生命システムはあらかじめ設計されたと考えられる様になる。
慎重に控えめに言っても、現在の高度な生命システムに先行するシステムがあった。
シューレディンガーによれば、矛盾はさておき、ともあれ二つのシステムがあった。生命システムは完全に②を獲得した。その段階に至る量子論が支配する時間をなんと見るかという議論がどちらの生命システムアプローチにもかけている。
①無秩序から秩序が生まれる物理仕掛け
②秩序が秩序を生む物理仕掛け
生命がマイナスのエントロピーを食べるという表現が熱力学者と生物学双方の反発を招いたシュレージンガーのこの著作は今も尚、大胆な名著である。特に『生物と無生物の間』福岡伸一著の誤解は、文庫本版の2008年の訳者鎮目康夫氏の21世紀あとがきに、福岡氏の著作引用が記載され誤解事例として、指摘されているので引用する。註1
「シュレーディンガーは誤りを犯した。実は、生命は食物に含まれている有機高分子の秩序を負のエントロピーの源として取り入れているのではない。生物はその消化プロセスにおいて、タンパク質にせよ炭水化物にせよ有機高分子に含まれているはずの秩序をことごとく分解し、そこに含まれている情報をむざむざ捨ててから吸収している。なぜならその秩序とは他の生物の情報だったもので、自分自身にはノイズになりうるものだからである。」講談社現代新書150頁」
シュレーディンガーは負のエントロピー源をタンパク質などに求めたのではない。彼の言う非周期性結晶が、遺伝子を乗せたりしている安定な原子間相互作用が、熱力学の法則を超越している時計じかけが生物であるとみなしたのであって的が外れているばかりではない。福岡伸一氏はエントロピー増大の情報概念(他の生物の秩序が消化される)と実際の熱力学に関係する自由エネルギーの取得を直結して誤解している。
熱力学的エントロピーと情報学のエントロピーを混乱させている通俗科学が今も尚巷の知識野郎達に蔓延している。
ともあれ二つのシステムがあった。
①無秩序から秩序が生まれる物理仕掛け
②秩序が秩序を生む物理仕掛け
①は、脳内の初観念<自己意識>の始まりと同じである。②は、観念の精神化と同じである。同じというか、相似している。
私の主張する初観念の三つの端緒は
一、情緒
一、直覚
一、愛
いずれにも共通するのは共感という、ないところに観念を直接形成する心のメカニズムが働いている。
来日中のレディー・ガガ
石川 統(いしかわ はじめ、1940年 - 2005年11月22日)先生は亡くなっていたんですね。知りませんでしたが、業績は弟子筋の方から聞いていました。
翻訳だけでもこれだけある。一度お会いしてみたかった。
細胞から大宇宙へ(ルイス・トマス(著),平凡社、1976年)
生命をつくり変える(G.J.V. ノッサル(著),岩波書店、1986年)
生命の起源を解く七つの鍵(A.G.ケアンズ=スミス(著),岩波書店、1987年)
ウォーレス現代生物学上・下(Wallece(著),東京化学同人、1991年(上巻)、1992年(下巻))
性(セックス)とはなにか(リン・マーギュリス(著),ドリオン・セイーガン(著),せりか書房、2000年)
ケイン生物学(M.L.Cain(著),東京化学同人、2004年)
進化 -- 1冊でわかる --(ブライアン・チャールズワース(著),デボラ・チャールズワース(著),岩波書店、2005年)
分子細胞生物学(Lodish(著)ほか,東京化学同人、2005年)
A・G・ケアンズ=スミスといえば、
『遺伝的乗っ取り生命の鉱物起源説』
紀伊国屋書店 1988
ISBN:4314005033
A.G.Cairns-Smith
Genetic Takeover―and the mineral origins of life 1982
[訳]野田春彦・川口啓明
の方が翻訳が後で、タイトルの効果もあり有名になったが、ほぼ同じことを書いている。
私はどちらかというと、生命の起源の前に知識のシステム完成があったと考える無神論的創造説の側なので、科学の即物因果論に依拠した哲学的状況を承認できないが、現在の生命のシステムの前のシステムに注目した独創性は承認できる。まだ中途だが、シューレディンガーとの対比を後日してみようと思う。
p76-78の進化によると考えられる疑問は、部品の共通性は合理的効率的進化の帰結であったとしても、部品は機械の全体像を前提として作られるのが論理的だという根本矛盾がある。多くのサブシステムが緊密に連携するには連携間の共通情報が必要である。機械論的な生命システムの説明の限界はここにある。精緻な仕組みが明確になるほど、生命システムはあらかじめ設計されたと考えられる様になる。
慎重に控えめに言っても、現在の高度な生命システムに先行するシステムがあった。
シューレディンガーによれば、矛盾はさておき、ともあれ二つのシステムがあった。生命システムは完全に②を獲得した。その段階に至る量子論が支配する時間をなんと見るかという議論がどちらの生命システムアプローチにもかけている。
①無秩序から秩序が生まれる物理仕掛け
②秩序が秩序を生む物理仕掛け
生命がマイナスのエントロピーを食べるという表現が熱力学者と生物学双方の反発を招いたシュレージンガーのこの著作は今も尚、大胆な名著である。特に『生物と無生物の間』福岡伸一著の誤解は、文庫本版の2008年の訳者鎮目康夫氏の21世紀あとがきに、福岡氏の著作引用が記載され誤解事例として、指摘されているので引用する。註1
「シュレーディンガーは誤りを犯した。実は、生命は食物に含まれている有機高分子の秩序を負のエントロピーの源として取り入れているのではない。生物はその消化プロセスにおいて、タンパク質にせよ炭水化物にせよ有機高分子に含まれているはずの秩序をことごとく分解し、そこに含まれている情報をむざむざ捨ててから吸収している。なぜならその秩序とは他の生物の情報だったもので、自分自身にはノイズになりうるものだからである。」講談社現代新書150頁」
シュレーディンガーは負のエントロピー源をタンパク質などに求めたのではない。彼の言う非周期性結晶が、遺伝子を乗せたりしている安定な原子間相互作用が、熱力学の法則を超越している時計じかけが生物であるとみなしたのであって的が外れているばかりではない。福岡伸一氏はエントロピー増大の情報概念(他の生物の秩序が消化される)と実際の熱力学に関係する自由エネルギーの取得を直結して誤解している。
熱力学的エントロピーと情報学のエントロピーを混乱させている通俗科学が今も尚巷の知識野郎達に蔓延している。
ともあれ二つのシステムがあった。
①無秩序から秩序が生まれる物理仕掛け
②秩序が秩序を生む物理仕掛け
①は、脳内の初観念<自己意識>の始まりと同じである。②は、観念の精神化と同じである。同じというか、相似している。
私の主張する初観念の三つの端緒は
一、情緒
一、直覚
一、愛
いずれにも共通するのは共感という、ないところに観念を直接形成する心のメカニズムが働いている。
来日中のレディー・ガガ