マイクロン、広島工場を1割拡張 次世代DRAM量産
半導体大手の米マイクロン・テクノロジーは11日、主力の広島工場(広島県東広島市)で新製造棟の完成式典を開き、報道陣に公開した。製造装置を配置するクリーンルームの面積が10%拡大した。多くの製造装置を必要とする次世代DRAMの生産体制を整え、世界シェア首位の韓国サムスン電子を追い上げる。
米マイクロンが広島工場に設けた新棟のクリーンルーム(広島県東広島市)
マイクロンは半導体のシェアで世界4位、DRAMのシェアで3位を占める。広島工場はマイクロンが2013年に買収した旧エルピーダメモリから引き継いだ。スマートフォンなどに使う低消費電力DRAMが主力で、台湾の別工場に量産技術を展開するマザー工場の役割も持っている。
世界半導体市場統計(WSTS)が19年の半導体売上高を前年比12%の減少と予測するなど、市場は足元で調整局面にある。マイクロンのサンジェイ・メロートラ最高経営責任者(CEO)は「自動車向け市場は4年で2倍以上に拡大するとみている」として、中長期の拡大に期待を示した。
DRAMが三次元になると工場能力は面積だけは比較できなくなった。ところで、エルピーダメモリが経営危機にあった時アップルが助言したにもかかわらず、DRAMは日本にはいらない韓国から買えばいいといった政投銀担当者は誰だ。名乗ってほしいものだ。
坂本幸雄(さかもと・ゆきお)氏
1947年群馬県生まれ。70年日本体育大学体育学部卒業、日本テキサス・インスツルメンツ(TI)入社。93年副社長。神戸製鋼所、UMC日本法人などを経て2002年エルピーダメモリ社長に就任。12年会社更生法の適用を申請後、13年に退任。エルピーダ退任後はコンサルティング会社や半導体開発会社サイノキングテクノロジーを設立していた。
なぜ日体大?
。1997年、神戸製鋼所に入社し、半導体本部長等を務めた後、2000年、日本ファウンドリー(旧:NMBセミコンダクター→日鉄セミコンダクター、後にUMCJapan)社長に就任。2002年から日立製作所とNECの合弁会社で日本唯一のDRAM専業メーカーとなっていたエルピーダメモリの社長を務めた[1]。
エルピーダメモリ社長就任の背景[編集]
DRAMは1990年代に「産業の米」と呼ばれた日本の半導体事業の中核をなす商品で、世界における日本メーカーのシェアは一時ほぼ100%となっていが、坂本幸雄がエルピーダメモリ社長に就任する直前には大韓民国のサムスン電子を中心とする新興国勢に90%以上のシェアを奪われていた。継続的に大規模な投資が必要となる事業であるものの、NECと日立製作所には投資余力がなく、経済産業省の後押しで1999年に両社の半導体部門が統合して誕生したのがエルピーダメモリ(設立時の名称はNEC日立メモリ)であった。同年には富士通が、2001年には東芝がDRAM事業から撤退し、2003年には三菱電機のDRAM事業をエルピーダが吸収。国内最後のDRAMメーカーの舵取りを担ったのが坂本幸雄であった[2]。
就任後リーマンショック頃まで[編集]
それまで役員も幹部も、全てNECと日立製作所出身者のたすきがけ人事が行われていた同社で、しがらみのない立場から経営を見直し、就任前年まで3年連続で200億以上の赤字であった同社の経営を1年で150億の利益が出るまでに立て直した。以後、同社を東京証券取引所の市場第一部に株式公開。台湾メーカーとの提携等、積極的な経営によって世界における売上シェアも10%を超えるまでに回復させた[3]。
会社更生法適用まで[編集]
2008年のリーマン・ショックに代表される世界金融危機による超円高により収益性が大幅に悪化。2009年には経済産業省による産業活力再生法の第1号案件として公的資金の注入も受けたが、この事業再構築計画及び関連して行った金融期間からの借入期限である2012年4月が迫る2012年2月27日に、東京地方裁判所に会社更生法適用の申請を行い、更生会社となった。あわせて、坂本幸雄は代表取締役・管財人となった[4]。
その後[編集]
2015年半導体メモリDRAM開発会社としてサイノキングテクノロジー(Sino King Technology)を10人の技術者とともに立ち上げた[5]。
2019年11月、中国の紫光集団は坂本を高級副総裁および日本子会社の最高経営責任者(CEO)に起用することを発表した[6]。
脚注[編集]
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^ 日本経済新聞出版社
^ 万策尽きた再生請負人
^ Financial Japan 対談レポート
^ 万策尽きた再生請負人
^ “エルピーダで『不本意な敗戦』の坂本幸雄氏は今” (2016年6月16日). 2019年3月13日閲覧。
^ “エルピーダ坂本元社長に聞く、中国紫光集団の副総裁オファーを受けた理由 坂本幸雄氏独占インタビュー”. ASCII (2019年11月20日). 2019年12月15日閲覧。