公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

切り取りダイジェストは再掲。新記事はたまに再開。裏表紙書きは過去記事の余白リサイクル。

書評 「非線形科学 同期する世界」蔵本由紀(著)

2014-12-02 19:49:19 | 今読んでる本
『分析に分析を重ね 、世界を成り立たせている基本要素や基本要因を探り当て 、ひるがえってそこから世界を再構成しようとするのが科学的精神の基本だと 、私たちはいつの頃から思い込まされるようになったのでしょうか 。もちろん 、この科学的精神のおそるべき力を私たちは身にしみて知っています 。諸科学もこの基本戦略にしたがって自然のしくみを暴き 、コントロ ールしようとしてきました 。確かに 、それは大成功でした 。しかし 、ここに来て 、人々は疑いと不安を感じはじめているように見えます 。ほんとうに 「分解し 、総合する 」という基本戦略によってこの複雑な現象世界を理解し 、末永くそれと共存することが可能なのかと 。それのみではとらえがたい 、自然の重要な半面があるのではないでしょうか 。』

この本を選んだのは、一流の研究者のこの言葉に出会いたかったからだ。

大学以来私は次々と科学の研究分野を変えてきた、微生物学、分析化学、薬学、製剤学、高分子化学、有機合成学、物性化学、薬理学、分子生物学、ウイルス学、遺伝子治療学、触媒化学、ナノケミストリーなどなど。
何故これまで変化したかというと、研究環境が変化を求めてきたからである。これら全てを教えることのできる教師は多分この先出てこないし、出る必要もない。分解と専門化は有害な文化潮流であり、専門家の無責任がこの有害文化に隠れている。



専門家の無責任という罪は世間に露見しにくい構造があり、情報の非対称に隠れてしまう。だからあえて他人の分野を領空侵犯する綜合アプローチが必要。

ここに言う専門家とは科学者に限らず、情報理解と判断基準を占有している社会グループ全般を言う。この特殊な占有こそが社会の盲点、ここが支配のためのポストモダニズムに汚染されている。しかしそれも露見する。

このグループに名前をつけておこう。利巧の壁。
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