能町みね子『私以外みんな不潔』未体験の幼稚園の恐ろしさを勉強できた本です。
ホリエモンは幼稚園に行ったんだ。良い子が拗れたタイプなのかな?
幼稚園 未熟な剥き出しの人間がまだそこにあり、家畜化の第一歩を歩み始める。
以下『ホモ・デウス』より
もし科学が正しく、私たちの幸福は自分の生化学系によって決まるとしたら、永続的な満足を確保するには、この系を操作するより他に道はない。経済成長や社会改革や政治革命などは忘れてしまおう。世界中の幸福レベルを上げるためには、人間の生化学的作用を操作する必要がある。
初版発行: 2015年著者: ユヴァル・ノア・ハラリ
以上引用終わり。
ユヴァル・ノア・ハラリの言う生化学系とは快楽の報酬系である。一時的快楽のハンティングではなく、持続的に報酬系が活性化していれば、人類は幸福をあらかじめインプラントできるかもしれない。
逆に報酬系が常に満たされない剥き出しの人間の集合は実に恐ろしい闇が剥き出しになる。それを教わるのが幼稚園であり矯正するのが幼稚園であることを知らずに私は人生の初期を他の人とは違う方法を探して生きることになった。幸福でありたければ、ハンティングに有利なポジションはどこで、それを知る人と友達になっておくのが人生の第一歩であるということ、それが『友達百人できるかな』の裏の意味である。
初出は小説幻冬「おゆうぎの部屋」能町 みね子 2018年11月20日第一刷 幻冬舎
私自身、他人に触られるのは嫌い。しかし幼稚園に行ってないので、(ちなみにタモリは幼稚園への入園を間近に控えた日、実際に見学に行ったあと、お遊戯なんて子供みたいな真似は俺にはできないと、幼稚園に通うことを拒否したそうだが)この地獄は新鮮であるとともに、札幌も牛久も具体的に景色が浮かぶのですぐに読み終えた。実に繊細に幼児五歳の感性を再現している。しかし視点は私小説でありながら遠くから見たような距離感を保ち、あたかも夏目漱石の「猫」の視点と知性の如く幼稚園児である吾輩を描いている。言葉になる以前の世界を言葉だけで描いたという秀逸でお洒落な挑戦である。絶賛します。