鳩山 道夫
『半導体を支えた人びと―超LSIへの道』 (1980年) 古書
江崎玲央名の逸話から鳩山 道夫の書いたこの本を読んでいる。実に面白い歴史なのだが肝心の著者が何を開発したかはよくわからない。ソニーでも働いていたのだろうけど鳩山一郎の甥だから苦労人ではなさそうだ。ところでこの本の終わりころに現れる大論争Ovshinsky のオブトロン現象の実用が実はIntelが主導でOvonics Unified Memory(OUM)*今、高度な設計で数年前からメモリーとして市販されている。1959年時点で熱的相変化(発見当時は熱によるものとは理解されていなかったが)を利用したメモリはナノ構造の工業利用として嚆矢であろう。半導体素子開発の流れからは木に竹を継ぐ様な断絶があった1980年から40年経過してSSD外部記憶装置として一部のマニアに人気があるようだ。性能はまだ引出しきれてはいない。これもOvshinsky のアイディアの発展と言える。
Ovshinskyはもういないが、self-taught いわば独学の発明家出身者で、大学はもちろん半導体については門外漢だった上にオブトロンを神経の可塑性から着想したというのが面白い。半導体研究者からは秘密主義すぎて嫌われていたようだ。
*OUMは米Ovonyx社が開発したメモリー技術。CD-RWやDVD-RAMなどと同様に、カルコゲン化物に熱を加えると、結晶状態と非結晶(アモルファス)状態が変化(相変化)することを利用してデータを記録する不揮発性メモリー。カルコゲン化物は、結晶状態では抵抗値が低くアモルファス状態では抵抗値が高い性質があり、この抵抗の差を読みとる。OvshinskyはTe48As30Si12Ge10 のカルゴゲナイドガラス蒸着において,スイッチング現象を見出した。高密度化しやすく、読み出し回数に制限がない、低電圧/低消費電力、書き換え/消去回数が1012と長寿命、ロジック回路との混載が容易という特徴を持っている。MRAM、FeRAMとメモリーセルサイズを比較すると、およそ3分の1と小さいメリットもあるという。
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