公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

切り取りダイジェストは再掲。新記事はたまに再開。裏表紙書きは過去記事の余白リサイクル。

KININARU技術 10 アンモニア常温常圧製造法開発

2019-04-25 11:21:00 | 経済指標(製造業)

追補2023/07/25


2023.07.03

東京工業大学の細野秀雄栄誉教授(元素戦略MDX研究センター 特命教授)と神谷利夫教授(同センター長)は、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校の野村研二准教授(本学博士後期課程修了、元特任准教授)とともに、ディスプレイ分野で世界最大規模の学会The Society for Information Displays(SID)のカール・フェルディナント・ブラウン賞(Karl Ferdinand Braun Prize)を受賞しました。5月22日、米国ロサンゼルスで開催されたSIDの大会「Display Week 2023」で授賞式が執り行われました。

ブラウン賞は、ディスプレイ業界に多大な影響を与えた優れた技術的業績に対して毎年1件が授与され、SIDの個人賞の中では最高位に位置づけられています。対象となった業績は「高易動度アモルファス酸化物半導体、特に今日の世界の標準となりつつあるIGZO-TFTの技術における先駆的研究、継続的な科学と技術への貢献と産業的リーダーシップ」です。




貴金属を使わない触媒として、LaN上にニッケル(Ni)ナノ粒子を固定化した触媒(Ni/LaN)を考案した(図1)。この触媒上での反応を、同位体[用語2]ガスを使った実験と計算科学により実証したところ、ユニークな反応メカニズムを持つことが明らかになった。この触媒では、水素分子を解離する能力が高いNi上で水素原子が生成され、その水素原子がLaN表面の窒素種と反応することで、アンモニア(NH3)が生成される。この反応を詳しくみると、まずLaN表面に窒素空孔が形成される。この空孔に窒素分子が取り込まれることで窒素分子が活性化され、そこにNi上で生成した水素原子が反応する。これにより、強固なN-Nの結合が切断され、N-H結合が形成されて、最終的にアンモニアが生成される。このプロセスでは、LaN表面の窒素は、気相の窒素が空孔に入ることで再生されるため、反応が持続して進行する。


東京工業大学 元素戦略 MDX 研究センターの細野秀雄栄誉教授、魯楊帆特任助教(研究当時、現:重慶大学准教授)、北野政明准教授らは、温和な条件下での「グリーンアンモニア合成」に求められる高い耐水性を有する、貴金属フリーの新触媒を実現した。

アンモニアは窒素肥料や化成品の原料としてだけでなく、水素の貯蔵や運搬の手段としても重要な物質である。現在のハーバー・ボッシュ法による製造では高圧・高温環境や、天然ガスから水素を作る過程で大量のエネルギーを必要とするため、再生可能エネルギーと水の電気分解で生成した水素を用いて、温和な条件下で合成する「グリーンアンモニア」の研究が世界的に盛んになっている。

温和な条件下でのアンモニア合成では一般的に、ルテニウムなどの希少金属が用いられる。一方で本研究グループは 2020 年に、ニッケルを窒化ランタンの上に担持し、窒素分子の解離を窒化物の表面に生成する窒素の空孔(用語 1)で行うようにした触媒が、ルテニウム触媒に匹敵する活性を示すことを報告した。しかしこの触媒を含めて、温和な条件下で高い活性を有する触媒の多くは、水分に対して敏感で、通常の雰囲気にさらすと活性が大きく低下してしまう点が課題とされていた。

本研究では、前回研究の窒化ランタンの代わりに、水分に対して安定な La3AlN を用い、その上にニッケルまたはコバルトを担持することでこの課題を解決した。La3AlN は、アンモニア合成の過程で Al ドープ窒化ランタン(La-Al-N)に変化し、La-Al 結合の安定化効果によって大幅に触媒表面の化学的な安定性が向上する。この La-Al-N 触媒は、酸素や湿気に暴露しても触媒活性が劣化せず、窒素空孔を起源とする特異的な触媒機能と高い耐酸素・耐水性を併せ持っている。

本研究成果の意義は、新しいアンモニア触媒を発見したことだけでなく、温和な条件下で高い活性を有する既存触媒の化学的安定性向上に向けた重要な材料設計指針を示したことにある。

本研究成果はドイツの化学誌「Angewandte Chemie International Edition」に 2022 年9 月 26 日付(現地時間)でオンライン公開された。



このNews & Views研究、触媒が安価であるならすごい。触媒そのものが何かは未確認ながらも。原料としているメタン換算でも1億トン/年削減できる。これに反応エネルギーを加えると莫大な炭素大気放出の抑制につながる可能性がある。



アンモニア新製造法開発 CO2排出を大幅減 東大グループ

肥料の60%はバーバー・ボッシュ合成による現状からみれば、ものすごい量のCO2削減になる。2億トンのアンモニアといえば毎分380トンの製造量です。しかもこれがないと飢えて死ぬ。 人間の飢えはエネルギーではない。深刻な飢餓はタンパクの欠乏である。すなわち窒素供給減としての穀物、肉、魚、乳の不足。つまり何らかの形で窒素をタンパク質やその他の栄養素の形で摂取しなければ、栄養バランスが崩れ、血液中アルブミンが減少して浸透圧が保てなくなるなどの障害を起こす。 健康な人は平均して1日50gの窒素を尿から失うが、日本人は安い輸入品に依存して、この貴重な窒素を垂れ流し、ほぼすべてを社会に循環させていない。全世界70億人で一人1日78gのアンモニアを合成で造ってアンモニアとして重量換算した場合、一人1日60gを尿から捨てている。これでは収支がギリギリ。故に足りないから人類は根粒菌や糞尿などの有機物も肥料にしておる。 これは青色LED発明にも匹敵凌駕するエコ成果!!問題は触媒の寿命と価格

サマリウムは安いだろうが、ヨウ化物の安定性はどうだろう。硫黄に弱いから、窒素と水の精製がポイントかな。しかしそれらは解決済みで化学工業的障害の問題ではない。


NATURE

NEWS AND VIEWS

 

A fresh approach to synthesizing ammonia from air and water

Ammonia is vital to society, but its manufacture is energy intensive, has a large carbon footprint and requires high initial capital outlays. An intriguing reaction now suggests that energy-efficient alternatives are possible.

ヨウ化サマリウム(II) (samarium(II) iodide) とは、サマリウムヨウ素から成る無機化合物で、融点 520 ℃ の緑色の固体。組成式は SmI2。有機合成において一電子還元剤として、カルボニル化合物からケチル錯体を経る炭素-炭素結合生成反応などに用いられる 

Ashida and co-workers propose a catalytic cycle for their process in which the molybdenum catalyst first coordinates to dinitrogen and cleaves the N≡N bond to form a molybdenum nitrido complex (which contains a molybdenum–nitrogen triple bond). The SmI2–water mixture then delivers hydrogen-atom equivalents to this complex, ultimately producing ammonia. Forming N–H bonds with molybdenum nitrido complexes poses a considerable thermodynamic challenge, because N–H bonds are also weakened when bound to molybdenum, as noted by our group10; this effect is a source of chemical overpotential. The SmI2 not only facilitates hydrogen-atom transfer, but also keeps the metal in a reduced form and prevents the deleterious formation of molybdenum oxide in aqueous solution.

04/25 06:01
医薬品や肥料などの原料となる「アンモニア」を効率的に作る方法の開発に東京大学のグループが成功し、
製造コストと二酸化炭素の排出を大幅に減らせる手法として注目されています。
アンモニアは医薬品や肥料、化学繊維などの原料となり、世界で年間およそ2億トンが製造されています。
現在の主な製造方法は、窒素ガスと水素ガスを、数百度、数百気圧という高温高圧の状態にして反応させるものが主流で、
製造の過程で大きな電力を必要とするほか、水素ガスは天然ガスなどの化石燃料から取り出しているため、
地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出が課題になっています。
東京大学の西林仁昭教授のグループは、
マメ科の植物に寄生する「根粒菌」と呼ばれる菌が空気中の窒素からアンモニアを作り出していることに着目し、
この菌が持つ酵素に似た働きをする触媒を開発しました。
そして、この触媒を使って実験したところ化石燃料からの水素ガスを使わずに水と窒素ガスを反応させてアンモニアを作ることに成功したということです。
また製造の際の温度は25度で圧力を上げる必要もなく、電力消費を大幅に減らすことができたということです。
研究グループは今後、触媒をより効率的に働かせるために必要な化学物質のリサイクル技術などを確立して、
さらに製造コストを抑え、実用化につなげたいとしています。
西林教授は「自然界の菌の働きを模倣することで温和な条件でアンモニアを作り出すことができた。
画期的な製造方法で、
企業と共同研究を進めて実用化を急ぎたい」と話しています。



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