公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

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今読んでる『この人々』私の生きてきた昭和史 矢次一夫

2018-09-03 10:08:41 | 今読んでる本
手元にある本は今から60年前の昭和33年発行290円もする(当時としては高い)自叙伝。帯には「覆面を脱いだ現代の怪物 その周辺の怪物 日韓会談の矢次特使が暴露する興亡いとまなき昭和史の内幕!!乱世に処して不屈の精神を培う人生の書だ」と書かれている。

矢次一夫(やつぎ かずお、1899年7月5日 - 1983年3月22日)は、大正・昭和期の日本の、労働運動家・浪人政治家・フィクサー。昭和研究会と並ぶ、民間の国策研究機関「国策研究会」の創立者の一人。大宅壮一は彼を「昭和最大の怪物」と評した。
もっともあとがきに近い本人の自己評は、
『戦前は共産党の転向者を雇ったり、社会主義者と交わったので、「赤」として、絶えず憲兵と警察の監視の下に、要注意人物として扱われたが、戦後は軍人と交わっていたということから、右派的人物とされる。ところがまた最近は大宅壮一や、細川隆元らが、寄ってたかって、私を怪物に仕立て上げてしまった。怪物とは何かということで、大宅壮一の説明はさっぱり要領を得ないが、怪物の怪を快としたら、もっと良かったろうと思う。』と述べている。
岸信介の懐刀であり左派のフィクサーであった矢次一夫は前にも引用したが、実に博覧強記の人である。それだけに、昭和十年八月十二日永田鉄山陸軍軍務局長暗殺で始まるこの書は興味深い。永田鉄山を悪人に描いてきた戦後の昭和史に私も、前の橋本欣五郎の半生記の感想として書き、直感として疑問を持っていた。矢次一夫も同じく不満と記憶の中の人物永田と相違する伝承に異論をはさみたい気持ちでいたのは、まったく偶然にして新鮮な驚きである。


しかしだからこそ気づくのは、ヨッフェ招聘に関係して矢次一夫は東京毎日新聞の共産主義者田口運蔵については記述しているが一緒にいたはずの藤田勇に関してはどこにも言及がない。ヨッフェ招聘は藤田が主役のはずだから、これはおかしい。矢次ほどの岸の知遇を得た人物がアヘンの藤田を知らないはずがない。社会党に深く関わっていながら徳川義親の名前も出てこない。

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