公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

切り取りダイジェストは再掲。新記事はたまに再開。裏表紙書きは過去記事の余白リサイクル。

日本では起業家はもう尊敬されないのか

2015-01-30 21:48:00 | 日記

いきなり引用で申し訳ない。
『これに関して面白い国際比較デ ータがある 。日米英の 3カ国で 「あなたの国では 、新しいビジネスを始めて成功した人は 、高い地位と尊厳をもつようになるか ? 」と聞いたところ 、アメリカとイギリスでは約 8 0 %の人が 「 Y e s 」と回答しているのに対し 、日本では 「そう思う 」という人が約半数しかいない 。また 「新しいビジネスを始めることが望ましい職業の選択か ? 」という問いに対しても 、アメリカ 、イギリスでは 「そう思う 」という人が半数以上を占めるのに対し 、日本は 1割台の人しか起業を 「望ましい職業選択 」とみていないのだ 。』 「ぼくらの新国富論」より

2014年のある本からの引用である。半分マッキンゼーの宣伝みたいな本だが、出資は借金とは違うから良かったという。まあ、長期的に付き合うエンジェルなら返せとは言わないが、期限が来たから返せというヴェンチャーキャピタルがほとんどだってことを教えたほうがいいんじゃないかな。

嘘つきに与えられた最大の罰は、彼が真実を語った時も、人が信じないことだ。

彼らは期限内に市場に出て行けない発行会社を《生ける屍》という名前で呼んでるんだぜ。たとえ資金剥がしが発行会社を倒産に追い込んで、顧客に損害を生じさせようとお構いなくやります。どんな状態でも根こそぎ持っていく勢いで、立証できもしない投資契約違反などと言いがかりをつけて、投資全額個人返済の脅しをちらつかせ手元資金を回収しようとする。日本ではこれが合法なんだからきおつけたほうがいい。出資の成功例だけ並べては起業家の勉強にならない。

前にも書いたが、エンジェルならとことん理解する《理念に理解が伴走していなければ資金が調達できずに紙の上の話になる。》絶対的な伴侶が必要ということ。まず起業家自身が自分のエンジェルでなければ続けられない。ここが簡単ではない。

理念がなければ、金とエンジェルの区別ができなくなる。なぜなら自分ら動機をもたなければ、相手を道具と見るだけだから。理解が伴走できなければ、幻想に幻想を重ねて、相手を無制限な信者に貶めるだけだから。

日本に国策会社以外で純粋な民間の起業家が最も生まれたのは、戦後の混乱期。成熟した安定社会の今の日本では日本人は本来の状態に戻ってしまったのだろう。もともと日本人は会社を縁で結ばれた感性で自分と関連づけている。一度社会が崩壊してあらゆる縁が切れた時に爆発的に起業するが、元の就職感性は就職が、ある種の縁談ととらえている。良縁と起業は全く世界が違う。この視点であれば、多少は日本の不可思議が理解できるのでは。

『2 0 1 3年 4月に東京で行われた新経済サミットのために来日したスカイプの共同創業者ニクラス ・ゼンストロ ームは 、プレゼンで次のような発言をしました 。 「既存の業界にどっぷり浸かっている人が破壊的イノヴェイションを起こすことは実は非常に難しい 。わたしの経験では 、業界の外側にいる人が破壊的イノヴェイションをもたらしている 。 S k y p eをつくったエンジニアは 、ゲ ーム業界出身だった 。通信業界には縁もゆかりもないわたしたちが 、革命を起こしたのだ 」と 。破壊的イノヴェイションの担い手であるヴェンチャ ーを 、スタ ーバックスのようにいかにして自身の企業活動に取り込んでいけるか 、それはこれからの企業競争力を計るひとつの大きな要素』

多分大企業の皆さんが招待されてゼンストロ ームの講演会を聞いたと思うが、どれだけ届いただろう。ただ、ヴェンチャービジネスの側にも、見通しを示す努力が足りないとも言える。相手の尺度でインパクトの大きさを準備する姿勢が足りないことも多い。最近弊社もある会社に組むシナジーが無いと言われたが。尺度が読めるかどうかも大きなポイントになる。ある意味で、自社事業を
ユニークネス<シナジー<ゲームチェンジ
少なくとも三段重ねのインパクトの階段をプレゼンで示さねばならない。


『シリコンヴァレ ーの起業家 、エリック ・リ ースが著した 『リ ーン ・スタートアップ 』で 、彼は不確実な状況の現代においては 、ロケット開発のように綿密な計画を立て 、しかもそれを少しでも間違えたら悲惨な結果を招く従来の事業開発手法より 、クルマの運転のようにドライヴァーが状況に応じて適切な判断を下す手法のほうが 、はるかにビジネスを成功に導けると述べています 。』

『早期についてくれた顧客もそれなりにいたので (未来を見て他人より早く手を出すア ーリ ーアダプタ ーたちだ ) 、彼らにたびたび意見を求めた 。でも 、ユ ーザ ーの意見は断固として取りいれなかった 。製品や全体的なビジョンに対する情報源のひとつという位置付けでユ ーザ ーの意見を見ていたからだ 。それどころか 、ユ ーザ ーの希望を満足するより 、ユ ーザ ーで実験をしてみることのほうが多かった 。普通 、このようなやり方はよくないと言われるのだが 、実際にはこれがうまくいった 。別に信じてもらえなくてもかまわない 。本書を読んでいただければわかるが 、 I M V Uで我々が始めたやり方が最近は新しい起業方法として世界的に人気を集めているからだ 。このベ ースには 、リ ーン生産方式やデザイン思考 、顧客開発 、アジャイル開発など 、従来から活用されてきたマネジメントや製品開発の手法がある 。ただ 、イノベ ーションを継続的に生みだせるアプロ ーチである点が新しい 。これが 、リ ーン ・スタ ートアップ ( L e a n S t a r t u p )と呼ばれる手法である 。』
リーン・スタートアップ2012/4/12 エリック・リース、 伊藤 穣一(MITメディアラボ所長)

独力でロケットを飛ばす気概と機会があれば、起業家も増えるだろうが、そんなことが期待できる現実はない。例え話なんだから。でも大手企業や投資家はリ ーン ・スタートアップの合理性だけでは納得しないだろう。それは貴方の事情でしょうと一蹴される。詐欺ではないかと思うくらい精緻なロケットの設計図をカバンに忍ばせる。

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