公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

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KININARU 研究 35 リキッドバイオプシーの手法である血液中のエクソソームや核酸を解析

2020-10-13 13:27:00 | 今日の単語
東京医科大学医学総合研究所の落谷孝広教授と東京慈恵会医科大学エクソソーム創薬研究講座の藤田雄講師、同内科学講座呼吸器内科の桑野和善教授、同感染症科の保科斉夫講師、米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校の松崎潤太郎博士研究員(東京医科大学医学総合研究所客員研究員)、および国際スペースメディカル株式会社(代表:宮戸みつる)らの共同研究チームは、がん診断などに用いられるリキッドバイオプシーの手法である血液中のエクソソームや核酸を解析することにより、COVID-19 における新しい重症化予測因子を同定致しました。





【本研究で得られた結果・知見】

今回、同研究チームは、2020 年 3 月から 5 月に東京慈恵会医科大学附属病院に新型コロナウイルス PCR 検査にて陽性となり入院した 42 名の COVID-19 の患者さんを対象としました。そのうち、入院時に WHO 重症度分類にて既に重症であった 11 名を除外し、残りの入院時に軽症であった 31 名を解析対象とし、コントロールサンプルとして 10 名の健常者血清(大宮シティクリニック、代表:中川良)を用いて合計 41 サンプルを解析しました。31 名の COVID-19 の患者さんのうち、入院後の経過にて 9 名が集中治療で人工呼吸器の治療が必要となる重症化イベントを認め、残りの 22 名が軽症のままで退院されました。この 31 名(軽症 22+重症化 9 名)の COVID-19 患者さんの入院時の血液サンプルと健常者10 名の血清を用いて、特に血液中 RNA およびエクソソームタンパク質に着目し、それぞれ次世代シーケンサー※1)および質量分析(LC-MS)※2)により網羅的解析を行いました。これらの解析結果から、COVID-19 患者の重症度の早期予測バイオマーカーとして 3つの異なるグループ、


(1)抗ウイルス応答関連エクソソームタンパク質

・・・エクソソーム COPB2、PRKCB など

(2)凝固関連エクソソームタンパク質および RNA

・・・エクソソーム MFAP4、ECM1、CAPN、FGG、CD147 など

・・・RNA として CDKN2B.AS1 (long-non coding RNA※3))など

(3)肝障害関連 RNA

・・・microRNA-122-5p(microRNA※4))、SNORD33 (small nucleolar RNA※5))など


を見出しました。これらのマーカーの中で、抗ウイルス応答関連エクソソームタンパク質である COPB2(golgi-ER trafficking に重要な COPI vesicle の構成要素)は、本研究コホートにおいて COVID-19 患者の重度化に対する最も優れた予測能を有していました(AUC=1.0, 感度・特異度共に 100%)。つまり入院時(コロナ陽性判定時)において、エクソソーム COPB2 の血液中のレベルが高い COVID-19 患者は、重篤なイベントを経験することなく病気を克服できる可能性があります(図 1)。

これもついでに 脳内デリバリー


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