公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

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今読んでる『奸婦にあらず』 諸田玲子

2018-11-02 09:08:40 | 今読んでる本

『奸婦にあらず』 諸田玲子

文春文庫 2006年11月日経新聞社刊 新田次郎文学賞を受賞

2009年11月10日文春文庫 第一刷

諸田 玲子(もろた れいこ)

静岡市生れ。上智大学文学部英文科卒。
外資系企業勤務を経て、翻訳・作家活動に入る。96年『眩惑』でデビュー。2003年『其の一日』で吉川英治文学新人賞、07年『奸婦にあらず』で新田次郎文学賞、12年『四十八人目の忠臣』で歴史・時代小説大賞作品質を受賞。
「お鳥見女房」「あくじゃれ瓢六」「天女湯おれん」「狸穴あいあい坂」「きりきり舞」シリーズの他、『空っ風』『灼恋』『月を吐く』『犬吉』『思い出コロッケ』『昔日より』『木もれ陽の街で』『希以子』『青嵐』『遊女のあと』『美女いくさ』『炎天の雪』『お順』『花見ぬひまの』『ともえ』『王朝小遊記』など著作多数。


この時代(嘉永7年を含む安政年間から万延を1年はさんで文久年間 6年プラス1年プラス3年のちょうど10年、1854年~1864年)文久二年の政変で幕府政権が大きく変化(国体の移動遷移:政治の真空状態)するまでの間は多くの人々が政治動乱に翻弄されている。このころの京は出自のわからぬ人物が重要な役職に容易に上り詰めていた、一人はこの島田左近 (島田正辰位階官職従六位左近衛権大尉)、一人はこの小説にも出てくる、九条家で家宰を取り仕切る家臣(青侍)の島田左近と交際を結んだ長野主膳であろう。経歴クレンジングが容易な京の背景は公家の経済的困窮。外国の知識ばかりでなく国体を定める新しいイデオロギーの流布(水戸学 あるいは 海防論 敷島の道という本居頼長の国学などの需要拡大、嘉永7年生まれの高橋是清らはこの次の世代だが生の英語に出会っている)が見て取れるように小説が描かれている。そういうところも資料を下敷きにして秀逸である。秀逸などという言い方は新田次郎文学賞受賞作品に対して失礼かな。  幕末ドラマ桜田門外ノ変まで悪役コンビとして構図が定まっている井伊直弼と長野主膳を結び付ける背景に目を付けたのは素晴らしい着想。

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