公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

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ドーパミン

2010-12-14 09:57:00 | 健康など
ドーパミンも大切だがレセプターD2の数も大切だという研究もある。

賭け事に依存する行動に、神経細胞で刺激を伝える「ドーパミン」という物質が関係しているとみられることが、脳の働きを調べた研究で分かりました。
研究を行ったのは、千葉市にある放射線医学総合研究所の高橋英彦客員研究員などのグループです。研究グループは、20代から30代の男性18人を対象に、さまざまな当選の確率と金額を組み合わせた宝くじを示して、それぞれいくらなら買うか尋ね、この時の脳の働きを、PETという画像診断装置を使って調べました。その結果、大脳の中で判断をつかさどる「線条体」と呼ばれる部分で、「ドーパミン」という物質の放出が少ないほど宝くじの当たる確率を高く見積もる傾向があることが分かりました。ドーパミンは脳の中の神経細胞で刺激を伝える物質で、研究グループでは、ドーパミンの放出が少ないと意志決定にゆがみが生じ、賭け事に依存する行動につながるとみられると結論づけています。研究を行った高橋客員研究員は「賭け事に依存する傾向があるかどうか検査で調べられるようになるほか、賭け事をやめられない人を治療する薬の開発につながる可能性がある」と話しています。 
NHK

親父が死んでからパッタリパチンコをやめたおふくろは、親父のせいでドーパミンが足りなかったのか。

うつの指標である絶望感が高いほど優越の錯覚が低いことが判明し、優越の錯覚が低い背景には、線条体のドーパミン受容体密度の低下による線条体と前頭葉の機能的結合の強化が関わっている

JST 課題達成型基礎研究の一環として、放射線医学総合研究所 分子イメージング注1)研究センター 分子神経イメージング研究プログラム(須原 哲也 プログラムリーダー)の山田 真希子 主任研究員らは、自分は平均より優れていると思うことは心の錯覚で、脳内メカニズムがこの錯覚に関係していることを世界で初めて明らかにしました。
多くの人が、自分は平均より優れていると思う傾向があります。例えば、知能や技能、望ましい性格などについて、平均的な人と比べてもらうと、多くの人が自分は平均より上だと錯覚することが心理学研究で示されています。このような優越の錯覚を持つことによって、人は未来の可能性を信じて目標に向かうことができると考えられています。一方、抑うつ状態では、自分について現実的なとらえ方をすることが知られています。これまでこの錯覚の心理学的意義は注目されてきましたが、その生物学的なメカニズムは不明でした。
今回研究者らは、優越の錯覚の程度を認知心理課題で測定し、脳にある線条体注2)のドーパミン受容体密度注3)と安静時の脳活動注4)を画像診断装置のPET注5)とfMRI注6)で計測しました。そして、これら3つの関係性を調べた結果、優越の錯覚の程度が大きい人ほど、行動や認知注7)を制御している「線条体と前頭葉注8)」の機能的結合が弱いこと、この機能的結合が、線条体におけるドーパミン受容体の密度に依存していることが分かりました。
今回の発見は、人間の本質の生物学的基盤に迫るものであり、今後新たな領域横断的な学術への発展が期待されます。また、この脳内システムを調整することが、抑うつの現実主義に対する新たな治療戦略になりうることが期待されます。
本研究は、スタンフォード大学 医学部のウディン 講師との共同研究で行われ、本研究成果は、米国科学雑誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」のオンライン速報版で2013年2月25日の週(米国東部時間)に公開されます。

本成果は、以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。
戦略的創造研究推進事業 個人型研究(さきがけ)
研究領域 「脳情報の解読と制御」
(研究総括:川人 光男 (株)国際電気通信基礎技術研究所 脳情報通信総合研究所 所長/ATR フェロー)
研究課題名 「現実予測に基づく現実感喪失感覚の分子・神経メカニズム解明」
研究者 山田 真希子(放射線医学総合研究所 分子イメージング研究センター 分子神経イメージング研究プログラム 脳病態チーム 主任研究員)
研究期間 平成22年10月~平成26年3月
JSTはこの領域で、運動や判断を行っている際の脳内情報を解読し、外部機器や身体補助具などを制御するブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)を開発し、障害などにより制限されている人間の身体機能を回復するための従来にない革新的な要素技術の創出に貢献する研究を支援しています。







<研究の背景と経緯>
「汝自身を知れ」「度を超すことなかれ」
この言葉はギリシャデルポイのアポロン神殿で七賢人が奉納した碑文と語られています。自分自身のことを正確に知ることは難しく、自分の性格や能力を過大評価する傾向があり、過信してしまうと失敗してしまう人間の本質を、古代哲学者は見抜いていたようです。人はなぜ自分自身のことを正しく認識せず、過信してしまうのでしょうか。
数多くの心理学研究によって、この特徴は健康な心の証であり、健常な人は自分のことを他人より優れていると錯覚することが明らかにされてきました。例えば、知能、技能、望ましい性格など、多くの人が自分は平均よりは上だと答える傾向があります。しかし、集団の大多数が平均より上になることはできません。他人より優れていると錯覚することで、人は自分の可能性を信じて未来への希望や目標に向かうことができると考えられています。
一方、気分が沈みがちな状態においては現実的に自分自身をとらえてしまう特徴があり、抑うつの現実主義と呼ばれています。優越の錯覚を持つことは心の健康に重要な役割を果たすと考えられてきました。しかし、過剰な優越感は無謀な行動につながる危険があるため、適度なレベルの優越感あるいは肯定的なとらえ方を持つことが望ましいと指摘されています。人類学分野においても、優越の錯覚のように自分自身について肯定的にとらえるこころの働きは社会の繁栄や人類の進化において中心的役割を果たしてきたととらえられています。
古くギリシャソクラテスの時代から現代に至るまで、哲学、心理学、人類学、医療分野など、多くの学問領域が優越の錯覚の存在に注目してきました。誰もが一般に持つ言語や記憶などの能力が脳内に埋め込まれているのと同様に、「自分は平均より優れている」と思う錯覚も人間に特徴的な思考の1つであり、その背景には必ず生物学的基盤があるはずです。しかし、これまでその脳内機序は明らかにされていません。
これまで、行動を指標とした認知心理学研究が進められ、優越の錯覚などさまざまな認知の歪みが存在することが示されてきました。そして、脳研究では、脳のどの部分が活動しているかを血流の変化を指標として調べるfMRIがよく用いられ、言語理解や状況判断などの特定の認知に関わる脳機能の解読が可能となりました。しかし、認知神経活動の背後にあるはずの分子メカニズムはこれまでほとんど明らかにされていませんでした。分子メカニズムを解明する手法の1つとして、神経伝達物質の動態を指標とするPETがあり、迅速な脳の反応をとらえることには限界がありますが、脳内で働く分子に注目した指標を得ることができます。今回、fMRIとPETを組み合わせることで、世界で初めて優越の錯覚の分子機構と脳機能の相互関係を明らかにすることを目指しました。
<研究の内容>
健常男性被験者24名に研究に参加してもらいました。参加者は、まずパソコン画面上に表示されるさまざまな性格を表す言葉に対して、自分はどれくらい平均より優れているか劣っているかを答えてもらいました(図1)。それぞれが、自分を平均より優れていると評価する錯覚(優越の錯覚)の程度を定量化しました。錯覚の程度には個人差があったものの、多くの人が、自分は平均より約22%優れていると自己認識する傾向にありました(図2)。そして、ベック絶望感尺度注9)という質問紙を用いて抑うつの程度を測ることができることから、この質問紙に記入してもらい、抑うつの程度と優越感の錯覚の程度との関係性を調べたところ、絶望感の低い人(抑うつの程度の低い人)ほど優越の錯覚が強いことが分かりました(図3)。
次に、脳内のドーパミンD2受容体密度を検討できる11Cラクロプライドという薬剤を用いてPET検査を行い、モデル解析により脳内の線条体と呼ばれる部位のドーパミンD2受容体を計測しました(図4)。
さらに、同一被験者にfMRI検査を受けてもらいました。fMRIの中で安静にしている時の脳活動データを計測し、線条体と機能的に結合を持つネットワークを探し出しました。その上で、機能的結合の強さと線条体のドーパミンD2受容体密度との相関関係について解析しました。
上記の解析で得られた結果と優越の錯覚の程度との相関関係を解析した結果、線条体のドーパミンD2受容体密度は前部帯状回注10)と線条体の機能的結合の度合いと相関関係にあり、その機能的結合の度合いが「優越の錯覚」の程度と相関することが明らかになりました。線条体と前部帯状回は、行動や認知を制御する脳内の制御機構と考えられており、これら2つの制御機構の同調性が低い(機能的結合が弱いことを意味する)と、制御する働きが弱いために優越の錯覚は抑えられていない状態で、制御機構の同調性が高い(機能的結合が強い)と、制御する働きが高いために優越の錯覚が抑えられている状態と解釈できる可能性が考えられます。
さらに、上記の因果関係を検証するために、ブートストラップ手法を用いた媒介解析注11)という統計学的手法行ったところ、「優越の錯覚」の強さに影響するのは「前部帯状回-線条体の機能的結合」の弱さであり、その弱さは「線条体におけるドーパミン受容体密度」の低さによることが分かりました(図6)。
<今後の展開>
これまで、自分を平均より優れていると思うことは、心の健康、社会の繁栄、人類の進化に中心的役割を果たしてきたことが心理学や人類学で注目されていました。今回の結果によって、その生物学的な成り立ちである、脳内の仕組みを初めて明らかにすることができました。脳内に言語システムが存在するのと同様に、自分自身について優れていると思う心の仕組みが脳内に埋め込まれていることが示されました。
今回、抑うつの指標である絶望感が高いほど優越の錯覚が低いことが判明し、優越の錯覚が低い背景には、線条体のドーパミン受容体密度の低下による線条体と前頭葉の機能的結合の強化が関わっていることが見いだされました。うつ状態は、多様な要因により生じ、また、その症状も多様であるため、新型うつ病に代表されるようにその診断や治療は一筋縄ではいかないのが現状です。特定の症状を説明する認知現象の脳内メカニズムの解明は、新たな治療薬や診断技術を開発する上で求められており、今回の研究成果が、抑うつの特定の症状のバイオマーカーの創出につながり、精神医療において症状を標的にした新たな診断や治療戦略を打ち出すことが今後期待されます。
今回の発見は、これまで多くの学術領域が注目していた人間の本質のひとつ「優越の錯覚」について、その分子機構が支える脳機能という脳内メカニズムを明らかにしたものです。異なる学問領域の研究手法を融合させた今回のアプローチは、認知システムの背景にある脳機能と分子基盤を知る上で重要であり、今後、新たな領域横断的な学術の発展が期待されます。
<付記>
本研究の一部は、文部科学省 脳科学研究戦略推進プログラム「精神・神経疾患の克服を目指す脳科学研究」の一環として行われました。







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