公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

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2万円の法則 デフレの壁

2015-03-07 07:32:08 | 日記
消費者の消費行動抵抗線は、価格や割引率、情報量やブランド力など個々には複雑な動因で決定していることが多いが、集団的動向を見ると2009年以降、ほぼ<年間消費額2万円の法則>に従っている。
豚肉なら1回300~400円台で年間60回は購入し、牛肉なら1,000円台前後で20回購入する。昨年のキリンの発表では日本は43.5リットル(350mlの缶ビール換算で124本)通常のビールなら17,000円くらい、発泡酒なら13,600円。意外に一人2万円を超えては飲んでいない。これには大いに地域差がある。全国平均では飲酒は一世帯あたり19,929円である。高知は36,488円という高さである。世帯で見れば3万円を超えるからビールは半ば贅沢半ば勤労に対するご褒美という削れないポジションの商品となる。しかし飲食店での消費額を加味すると単身者でも2万円に近づくことだろう。これを打ち破る商品の開発は脅威がない限り非常に難しい。

他の消費財一般もこの5年ほどでは、この辺りに消費の抵抗線が移動していて、これを超える年間3万円以上購入している商品は強い価格抑制の選択圧力がかかる。つまり買わない。例外はガソリンなどのエネルギーと通信費、これを超えて供給者が販売しようとするならば、強い習慣性、CMなどでの動機強化が供給者のコストで必要となる。だから右から左で儲かっている供給事業者はガスやガソリンなどのエネルギーインフラと携帯電話キャリア。供給者のコスト(宣伝費の拡大、利益率の最低化)に耐える依存できる販売者だけが2万円を超える抵抗線を超えて生き残っている。

ファッションや健康ダイエット、美容や頻度の低いイベントがこれに相当する。デフレーションからの脱却はこういう逸脱消費の高額化ではなく、消費抵抗線の全般的回復、せめて3万円台にもどすことが始まらないとボリュームが出ない。飛び抜けた消費も更に高額化できない。これを決めているのが世間の空気、横並び意識である。しかし所得のないところは空気以上に所得が必要である。ここには大きな溝があり行動は連続していない。多少所得が増えたとしても抵抗線を変えるには将来予測に明るい見通しが見えていなければ所得を消費に反映させることはできない。

もっともよいクスリはインフレマインドだ。昭和四十年代、日本人は月賦でインフレで尻に火が付いたようにクレジットをふくらませて消費していた。つまり待てば安くなるのではなく待てば高くなり買えなくなるという焦りや、手元金が目減りする前に今消費したほうがいいと考えていた。これは雇用の安定、供給に支えられて初めて出来る行動変化だ。だから今政策としてやるべきことは雇用と雇用を担保とした消費クレジットの大幅な拡大、信用経済の拡張で、単なる金融機関向け利下げとは違う。世間を変える発想が必要なのに、ひとつもそれができていない。日本は見えないところで非常に豊かである。国民の誰もが担保を持っている。例えば将来受け取る保険料をリスク無く公的担保にできれば消費クレジットは容易に拡大できる。おそらく世帯あたり最大7,000万円の信用供与となる。事業者の支払う雇用保険を担保にできれば信用供与できる。工夫さえあれば、税金を使わずとも年間数十万円の消費行動を庶民が選択可能に変えることは容易である。

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