公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

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KININARU 技術 13 最小限の量子テレポーテーション回路実現

2019-05-20 12:27:00 | 経済指標(製造業)
《2017年9月に発表した「究極の大規模光量子コンピュータ」方式の心臓部となる回路を開発し、計算原理の本質ともいえる量子もつれ合成動作を実現した。
最小限の回路を機能を切り替えながら繰り返し用いて、2~3個の光パルスの量子もつれや1000個以上の光パルスの量子もつれなど、さまざまな規模および種類の量子もつれの効率的な合成に成功した。
この回路を拡張すれば、1000ステップ以上の大規模な計算が実現可能となり、高い拡張性と汎用性を兼ね備えた「究極の大規模光量子コンピュータ」実現へつながることが期待される。》

注1)量子テレポーテーション回路
量子テレポーテーションとは、量子ビットの情報をそっくりそのまま別の場所に移動する通信手法です。一方で、量子テレポーテーションの手法を少し改良すると、量子ビットに何らかの計算処理を施した上で、別の場所に移動できるようになります(図3)。従って、量子テレポーテーションを1ブロックとして複数ブロック連ねれば、量子ビットにさまざまな計算処理を何ステップも実行でき、この方法で量子コンピュータが実現できることが知られています。

注2)量子もつれ
2個以上の量子が、量子力学抜きには説明できない、特殊な相関を持っている状況を指します。この相関は量子同士が互いに離れていても成立します。量子もつれは、量子テレポーテーションを利用した計算や、量子通信、量子センシング、量子イメージングなど、さまざまな量子科学関連技術の実現に不可欠なリソースです。



注3)さまざまな規模および種類の量子もつれ
量子もつれ状態には、何個の量子がもつれているか、またどの量子とどの量子の間に相関があるかに応じて、いくつかの種類に分類されます。代表的なものとしては、
2個の量子がもつれ合った「Einstein-Podolsky-Rosen状態」
3個以上の量子がもつれ合い、どの量子と量子の間でも量子情報のやりとり(量子通信)が可能となる「Greenberger-Horne-Zeilinger状態」
「一方向量子計算」という量子計算方式に必要な、多数の量子が特有の相関関係でもつれ合った「クラスター状態」
などがあります。今回は1つの回路を使って、これら3種類を全て生成することに成功しています(図2)。

注4)量子ビット
現代のコンピュータは0か1のいずれかで表されるビットという情報単位を用いて情報処理を行います。一方、量子コンピュータでは、0と1の重ね合わせで表される量子ビットを情報単位に用います。重ね合わせとは、0と1が同時並行で存在するような一種の中間状態で、ミクロな量子力学の世界特有の状態です。量子コンピュータの高い処理性能は、この重ね合わせをうまく利用することによって生み出されます。

<論文情報>
タイトル
“On-demand photonic entanglement synthesizer”
著者名
Shuntaro Takeda, Kan Takase, Akira Furusawa



追補 光を介した量子テレポーテーションによる書き込み転写に成功

Quantum teleportation-based state transfer of photon polarization into a carbon spin in diamond


Kazuya Tsurumoto, Ryota Kuroiwa, […]Hideo Kosaka
Communications Physicsvolume 2, Article number: 74 (2019) | Download Citation

Abstract
Quantum teleportation is a key principle for quantum information technology. It permits the transfer of quantum information into an otherwise inaccessible space, while also permitting the transfer of photon information into a quantum memory without revealing or destroying the stored quantum information. Here, we show reliable quantum state transfer of photon polarization into a carbon isotope nuclear spin coupled to a nitrogen-vacancy center in diamond based on photon-electron Bell state measurement by photon absorption. The carbon spin is first entangled with the electron spin, which is then permitted to absorb a photon into a spin-orbit correlated eigenstate. Detection of the electron after relaxation into the spin ground state allows post-selected transfer of arbitrary photon polarization into the carbon memory. The quantum state transfer scheme allows individual addressing of integrated quantum memories to realize scalable quantum repeaters for long-haul quantum communications, and distributed quantum computers for large-scale quantum computation and metrology.

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