PQC= Post-Quantum Cryptography(耐量子計算機暗号)は絶対必要なインフラとなる。
当面は車載とか言ってるけど、実は軍事転用可能な技術。随時通信により安全にアップデートできなければ社会はバベルの塔の終末になってしまう。
村田製作所は、「第14回国際カーエレクトロニクス技術展」(2022年1月19~21日、東京ビッグサイト)において、量子乱数ハードウェアセキュリティモジュール(HSM)を展示した。量子コンピュータ時代に求められる耐量子計算機暗号(PQC)に利用可能な、偏りの少ない量子乱数を生成するHSMを外付け部品として自動車やドローンのシステムに組み込むことでより高度なセキュリティ対策を実現する。2025年のサンプル提供をめどに開発を進めているところだ。
開発中の量子乱数HSMは、CMOSイメージセンサーにLEDで光を当てることで、量子ショットノイズを単位時間ごとに抽出し、乱数の基となるランダムデータを取り出すという原理を利用している。「熱雑音などの物理現象を基にした従来の乱数生成は、ある程度前後の相関があるため、量子コンピュータのような膨大な計算能力を使えば前の乱数から後の乱数が分かり、暗号を解読できてしまう可能性がある。一方、今回の量子ショットノイズは前後の相関がないので量子コンピュータでも暗号の解読が難しい」(村田製作所の説明員)。
村田製作所は、量子暗号通信技術や量子乱数発生器などを手掛けるスイスのID Quantiqueとの共同開発により、量子ショットノイズに基づく量子乱数を生成する機能や暗・複合回路などの1パッケージ化を進めている。
現在、自動車のOTA(Over the Air)によるソフトウェアアップデートを行う場合には、車載システムへのセキュリティ機能の搭載が求められているが、その多くがマイコン内部のHSM回路によって実現されている。ただし、来るべき量子コンピュータ時代には、マイコンのHSM回路ではセキュリティを担保することが難しくなる。そこで村田製作所は、大規模な設計変更を行わずに外付け部品を追加するだけで、量子コンピュータ時代に求められるPQCを実現できる量子乱数HSMを提案していく考えだ。自動車以外でも、ドローン、データセンター、サーバなどへの適用も想定している。