EEE Milestoneに認定された方がノーベル化学賞より嬉しいのです。
「私が開発したSLDを実証して製品化できたのは、上司を含め4人のチームメンバーが開発した要素技術の存在が不可欠でした。また、当時の日本企業から入手できた最先端の材料や部品が重要な役割を果たしたのです。
私は学生時代、東北大学工学部の電気工学科でアンテナ工学を学びました。島津製作所に入社して質量分析計の開発チームに加わり、学生時代の専攻とは異なる化学分野の研究開発を担当することになります。今だから言えることですが、「(アンテナ工学を学んできたのに)これでよいのだろうか」という迷いを心のどこかで抱えながらも、仕事に打ち込んでいました。
しかし今回、その当時の仕事を、私の大学時代の専門であった電気電子分野の業績としても認めていただきました。やっと心の底から、全てをお祝いできるという心境です。
さらに、この2024年は東北大学発の「指向性短波アンテナ(八木・宇田アンテナ)†」の開発からちょうど100年に当たります。同アンテナは同じく日本の発明として、IEEE Milestoneに認定されています。そのような節目に、私たちのレーザーイオン化質量分析計が同じ栄誉にあずかりました。大変うれしく思います。」