ニガヨモギの砂糖漬け

　現場の本当の姿が痛ましいことは想像できる。あるいは想像以上かもしれない。ACのCMのように他人の痛みを心情的に想像することも大切だが、正面から見据えて、科学的に、論理的に辻褄が合うことが安心信頼につながる。
　現在の同心円放射状の退避地域は実情を反映していない。既に現場は点ではなく面になっている。
　辻褄の合わない情報が多すぎては、本当の姿を糊塗（ニガヨモギの砂糖漬けに）して渡されているのでは?
という疑問が膨らむ。福島第一の現場で起きている事が、政府を通じたマスコミ情報と論理的に重ならない。情報ギャップの常態化が人間の集団を凶暴な最大危険回避行動に追い立ててしまう。

　例えば、一昨日のニュース。１０万CPMの検出上限を備えたガイガーカウンターの性能を超えたために収容できなかったと言われる5km地点の遺体だ。周辺地上大気の放射線量率よりも一桁以上高い、原発施設内のモニターカーの最大値さえ超えている、つまり遺体表面の汚染はなんらかの放射性物質の濃縮あるいは大気中の放射性物質（放射能）降灰よりも濃い放射能汚染源に触れたことを示唆している。早急にガイガーではなく核種と汚染源を特定する科学捜査と分析が必要。
　これは論理的情報ギャップ。

　千葉県が22日の水道水のヨウ素１３１汚染を本日30日になって発表した。これもまたゆゆしき時間的情報ギャップだ。なぜヨード剤を子供たちに飲ませないのか。

　さらに海外の情報とのギャップ。

　論理的、地理的、時間的情報ギャップを埋めずに、結果として国民を危険にさらしていたという疑問が検証されるまでにはまだ何年もの時間がある。そうやってきた責任を回避する逃げ道をふさいでおかなければ、国民は＜ニガヨモギの砂糖漬け＞をおいしくいただくことになる。

　現時点で逃げ道をふさぐ野党もマスコミも不在のようだ。そうであれば国際監視された方が国民はよほど安心できる。
　
　そういう我が国を警告する意味で、凶暴な最大危険回避行動はすでに日本製品忌避として始まっているではないか。自分たちのセルフイメージは横に置いて、他国の行動を通じて日本の今の姿を頭の中に映してみなさい。それが政治家の頭の使い方です。