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書評『BIS(ビーアイエス)国際決済銀行 隠された歴史』 アダム・レボー著、副島隆彦監訳、古村治彦訳

2016-01-27 12:38:09 | 今読んでる本

『BIS(ビーアイエス)国際決済銀行 隠された歴史』(アダム・レボー著、副島隆彦監訳、古村治彦訳、成甲書房、2016年)


アンチBIS派の頭目ハリー・デクスター・ホワイトやハリー・モーゲンソー財務長官に凍結されたBIS 資産を何とかしようと、マッキトリック総裁はジョン・フォスター・ダレス弁護士に相談する。リトアニア移民を両親に持つハーバードの経済学者でユダヤ人のホワイトはソ連のスパイ。モーゲンソーはホワイトとともに日本への最後通牒ハルノートを突きつけた作成当事者。1933年拘束強制送還)日本生まれで社会主義者、ソ連のスパイを疑われ自殺したエドガートン・ハーバート・ノーマン(日本再滞在中に羽仁五郎に師事、丸山真男とも交流、の所属した太平洋問題調査会という元祖NGOのリーダー、オーウェン・ラティモアなども蒋介石と米国のバイプ役となった社会主義者として名を残している。太平洋問題調査会は1961年10月に解散するまで国際事務局が存続した。日本側委員会は戦後再建し、高野岩三郎、幣原喜重郎(三菱の閨閥娘婿)、大内兵衛、都留重人(ハリー・デクスター・ホワイトの教え子)ノーマンとも因縁がある(共産主義者であった事を告白してノーマンが自殺に至ったとも言われる。2014年7月、イギリス国立公文書館が所蔵する英国内のスパイ摘発や国家機密漏洩阻止などの防諜を担うMI5などの秘密文書のうち、「共産主義者とその共感者」と名付けられたカテゴリーに「ノーマン・ファイル」(分類番号KV2/3261)があることが公表され、ガイ・リッデルMI5副長官からカナダ連邦騎馬警察(RCMP)ニコルソン長官に宛てた1951年10月9日付の書簡内で「インド学生秘密共産主義グループを代表してインド人学生の共産主義への勧誘の責任者を務めていたノーマンが1935年にイギリス共産党に深く関係していたことは疑いようがない」と記されていたことが明らかになった。)、

矢内原忠雄横田喜三郎(天皇制否定論者で東京裁判肯定派の法学者)、末川博(民事法学者・権利濫用・不法行為の研究者)、言わずと知れた『諸君!』1972年5月号で「言論無責任論」を豪語した立派な左翼羽仁五郎らのリベラルから左翼に至る言論部門の連合をつくり、丸山真男の「戦後日本のナショナリズムの一般的考察」(市民社会とそれを支える市民の未成熟が無責任体制としてのファシズムを生みだしたという説、戦前のナショナリズムは擬似ナショナリズムである説に基いて成熟した市民社会がやがてナショナルなものを削ぎ落とすという誤解、主権在民を目指す民主主義は永久革命であると主張)は1950年大会で「華々しく」発表された。

学問の歴史を長期的に観察すると、若手の研究者が大御所学者になることには、若手を揺藍した裏環境が何者の手によるものかは忘れられるが、設置の意図はますます明確となってくる。戦後の一時期しか知らない者達にオールドリベラリストと創られたリベラリストの区別などできるはずもない。太平洋問題調査会解散後、これを実質引き継いた木内信胤(三菱の閨閥の一角)は横浜正金銀行調査部出身で、戦後の外資導入懇談会幹部となり、国際勝共連合所属というから、大変わかり易い第一世代から転向の第二世代国際主義者の代理人である。



木内信胤 1899.7.30東京生まれ。1923.3東京帝国大学法学部法律学科(ドイツ法)卒。1923.12近衛歩兵第1連隊(一年志願兵)、1925.4横浜正金銀行頭取席調査部、1927.11東京支店詰、1930.7上海支店詰、1934.10ハンブルク支店詰、1936.12ロンドン支店詰、1938.4同店支配人代理、1939.5頭取席為替部、1941.5上海支店支配人代理、1941.12同店副支配人、1942.2南京支店副支配人、1942.9兼興亜院嘱託・華中連絡部、1942.12兼在上海日本大使館事務所嘱託、1943.3南京支店副支配人、1943.5兼国民政府全国経済委員会顧問事務所嘱託、1943.7兼支那派遣軍総司令部参謀部所属調査部嘱託、1943.12総務部次長、1944.7東京支店副支配人、1944.12総務部次長、1945.4総務部長兼海軍省経理局嘱託、1945.10大蔵省参事官・大蔵省終戦連絡部長、1946.9公職追放、1949.2外国為替管理委員会委員長、1955.6世界経済調査会理事長、1956.6日本国有鉄道理事、1959.4外務省参与、1981.4臨時行政調査会第一専門部会長。他に審議会の委員などを歴任。1993.12.5死去。
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日米開戦の最後通牒ハルノート(ハリー・ホワイトが蒋介石の顧問だったオーウェン・ラティモアの意図を汲んで作ったので「ホワイト・モーゲンソー試案」とも呼ばれる)で日本では有名なコーデル・ハルが、皮肉なことに国際連合の憲章起草者として1945年のノーベル平和賞を受賞していることを思えば、平和の仮面で戦争挑発することが彼らの生涯の仕事、ビッグビジネスだったことがわかる。


さてハリー・モーゲンソーの父親はルーズベルトの友人で、元オスマントルコ駐在の米国大使ヘンリー・モーゲンソー・シニアで、社会主義者の米国高官であるが、裏側の主役だ。なぜなら一介のハーバード大マネタリストに過ぎない門外漢ハリー・デクスター・ホワイトを国際問題担当に据えた張本人でもある。もちろんこの方はユダヤ人。マッキトリックはナチスドイツの資金を含めてBISで運用する戦争の守銭奴、しかし彼はユダヤ人ではない。その男が頼りにして「近しい友人」の証明を発行したアレン・ダレスはOSS、後のCIAの生みの親。その当時でさえ「彼は銀行家、実業家、学者、スパイ、難民亡命者の間に複雑なネットワークを構築していた。」p226、さらにその上司はフランクリン・デラノ・ルーズベルトの片腕ウィリアム・ジョセフ・"ワイルド・ビル"・ドノバン。イギリスの戦時体制に学び諜報組織設立を進言し自ら1941年7月11日情報調査局(Office of the Coordinator of Information, OCI)の長となり、翌年1942年、COIは戦略諜報局(Office of Strategic Services, OSS)に改組される。ちなみにCIAが育ったのは日本の地と日本をターゲットにした戦争工作である。
Donovan was the perfect choice for America's first intelligence chief. Allen Dulles, who served under Donovan in the OSS, said that "Donovan knew the world, having traveled widely. He understood people. He had a flair for the unusual and for the dangerous, tempered with judgment. In short, he had the qualities to be desired in an intelligence officer." President Roosevelt described Donovan as his "secret legs."

この本は、外国人の作品なので、どうしても"ある方面"に対して萎縮が有り物足りない。しかし戦争の核心が金(Gold)にあることが具体的に記載された珍しい歴史研究になっている。私はすでに書いているのでこの程度にしておくが、ソ連側への国際主義の仲介者二重スパイ、元はブルガリアの革命家ラコフスキーも重要だ。トロツキー没落後間もなく、ヒトラーが権力をとる以前からドイツ参謀本部と連絡をとっていた(ラコフスキー調書)。偽書という噂もあるが、それこそが、調書の知られて欲しくない真実を担保してるのだ。1939年9月1日ポーランド侵攻前にスターリンとヒトラーの不可侵同盟に対する「あの人たち」の承認があったことをその調書で示唆している。

あの人たちとは誰か 第二世代の上位に居る人々の使いのことだろう。

ラコフスキー曰く、「1905年に敗北主義を案出したいわゆるトロツキスト達は、今もなお、同じ路線、レーニンの路線を継続している。」という評価も、歴史と一致している。曰く「マルクス主義が必要されるのは、ブルジョア国家を共産主義国家に変える為である。従ってマルクス主義者は国際主義者とならなければならない。金融資本家はブルジョア民族国家を否定するが、その否定はブルジョア民族国家に限られてしまう。実際上は、彼は自分をインターナショナリストと言ったりはしないが、無政府主義者、世界主義者(コスモポリタン)と称している。 」たしかにトロツキスト革命家ラコフスキーが指摘するようにマルクスの著作では産業資本家はこき下ろされているが金融資本家ロスチャイルドの名前は出てこない。執筆の時点で既に世界を支配していたにも関わらずだ。『私は確信している。一方ではロスチャイルド家がマルクスの功績を評価しており、他方マルクスはロスチャイルド家に本能的な愛着と深い尊敬を感じている』(「国家制度とアナーキー」より)ミハエル・バクーニン

『マルクスの共産主義は中央集権的権力を欲する。国家の中央集権には中央銀行が欠かせない。このような銀行が存在するところに人民の労働の上に相場を張っている寄生虫民族ユダヤ人は、その存在手段を見出すのである。』ミハエル・バクーニン
 とすると永久革命を旗印にした国際主義者の日本支部として丸山真男は仕事をしていたことになろう。

今日陰謀論者ーコンスピラシーセオリストと言われてしまうとマスメディアからの追放確定なので、保守的論客でさえユダヤ陰謀論に言及するのを避けているが(米国は特に危険)、国際金融が戦争を導き、その背後に金融で力をつけていたユダヤ財閥がいたことは疑いようが無い。

英国が第一次世界大戦にアメリカを参戦させるために表で動くのはアーサー・ジェームス・バルフォア(1848-1930)だが、ルシタニア号を含め、国民感情面の悪魔的陰謀を仕掛けたのはエドワード・マンデル・ハウス大佐らの怪しいロビイスト、彼はユダヤ財閥ではない。ただの手先の汚れ役だ。それに欧州側のシオニストが合流する。彼等は共謀してトロツキーをメキシコに匿い、世界革命の脅しを国民感情に訴えかける。金融の側からアメリカを破壊し政策と資本力の源泉➖通貨発行を盗み取るシャイロック的国際主義者、歴史的には第一世代である。BISの仲間たち横浜正金銀行(昭和天皇一族の銀行)の北村孝次郎と日本銀行の山本米冶はこっち側ので「伝統的」エージェントである。3億7800万ドル分の金塊の処分をドイツ敗戦濃厚となったノルマンディー上陸作戦直前の1944年5月にBIS打ち合わせている。もちろん天皇家の財産をBISが預かることも。詳しくは『天皇のロザリオ』(鬼塚英昭著)を確認してくださいな。木戸の役割がはっきり書かれている。ポール・マニングの 『米従軍記者が見た昭和天皇』を引用して、「1944年1月、昭和天皇は参謀総長と軍令部総長から結論として太平洋戦争に勝機はないと報告され、木戸内大臣に和平計画を立てるよう指示した。木戸は当然のことながら、この指示の意味は皇室財産を守ることが第一であり、日本を平時の状態にする準備は二番目であると理解したのである。二番目の状況を達成するには時期尚早だったができた。木戸は皇室の財政顧問でもある主要銀行の経営者たちを招集し、会議を開いた。彼らの提案で、天皇の現金が東京から銀行間無線でスイスに送金されたのである。」とある。後日紹介しようと思う。

もう一方の国際主義者は社会主義者を中心とした革命主義者とアメリカの国力と社会主義理想に対する誤解を最大限利用して権力中枢を乗っ取って上(国民国家の破壊=略奪)から政治的に支配しようとするトロツキー的国際主義者がいる。彼等こそ第二次世界大戦の真のシナリオライター、国際主義の第二世代だ。特に第一世代の壁BISの存在があってドイツで実現できなかった徹底した上からの破壊(産業と国民国家の破壊)=略奪➖天皇家資産の略取などを日本に対して行って国際主義の無慈悲さの見本を開陳したのが、ハリー・デクスター・ホワイトやハリー・モーゲンソー財務長官とその父ヘンリー・モーゲンソー・シニアとその操り人形フランクリン・デラノ・ルーズベルトの対日宣戦布告である。

そもそも国際主義者は双方とも国際金融と馴染みがいい。どちらからも必要とされるのが国際金融だ。結果として陰謀の波が重なって大きなピクチャーになるのならば、政治家、学者、ユダヤ人の主導する国際主義や国境を無視した国際金融、その嚆矢であるイングランド銀行を予め排除すべきではない。すべての陰謀が成功するわけではないのだから。

もうひとつ第二次世界大戦を理解する上で知っておかなければならないのは、戦時下に戦後金融の主導権争いが始まっていたということ。つまりBISの金塊の戦後帰属は決まっていた。それゆえ解散はあり得ない。しかし先のハリー・モーゲンソーとハリー・デクスター・ホワイトが主導して1944年7月のブレトンウッズ会議で、BIS解体の決議を勝ち取る。その代わりに米財務省がコントロールする、IMF(国際通貨基金)とIBRD(世界銀行)の設立を提唱する。しかしBISは解体されるどころか国際金融の支持を得て残り続けた。結局ウォール街とシティを敵に回した第二世代の国際主義の米国支店は一敗地にまみれた。FRBとIMFが微妙に違うのは、こうした歴史を背景にしている。しかしながら国際主義者に弁証法的自己変化の止まることはない。必ず敵を見出して、次元の違う国際主義の結束の動機、すなわち富の収奪を確実なものにして自ら窯変してゆく。医薬品開発、医薬品製造と品質の国際基準、知的財産権の短縮、国際会計基準、BIS規制。。TPP、有志連合などなど誰にも止められない。EUを見よ、難民で人倫が破壊され、いつの間にか民族国家存続は空洞化し各国の政策余地はなくなる。家族制度も伝統的紐帯も破壊されている。

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