公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

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今読んでる『ルーズベルトの開戦責任』ハミルトン・フィッシュ 渡辺訳

2017-11-29 21:30:00 | 今読んでる本
1976年に第二次世界大戦開戦前後のハイレベルな外交委員であった議員が遺言のように残した著作が日本語に翻訳されたのがなんと2014年。その文庫版、草思社文庫2017年4月発行を読んでいる。フランクリン・デラノ・ルーズベルト大統領(通称FDR)は1936年226事件が起こったその年に、海軍作戦部長にあて1936年8月10日付で日本を追い詰めることを決断した。実に日米戦争開戦1941年12月7日の5年4ヶ月前、終結の9年前の夏である。当時の駐日米国大使はジョセフ・グルー、FDRのハーバード大学二年先輩同じFLY CLUBの所属だ。Catalogue of the Fly Club of Harvard University, 1836–1911. Camb. (Mass.): The University Press, 1911(グルーは1932年6月6日、横浜港に到着し、6月14日、昭和天皇に謁見、FDRの戦争決定、1941年12月7日、グルーは短波放送で、大統領が天皇に親書を送ったことを知った。翌年帰国する。)


A・J・P・テイラー(Alan John Percivale Taylor, 1906年3月25日 - 1990年9月7日)も先駆的に『第二次世界大戦の起源』を発表しているがこちらは学者の意見であったが社会的に大反発を生じた。フィッシュは本物の当事者であるだけに重みが違う。本当の計画設計者が誰であるかを特定することが後世の人々の役割であると言っている。本当は知っていたが、活字にしなかった可能性もあるし、具体的に実証が難しいということもあったのであろう。

これを読めば、FDRは本当に違法に予算を回して戦争を準備した。FDR陰謀論とか歴史修正主義(Historical revisionism)とか空想歴史家などという否定的なレッテルは簡単には貼れないだろう。フィッシュ自身歴史修正主義者と烙印を押されることを恐れていた。そのくらい米国でもFDRのはじめた戦争が自由と正義のための戦争であったことを疑うことさえタブーだった。日本は和平交渉のさなかに突然攻撃してきた(真珠湾総合攻撃)という旗を降ろすことができていない。米国人自身が偽の歴史を疑わず、その価値観でFDRの死後も原爆が2発投下され、日本国民に不正義の汚名と侵略の罪を着せて占領政策は決められていった。私達が余り知ることのないニュルンベルク裁判で死刑になったパリ講和会議からのベテランの軍人でありかつドイツ外交官リッベントロップ(ウルリヒ・フリードリヒ・ヴィルヘルム・ヨアヒム・フォン・リッベントロップ(ドイツ語: Ulrich Friedrich Wilhelm Joachim von Ribbentrop、1893年4月30日 - 1946年10月16日))との1939年9月1日までのギリギリの日程まで行われたフィッシュとの交渉を裏から手を回して開戦に向かわせていた実態が描かれている。英仏のダンツィヒ*領有許容が何を意味していたのかヒトラーが当初から構想していた英独同盟の路線を形を変えて日独防共協定に仕上げたのもリッペントロップの功績だった。

*ポーランド回廊(ポーランドかいろう、ドイツ語: Polnischer Korridor、ポーランド語: Korytarz polski)は、第一次世界大戦後のポーランド国家復興の際にドイツ国から割譲された領土のうち、自由都市ダンツィヒ(現グダニスク)とドイツ領プロイセン州に挟まれ、バルト海に面した回廊地帯を指す。ポーランド第二共和国(1918–1939)時代においての、バルト海への往来を確保するための回廊であった。ウッドロウ・ウィルソンが十四か条の平和原則でポーランドに海への出口を与えると声明し、それを受けて西プロイセンにポーランドのバルト海への出口として設定されたのがポーランド回廊である。

**歴史修正主義 Historical revisionism あるいは単にリヴィジョニズム1961年にはA・J・P・テイラーが『第二次世界大戦の起源』で、第二次世界大戦の原因をアドルフ・ヒトラー個人にではなく、欧米諸国の外交の失敗に求めた。これらの主張は激しい賛否両論を巻き起こし、彼らを批判する用法としての「歴史修正主義者」が生まれた。The Origins of the Second World War, (Hamish Hamilton, 1961).吉田輝夫訳『第二次世界大戦の起源』(中央公論社, 1977年)

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