2016年製作のラ・ラ・ランドをWOWOWで観ました。日本での劇場公開は2017年の2月です。第89回アカデミー賞の14部門でノミネートされ、デイミアン・チャゼル監督が監督賞を、主演のミアを演じたエマ・ストーンが最優秀主演女優賞など6部門を獲得した名作です。この映画の音楽と歌、特に主演の2人のダンスとミアの歌はしっとりとした落ちつきがあり、とても良かったと思います。女優をめざして大学を中退し、カルフォルニアに来たミアはアルバイトをしながら女優の役を獲得するためのオーディションを受け続けていた。今回もあっけなく落とされ、気落ちした彼女は、ふと入った店のピアニストの演奏に惹かれる。その男の名はセバスチャン。彼は大好きなジャズを店で弾くことを許されず、店から指定された曲を弾いていたのだったが、1曲だけ弾きたい曲を弾いたところ、首になってしまう。セバスチャンに声をかけようとしたミアを無視して彼は店を飛びだしてしまう。後日、再会した二人は、それぞれ夢を追いかけていることを知り、惹かれあう。セブの夢は自分の店を持ち、自分の演奏したい曲を演奏すること。2人は愛し合うようになり、ミアは彼の夢を応援したいと思うのだった。そんなある日、昔のバンド仲間が一緒にやらないかとセブをスカウトしにくる。彼らの音楽は、セブが本来やりたかった曲とは違うものだったが、お金を稼ぐため、セブはバンドに入る。彼らは興行的に成功し、アルバムをだしてツアーにあけくれる日々になる。一方ミアは相変わらずの毎日だった。鳴かず飛ばずのミア。成功したセブ。久しぶりに会った2人はささいなことから喧嘩別れになる。ミアはセブに別れを告げ、女優をあきらめ故郷に帰る。ところが映画にミアを使いたいという電話が入り、セブはミアのふるさとに出向き、彼女にもう一度やってみるように説得する。5年後彼らは・・・。ラストが切ないですが、あのラストがあるから2人の夢のようなシーンが映えたと思います。セバスチャンはライアン・ゴズリングが演じています。ハンサムな人!お薦めです。
小川洋子さんの「猫を抱いて象と泳ぐ」を読みました。子象のインディラはデパートの屋上に連れてこられ、人気の的になっていたが、動物園に連れて行こうと計画された時は大きくなり過ぎてエレベーターに乗れず、階段から降ろすこともインディラが怖がってできなかったため、死ぬまでデパート屋上の檻の中で足輪をはめられて生きたのだった。主人公の少年にチェスを教えてくれたマスターは廃車になったバスを住宅に改造して住んでいたが、甘いものが大好きな巨体の持ち主だった。少年に優しくチェスの手ほどきをして少年の才能を開花させてくれたマスターも肥満による心臓発作で死んでしまう。おまけに大きすぎる遺体をバスから出せず、バスを壊さざるを得ない。2つの悲劇は少年に大きくなることに対する恐怖を植え付け、彼は11歳の大きさから成長することを拒むようになる。後年、少年はリトル・アリョーヒンと名付けられた人形の中に入り、客を相手にチェスをする仕事に就く。彼は素晴らしいチェスをさし、棋譜は大変美しく語り草になるほどだったが、彼を知る人は彼と心を通わせたわずかな人たちだけだった。独特の空気感の作品。リトル・アリョーヒンは幸せだったのかもしれませんが、読後感は悲しいです。