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トドの小部屋

写真付き日記帳です。旅行記、本や美術展の紹介、俳句など好きなことをつれづれに。お気軽にどうぞ。

放蕩記とダブルファンタジー

2015-11-01 09:15:29 | 
村山由佳さんの「放蕩記」と「ダブルファンタジー」を読みました。ネタバレです。(__)ダブルファンタジーは売れっ子の脚本家、高遠奈津が主人公で、放蕩記は小説家の夏帆が主人公です。ダブルファンタジーは夫が仕事をやめて、畑での野菜作り、料理他家事一切を引き受け、奈津の創作活動を支える反面、脚本ができると原稿に一番に目を通し、コメントするのが夫であり、報酬の管理も夫がしているという、軟禁状態みたいな夫婦をえがいていた。奈津はその夫と別れる決断をするが、別れたいといいだす勇気が出ない。それでもなんとか別居にこぎつけ、都内に部屋を借りて一人で創作を始める。そんな頃、年輩ではあるが、牡的な魅力にあふれた志澤という高名な演出家と関係を持つ。彼に身も心も奪われ、執着してしまう奈津だったが、短期間であっさりふられてしまい、その後は大学時代に関係のあった優しい先輩や、売れ出し前のガツガツした若い俳優と関係をもったりして、次々に男性遍歴を重ねていく。人にはっきり自己主張できない彼女は、厳しく高圧的だった母親の心理的影響を今もひきずっている。男性遍歴へと彼女を突き動かしたのは、制御できないほど強い性欲だった。自由になった奈津だったが、できたばかりの若い恋人のそばで、寂しいと思うのだった。放蕩記は過去と現在のエピソードを織り交ぜながら夏帆と母の美紀子との関係を中心に描く。夏帆の成長の過程と気持ちが痛いほどわかる物語になっています。幼い頃は異常なほど厳しく、気まぐれでヒステリックな母親を恐れる反面、母が大好きで褒められたい一心だった夏帆だったが、成長していく中で母を嫌悪し、拒絶する心理にいたる。10代終わりから20代にかけて母に隠れて放蕩を繰り返したのは、夏帆の強い性欲のせいだったのはもちろんだが、厳しい母への反逆心も多分にあったのではないか。その母が年老いて認知症になってしまうと、母を愛せず、母が死んでも涙一滴出そうにないと自分でも思っていた彼女はやっと心の呪縛が解かれて、熱い涙を流すのだった。どちらもとても面白い小説だと思いますが、ヒリヒリ感じたのは放蕩記でした。お薦めです。
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