トドの小部屋

写真付き日記帳です。旅行記、本や美術展の紹介、俳句など好きなことをつれづれに。お気軽にどうぞ。

昭和の犬

2020-01-16 15:38:47 | 
姫野カオルコさんの「昭和の犬」を読みました。私にとって初めての作家さんでしたが、昭和人間の私なので、題名にひかれて図書館で借りた本です。主人公の柏木イクは、長年シベリアで抑留されて帰国した父、鼎と母優子の一人娘として滋賀県に住む小学生だった。物語が小学生の頃のエピソードから始まる。長い兵役を経て遅く結婚した両親は、イクの祖父母と思われることもあった。鼎は、時々ものすごい剣幕で怒鳴るというより、咆哮するという形容がふさわしいほど怒りを爆発させ、イクは父が突然怒り出すことを「割れる」と言っていたが、理由もわからず割れる父と、イクの容姿を平然とけなし、へらへら笑う変わった母、優子との三人暮らしの家庭がとても嫌だった。イクは親から褒められたことのない子供だった。しかし、近所の大河内医院の明るい家庭や、学校などに居場所を見出すのだった。そんな状況下にあっても、イクは控えめながらしっかりした中高生に育ち、大学は東京のクリスチャンのメソジスト派の大学に進学した。やっと両親から離れることができたのだった。そして、卒業後は東京で就職した。父、鼎は犬を好み、どんな猛犬でも、てなづける不思議な能力を持っていたが、イクも犬が大好きで、イヌに愛されるのだった。この物語には犬が頻繁に出てきました。イクが成人後、高齢の父が倒れて亡くなり、母もパーキンソン病になり、介護などで、東京と滋賀を月に何度も往復するイクだったが、滋賀に帰る気はなく、東京で一人暮らしを続けていた。この物語はイクが50歳代になるまで描かれるが、普通に考えたら恵まれてると言えない境遇なのに、イクの人柄の良さと、「足るを知る」を地で行くような暮らしぶりが、いいなぁと思え、読後、しみじみしました。2014年第150回直木賞受賞作。イクの成育歴は著者の実体験とかなり重なるようです。お勧めです。
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5 コメント

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面白そうですね (Todo23)
2020-01-20 15:29:51
姫野さん、何冊か読んでいます。
それぞれ面白いのだけれど、何故か続けざまに読むに至らず。
この本も面白そうです。今度読んでみます。
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こんばんは。 (トド)
2020-01-20 21:35:47
コメントありがとうございます。今夜は組長会議でした。そろそろ三月末の総会の準備に向けていろいろ始動しないといけない時期で、会議が毎回長くて疲れます。姫野さんの昭和の犬を読まれたら、またサイトに感想を拝読しに行きますね。私は、今、横尾秀介さんの「いけない」をもうすぐ読み終わりますが、推薦するほどでもなく、ブログで紹介はしないつもりです。(^-^; 姫野さんの次回作として、「彼女は頭が悪いのだから」を読もうかと思いますが、図書館にあるかしら?
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訂正します。 (トド)
2020-01-20 22:06:21
「いけない」の作者は道尾秀介さんでした。姫野さんの小説タイトルは正しくは「彼女は頭が悪いから」でした。m(_ _)m
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こんにちは (Ayu)
2020-01-24 12:40:34
ブログランキングから遊びに来ました。
本をなかなか読む機会が少なくなっているので、読みたくなりました。
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ありがとうございます😊 (トド)
2020-01-26 20:41:36
Ayuさん、アクセス&コメントありがとうございます。私もなかなか本が読めず、読んでも全部をご紹介しないので、本の記事は少ないですが、ご参考になればと思います。
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