『ホスピタリティ』!
誰もが「聞いたことある」言葉ではないでしようか。
でも、なかなか奥深い概念でもあります。
私にとって、ホスピタリティ学の権威である服部勝人教授との出会いは、「ホスピタリティ学」の存在と、その研究成果を勉強する機会となりました。
今日は、私が思う「ホスピタリティ」についてお話しします。
この考え方は、エイジレス・ライフデザイナーにとっても大切なものです。
『ホスピタリティ』の原点は「人間愛」です。
積水ハウスの企業理念に、人間愛-私たちの根本哲学- として次のように唱われています。
『人間愛 人間は夫々かけがえのない貴重な存在である、と云う認識の下に、相手の幸せを願いその喜びを我が喜びとする奉仕の心を以って何事も誠実に実践する事である。
企業は人の集団である。その中の個人夫々が人間愛を実践すれば、苦楽を共にする運命協同体が形成されると共に労使の対立のない全員参加の活力ある経営が実現し、企業発展の原動力となる。また、協力工事店或は取引先との間に人間愛があれば、温かい共存共栄の実が結び、企業基盤の充実がもたらされるであろう。更に顧客に対しては、お客様の幸せを願う心を持ってその所望に叶った商品を創造提供すれば、その満足を得ると共に企業の信用向上に大いに寄与するであろう。商品の開発や環境の創造或は新規事業の選択等も、これらが常に顧客に役立つものか、或は社会に貢献出来るものかを目指すべきであって、これも広い意味での人間愛の実践である。』
「...相手の幸せを願いその喜びを我が喜びとする奉仕の心を以って何事も誠実に実践する事...」まさに、この精神こそがホスピタリティマネジメントだと思います。
この根本哲学は、全ての企業に当てはまる基本理念ではないでしょうか。
対価を期待しながらの奉仕は単なる『サービス』です。
相手の喜びが我が喜びとするのが奉仕の心であり、この気持ちを忘れずに仕事を実践すれば、対価は後から必ずついてきます。
少し詳しく『ホスピタリティ』と『サービス』の「追求要素」の違いを考えてみましょう。
一般的なイメージは、ホスピタリティは「おもてなし」、サービスは「役務提供」的なものではないでしょうか。
前掲の『ホスピタリティ・マネジメント学原論(服部勝人教授)』からの引用させていただきます。
-Quote -
【サービスの追求要素】
・サービスはすみやか行う『迅速性』
・サービスという仕事の出来高と労力の比率を求める『効率性』
・無駄を省き能率的に目標が達成されるようにする『合理性』
・サービスそのもの自体の仕事としての働きを求める『機能性』
・確かに間違いなくサービスを行う『確実性』
・サービスの内容と料金が明らかで確実である『明確性』
・サービスがあくまで客の個人特有なものに向けられている『個人性』
・客にとって便利で都合の良い『利便性』
・状況に応じて素早く行動できる『機動性』
・サービスの機能的価値を判断し、それに見合った等しい価値(等価価値)として金額に表す『価格性』
そして、
【ホスピタリティの追求要素】は
・互いに影響し合う『相互性』
・実際の目的に役立ち効力のあるようにする『有効性』
・精神上の事を重んじ類『精神性』
・期待されることが実現される条件が、それを妨げる条件よりも優性であると確認されているような『可能性』
・ホスピタリティの場で、絶えず予知できないような意外な新しいものを生み飛躍してゆく『創造性』
・私的な形態でなく、社会的・共同的な形態を重んずる『社会性』
・文化の向上や発展をさせ文化価値の実現を図る『文化性』
・人間の心を楽しませ、慰め楽しむ『娯楽性』
・ホスピタリティ共創の場で、一定の材料・条件・技巧・様式などの美的創作・表現す『芸術性』
・動物的・機械的に対して、人の行為・感情の人間らしい思いやりのある『人間性』
-Unquote-
この学びを私なりに解釈すると、
「サービス」はビジネスドリブン!
つまり「仕事思考」の中での、金銭対価期待を前提とした「役務提供」。
そして
「ホスピタリティ」はヒューマン・ウェルビーングドリブン!
つまり、「人間思考」や「社会思考」の中での、金銭対価期待を前提としない、利他精神を前提とした「幸福価値の相互提供」。
「ホスピタリティ」と「サービス」は異なる並列的なものではなく、「ホスピタリティ」の概念に「サービス」が内包されています。
組織開発や社会「場」つくりに携わる方々にとって、そして、エイジレス・ライフデザインを志向してゆく上で『ホスピタリティ』の本義とその価値を認識しておく事が大切です。