沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

広域処理における1市2村のごみ処理計画を考える(まとめ)※追加資料(2村のごみ処理計画の履歴)

2016-05-12 11:37:08 | ごみ処理計画

今日は、村(中城村・北中城村)のごみ処理計画の経歴について書きます。

なお、このブログの管理者は内地からの移住者なので、沖縄県においては地方公共団体の首長さんや職員の皆さんに対して敬称を使用しない場合は失礼になる可能性があることはなんとなく理解しています。しかし、ブログの記事に敬称を使用していると妙な錯覚を起こしそうなので、あえて呼び捨てにさせていただきます。したがって、議員の皆さんや住民の皆さんも呼び捨てにさせていただきます。ただし、このブログの読者の皆さんだけには敬称を使わせていただきます。

ということで、まず、下の画像をご覧下さい。

これは、2村の平成25年度の経歴ですが、この年度は5月に政府が5年ごとに見直すことになっている廃棄物処理法の規定に基づく「廃棄物処理施設整備計画」が閣議決定されています。また、6月に環境省が「ごみ処理計画策定指針」を改正しています。そして、11月には政府が「インフラ長寿命化基本計画」を決定しています。 

原寸大の資料(画像をクリック)

上の画像にあるように、2村は平成25年度の最後の月(平成26年3月)にごみ処理計画を改正していますが、その内容は国の施策である「廃棄物処理施設整備計画」や「ごみ処理基本計画策定指針」、そして、「インフラ長寿命化基本計画」を完全に無視した計画になっています。

ちなみに、2村が改正したごみ処理計画は浦添市と同じように県の廃棄物処理計画を上位計画にしていますが、2村はこの県の計画(溶融炉の整備を推進して最終処分場の延命化を図る計画)も無視しています。ただし、今日はそのことを書くのが目的ではないので、本題に移ります。

2村の村長が国の施策を無視することを知っていてごみ処理計画を改正したのかどうかは分かりませんが、少なくとも担当職員は知っていたはずです。なぜなら、知っていなければ村長の補助機関として住民の福祉の増進を図るための事務処理を行うことができないからです。

なお、ここで重要なのは、2村は平成25年度において、少なくとも溶融炉については長寿命化を行わないことを決定しているということです。

インフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」の策定期限は平成28年度になっていますが、2村の村長は平成26年3月に平成26年度から平成35年度までは溶融炉の運用を行わないことを決定しているので、溶融炉については「行動計画」の策定期限の2年前に村長が長寿命化を行わないことを決定していることになります。そして、2村の村長はそのことによって平成25年度に国の補助金を利用する権利を放棄していることになります。

廃棄物処理施設整備計画(平成25年5月31日閣議決定)

ごみ処理基本計画策定指針(平成25年6月24日改正)

インフラ長寿命化基本計画(平成25年11月29日閣議決定)

北中城村一般廃棄物処理基本計画(平成26年3月改正)

次に、下の画像をご覧下さい。

これは平成26年度の2村のごみ処理計画の履歴ですが、平成25年度に2村の村長が改正したごみ処理計画には溶融炉を休止することや廃止することは書かれていません。しかし、約4月前に決定している「インフラ長寿命化基本計画」のことを考えれば、廃止することで決定していたことになります。なぜなら、長寿命化計画には休止という選択肢はないからです。

しかし、2村は平成26年度において溶融炉を廃止するための財産処分の承認手続を保留していました。この判断はほぼ間違いなく職員の判断によるものと考えていますが、結果的に所有財産(溶融炉)の所有の目的(焼却灰の資源化)に応じた効率的な運用を行っていなかったことになるため、地方財政法第8条の規定に違反する事務処理を行っていたことになります。 

原寸大の資料(画像をクリック)

平成26年度において重要なのは、9月に会計検査院が溶融炉を1年以上停止(休止)している市町村に対して環境省を通じて是正の要求(廃止か再稼動かを決定する要求)を行っていることです。

会計検査院は平成25年度に調査を行っていたので、その時点では2村はまだ溶融炉を稼動していたことになりますが、会計検査院が是正の要求を行ったことで、2村は1年以上溶融炉を休止することができない状況になりました。しかし、2村はこの要求を無視して平成27年度も休止を続けていました。

なお、平成26年度は3月に環境省がごみ処理施設の長寿命化に関する手引きやマニュアルなどを改訂しています。そして、国の補助制度に関するガイドラインとも言える循環型社会形成推進交付金に関する要綱や取扱要領も改訂しています。しかし、2村はこれらの国の施策についても無視しています。

会計検査院による是正の要求(平成26年9月30日)

長寿命化計画策定の手引き(平成27年3月改訂)

長寿命化マニュアル(平成27年3月改訂)

循環型社会形成推進交付金交付要綱(平成27年3月改正)

循環型社会形成推進交付金交付取扱要領(平成27年3月改正) 

次に、下の画像をご覧下さい。

これは、平成27年度の2村のごみ処理計画の履歴ですが、12月には浦添市が2村との広域処理を前提にした広域施設の整備に関する基本的な計画やスケジュールをマスコミ発表しています。したがって、この段階で浦添市は2村との広域処理に同意していたことになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

上の画像において重要なことは、浦添市が広域処理に同意した後の平成28年1月に環境省が廃棄物処理法の基本方針を変更していることです。そして、2村の村長が広域処理の推進を正式に公表する直前に、総務省が環境省に対して市町村が所有しているごみ処理施設の長寿命化を促す勧告を行っていることです。

もちろん、これらのことは、2村の職員が知っていなければならないことになります。したがって、溶融炉を休止していることや焼却炉の長寿命化計画を策定していないこと等については、村長にキチンと報告をして適正な命令を受ける事務処理を行わなければならないことになります。しかし、2村は平成27年度中にその事務処理を完了することができませんでした。

おそらく、12月に広域計画をマスコミ発表した時点では、浦添市は余裕を持って平成27年度中に協議会を設立することができると考えていたはずです。なぜなら、広域処理における事前協議において一番難しい協議になる広域施設の整備に関する基本的な計画が決定していたからです。

廃棄物処理法基本方針(平成28年1月21日変更)

環境省に対する総務省の勧告(平成28年3月1日)

次に、下の画像をご覧下さい。

これは、上の3つの画像(平成25年度から平成27年度までの経歴)を繋げたものですが、平成25年度からの3年間の2村の村長の施設方針は、見事に国の施策に対して非協力的な施政方針を貫いています。

しかし、2村の村長が施政方針を変更して他の市町村(浦添市)との広域処理を推進することを決定した限りは、これ以上国の施策に逆らうような事務処理を行うことはできなくなります。 もちろん、法令違反(溶融炉の休止)を続けて行くことは絶対にできません。

原寸大の資料(画像をクリック)

平成27年度に協議会を設立することはできなかったものの、2村の村長は3月の時点で広域処理を推進することを正式に表明しています。そうであるならば、任期を満了する前に焼却炉と溶融炉に対する長寿命化計画の方針を決定しておかなければなりません。なぜなら、2村の村長は平成25年度に溶融炉の長寿命化を行わないことを決定しているからです。

なお、焼却炉の長寿命化については、2村の村長が広域処理の推進を決定する前(3月1日)に国(総務省)から実施するように要求されていることになるので、環境省や県の助言等を受ける前に既に決定していることになります。したがって、2村においては、平成27年度において溶融炉を適正に廃止して焼却炉の長寿命化を実施することが決定していたことになります。しかし、協議会を設立することはできませんでした。その理由は、2村の村長が職員に対して溶融炉の廃止や焼却炉の長寿命化に関する具体的な命令を行わなかったからです。

下の画像をご覧下さい。 

これは、国の施策に対する2村の村長の考え方の履歴を整理した資料です。

国の施策は、市町村のごみ処理に対する技術的援助と財政的援助を行うために策定されています。そして、市町村による住民の福祉の増進を図ることを目的として策定されています。

しかし、2村の村長はごみ処理計画を改正した平成25年と平成26年度は国の施策を完全に無視してきました。平成27年度については平成28年度における2村の村長の考え方がまだハッキリしていないので、結論を出すことはできませんが、浦添市との広域処理を推進することを表明しているので、考え方を変えることも表明していることになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

このように、2村の村長が中城村の村長の任期が満了する前に考え方を変えて、職員に対して溶融炉の廃止や焼却炉の長寿命化に関する命令を行わなかった場合は、結果的に平成28年度も2村の村長は国の施策を無視したことになり、平成27年度も無視していたことになります。

したがって、その場合は広域処理は白紙撤回ということになります。

下の画像をご覧下さい。

これは、2村の村長が平成28年度(中城村の村長が任期を満了する前)に職員に対して国の施策に対応する命令を行わなかった場合と行った場合を比較した資料になります。 

原寸大の資料(画像をクリック)

上の画像にあるように、2村の溶融炉が処分制限期間を経過している場合は休止をしても廃止をしても設備に対する補助金を返還することは不要になりますが、2村の村長が国の施策に対応する命令を行わなかった場合、つまり、国の施策を無視した場合は一番左のような結果になります。

ただし、この場合は、国の施策に対応する前に法令違反を是正する命令を行っていないことになるので、広域処理を推進することは不可能になります。  

地方公共団体は法令に違反して事務処理を行うことはできません。したがって、法令に違反している地方公共団体に国が財政的援助を行うこともできないことになります。 

一方、2村の村長が職員に対して上の画像の真ん中にある命令を行った場合は、法令違反を是正して国の施策に対応する命令を行ったことになるので、国の補助金を利用して焼却炉の長寿命化を実施すれば広域処理を推進することが可能になります。 

下の画像をご覧下さい。

これは、2村が溶融炉を休止していても地方財政法第8条の規定に適合しているという前提で作成した資料です。

あり得ないことですが、仮にあり得るとした場合は、浦添市が長寿命化を行っていることは所有財産を所有目的に応じて効率的に運用していないことになるので、浦添市が地方財政法第8条の規定に違反することになります。そして、2村に対して国が財政的援助を与える場合は、国が国の施策を変更してごみ処理施設の長寿命化を禁止しなければならないことになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

2村の村長が溶融炉を休止していることについてどのように考えているのかは分かりませんが、仮に、浦添市に対して地方財政法第8条に違反していないと伝えているとした場合は、浦添市に対して法令違反の是正を求めなければならないことになってしまいます。そして、国に対して国の施策の変更を求めなければならないことになります。

しかし、浦添市は既に国の補助金を利用して長寿命化を実施しているので手遅れです。

したがって、広域処理は白紙撤回ということになります。

下の画像をご覧下さい。

これは、処分制限期間を経過した場合は地方財政法第8条の規定が適用されないという前提で作成した資料です。 

原寸大の資料(画像をクリック)

このように、休止している2村の溶融炉に対して地方財政法第8条の規定が適用されない場合であっても、2村の村長が国の施策に対応する命令を行っていない場合は、国の補助金を利用する権利を放棄していることになるので、広域処理を推進することは不可能になります。

下の画像をご覧下さい。

これは、上の画像において国がごみ処理施設の長寿命化については市町村の任意で決定することができるというように国の施策を変更した場合を想定して作成した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

  

このように、ごみ処理施設の長寿命化を市町村の任意で決定することができるようになっても、1市2村が広域処理を推進する場合は廃棄物処理法第6条第3項の規定に基づいて1市2村のごみ処理計画の調和を確保しなければならないので、2村が焼却灰の委託処分を継続する場合は1市2村が法令に違反していることになります。

したがって、2村だけでなく浦添市も国の補助金を利用する権利を放棄していることになるので、広域処理は白紙撤回ということになります。

下の画像をご覧下さい。

これは、2村の村長が平成28年度においても法令違反の是正を行わずに国の施策を無視し続けた場合を想定して作成した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

浦添市の場合は、広域処理が白紙撤回になっても、国の補助金を利用して単独更新を行うことができます。しかし、その場合であっても更新施設が完成するのは長寿命化から12年目以降になるので、今年度中に単独更新に関する事務処理に着手する必要があります。

一方、2村の場合は、自主財源によりごみ処理施設の整備を行っていかなければならないので、来年度から40億円以上の基金の積み立てが必要になります。しかも、供用開始から22年目頃まで自主財源により老朽化対策を行っていくことになるので、財政負担が更に増加することになります。

ここで、もう一度下の画像の真ん中の部分をご覧下さい。

原寸大の資料(画像をクリック)

2村の村長が中城村の村長の任期が満了する前に、法令違反を是正して国の施策に対応する命令を行ったとしても、スケジュールを決定しなければ、命令を行ったことにはなりません。したがって、職員がスケジュールが決定するのを待っていたら手遅れになってしまいます。

下の画像をご覧下さい。

これは、そのスケジュールを整理した資料になります。

浦添市の溶融炉の長寿命化の時期と老朽化の進行を考えると平成31年度に広域組合を設立するスケジュールはギリギリのスケジュールになると考えます。したがって、2村は平成30年度には国の補助金を利用して焼却炉の長寿命化を完了していなければならないことになります。そして、そのため(国の補助金を利用するため)には、平成29年度には代替措置を講じて溶融炉を廃止していなければならないことになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

このように、平成28年度において協議会を設立することができれば、1市2村において広域施設の整備に関する本格的な協議を行うことができます。

しかし、その間に、平成29年度に実施する溶融炉を廃止するために講じる代替措置に関する準備を完了しなければ、協議会を設立した意味がなくなってしまうことになります。

最後に、下の画像をご覧下さい。

これは、平成28年度に協議会を設立して平成31年度に解散(広域処理を白紙撤回)した場合の1市2村のごみ処理計画の履歴になります。

原寸大の資料(画像をクリック)

このように、平成31年度に浦添市が単独更新に変更した場合は、溶融炉の長寿命化から15年目以降に更新施設が完成することになるので、朽化対策費が著しく増加することになります。また、長寿命化を行った溶融炉を15年以上も使用することは未知の領域に踏み込むことになるので想定外のトラブルが発生する可能性があります。

したがって、浦添市の場合は平成31年度に広域組合を設立することが絶対条件になるので、2村が平成28年度中に溶融炉を廃止するために講じる代替措置に関する準備を完了しなかった場合は広域処理は白紙撤回ということになります。

また、2村においても平成28年度中に溶融炉を廃止するために講じる代替措置に関する準備を完了しなかった場合は、平成35年度頃から老朽化対策そのものが困難になるので、新たなごみ処理施設が完成するまで可燃ごみの焼却を外部委託するような状況になってしまいます。

もちろん、その間に大規模災害等が発生した場合は、災害廃棄物の焼却処理も外部委託することになるので、住民の福祉の増進を図ることは不可能な状況になってしまいます。

以上が、2村のごみ処理計画の履歴になりますが、2村においては平成28年度に溶融炉を廃止するために講じる代替措置の準備を完了することができるかできないかによって、未来の履歴が大きく変わることになります。 

広域処理の成功を祈ります。


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