沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

中北組合の「行動計画」を考える(その2)※更新コストの見通し

2016-06-15 11:37:15 | ごみ処理計画

その1では、インフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」には、①更新コストの見通しを記載することと、②平成28年度が「行動計画」の策定期限になっていることを書きました。

そこで、その2では更新コストの見通しについて書きます。その前に、下の画像をご覧下さい。

これは、中北組合の特徴を整理した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

このように、上の2つの特徴は別にして、下の4つの特徴を見ていただければ分かる通り、中北組合は公共の発想ではなく民間の発想でごみ処理を行っている自治体ということになります。

その理由をこのブログの管理者は組合に対して負担金を支出している中城村と北中城村が中北組合に事務処理を丸投げしているからだと考えています。

下の画像をご覧下さい。

市町村が一部事務組合に事務処理を丸投げしていると、どうしても無関心になります。そうなると、他の市町村の事務処理等についても無関心になります。その一部事務組合が民間の発想で事務処理を行っていると供用開始から13年目になってもごみ処理施設の長寿命化計画を策定していないという状況になります。

しかし、中北組合は今年度中にインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」を策定しなければなりません。しかも、浦添市との広域処理を前提とした「行動計画」を策定しなければならないことになります。

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仮に、中北組合が平成28年度も民間の発想で事務処理を行っている場合は、供用開始から14年目になっても長寿命化計画を策定しないという事態になります。そして、「行動計画」の策定も無視することになります。

下の画像は、そうなった場合を想定して作成した資料です。 

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このように、民間の発想で事務処理を行っている中北組合と公共の発想で事務処理を行っている浦添市が広域処理を推進することは絶対にできません。したがって、浦添市は広域処理を白紙撤回して単独更新を前提とした「行動計画」を策定することになります。

その場合、中北組合がどのような「行動計画」を策定するかは分かりませんが、普通に考えると自主財源により単独更新を行う計画を策定することになります。そして、その自主財源は普通に考えると40億円以上になります。

下の画像は、その場合の住民と中北組合との関係を整理した資料です。

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中北組合に支出している負担金は中城村と北中城村が支出していますが、その中北組合が適正な「行動計画」を策定しなかった場合は、中北組合は2村の住民のごみ処理を専門に行っている民間の廃棄物処理業者とほぼ同じ組織ということになってしまいます。したがって、更新コストの全額(40億円以上)を住民が直接負担することになります。つまり、その場合は、通常のごみ処理費や維持管理費とは別に住民1人当り11万円以上を負担しなけれならないことになってしまいます。

ここで、一旦、「行動計画」に対する中北組合の条件を整理しておきます。

地方公共団体が関係法令を遵守することは当たり前のことですが、中北組合は平成27年度まで民間の発想で事務処理を行ってきたので、一番最初の条件に加えました。

この中で重要なのは「行動計画」を浦添市との広域処理を前提にして策定しなければならないことです。また、今年度中に策定しなければならないので、遅くとも12月までには更新コストを含む中長期的なコストの見通しを立てなければならないというところです。

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では、中北組合は平成28年度においてどのような「行動計画」を策定することになるのか?

下の画像は、中北組合が平成27年度と同じ発想で「行動計画」を策定した場合を想定して作成した資料です。

溶融炉を廃止すれば地方財政法第8条違反は是正されますが、浦添市のごみ処理計画との調和を確保しない場合は廃棄物処理法第6条第3項の規定に違反することになるので、この「行動計画」では広域処理を推進することはできません。もちろん、廃棄物処理法の基本方針や沖縄県の廃棄物処理計画に適合しない「行動計画」では国の補助金を利用することはできないので、自主財源により単独更新を行うことになります。

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下の画像は、中北組合が平成27年度と同じ発想で「行動計画」を策定しても浦添市との広域処理を推進することができると考えている場合を想定して作成した資料です。

これは、国や県、そして浦添市も中北組合と同じように民間の発想で事務処理を行わなければ成立しない「行動計画」になります。しかし、国が浦添市や中北組合に対して財政的援助を行った場合は間違いなくスキャンダルになります。

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下の画像は、中北組合が溶融炉を再稼動して焼却炉とセットで長寿命化を行う「行動計画」を作成した場合を想定して作成した資料です。 

この「行動計画」であれば、浦添市のごみ処理計画との調和を確保することができます。しかし、中北組合が浦添市と広域処理を推進する場合は浦添市の財政に累を及ぼすような施策を行うことになるので、地方財政法第2条第1項の規定に違反することになります。

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下の画像は、中北組合が溶融炉を再稼動しても浦添市との広域処理を推進することができると考えている場合を想定して作成した資料です。

複数の市町村が広域組合を設立する場合は、事前に議会の承認を得なければなりません。そして、議会の承認を得るためには住民の理解と協力が得られるような施策を行っていなければなりません。したがって、中北組合の溶融炉を再稼動して長寿命化を行うという「行動計画」は選択肢から除外しなければならないと考えます。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

下の画像は、このブログの管理者が考えている中北組合が浦添市との広域処理を推進する場合に策定することになる適正な「行動計画」を想定して作成した資料です。なお、この「行動計画」であれば、単独更新する場合であっても中北組合は国の補助金を利用することができます。

中北組合が公共の発想で全ての条件を満足する「行動計画」を策定するとすれば、この「行動計画」しかないと考えています。しかし、平成27年度まで民間の発想で事務処理を行ってきているので、この「行動計画」はハードスケジュールになります。なお、浦添市は広域処理が白紙撤回になっても大勢に影響はないので、余裕を持って「行動計画」を策定することができます。

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次に、下の画像をご覧下さい。

これは、中北組合ではなく浦添市が策定する「行動計画」を想定して作成した資料です。

中北組合は平成10年代に県内(本島)でごみ処理施設を整備した自治体の中では唯一長寿命化計画を策定していない自治体になります。したがって、このまま1市2村が広域組合を設立すると、その広域組合も長寿命化計画を策定していない自治体になってしまいます。

このため、浦添市としては、中北組合が適正な「行動計画」を策定することはもちろんのこと、実際に実施計画を策定して長寿命化を実施することを確認しなければ、広域処理を前提とした「行動計画」を策定することはできないことになります。

なお、2つ目の画像は、1つ目の画像と比較するために中北組合が平成28年度も民間の発想で事務処理を行っている場合を想定して作成した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

最後に、下の画像をご覧下さい。

浦添市が適正な「行動計画」を策定するためには、中北組合が公共の発想で事務処理を行うことが大前提になります。しかし、中北組合がここにある4つの条件をクリアできない場合は、広域処理を白紙撤回して単独更新を前提とした「行動計画」を策定しなければならないことになります。

なぜなら、浦添市が自主財源のみを前提として「行動計画」を策定することはあり得ないことだからです。

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以上により、中北組合が浦添市との広域処理を推進するためには、今年度中に上の資料にある4つの条件を満足する「行動計画」を策定しなければならないと考えます。


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