阪谷良之進氏が1931年に撮影した写真。首里城正殿前の広場の左右にバスケットゴールが写っている([戦前の沖縄 奄美写真帳] 沖縄県立図書館所蔵 CC BY 4.0)(沖縄タイムス)
沖縄県立首里高校と県立芸術大学の生徒・学生が、戦前に首里城で撮影された写真などを手掛かりに、バスケットゴールと昔のボールを再現する。
8月25日に沖縄で開幕する「FIBAバスケットボールワールドカップ(W杯)2023」に向けた取り組みで、生徒らは「首里城前にバスケットゴールがある写真を見て驚いた。ゴールの完成とW杯の開催がとても楽しみ」と期待する。(社会部・當銘悠)
県立芸大の張本文昭教授(野外教育、身体教育学)と沖縄バスケット情報誌アウトナンバーの金谷康平さんが、首里城にバスケゴールが写った写真の存在を知ったのがきっかけ。独自に沖縄でのバスケの歴史を、写真や文献で調べた。
写真の中の1枚は、1931年に撮影されたもので、首里城正殿前の広場(御庭)にバスケゴールが写っている。
首里城正殿補修工事の視察のため来沖した文部省文部技師の故阪谷良之進氏が撮影したもので、県立図書館が収蔵する。
W杯を盛り上げようと、張本教授と金谷さんが地元の首里高の生徒や県立芸大の学生に声をかけ、バスケゴールの再現を提案した。
首里城の写真のほか、県立一中の生徒がバスケを楽しむ写真なども残っていた。ゴールは木製で、写真から大きさなどを推測して制作する。
生徒や学生は、沖縄バスケの歴史を張本教授から学んできた。今月25日には会議を開き、制作に向けた具体策を話し合う。
首里高バスケ部キャプテンの知花史騎さん(18)は「沖縄バスケの始まりは本島中部や米軍のイメージだったけれど、首里とバスケの関わりを知って面白いと思った。ゴールの復元は楽しみでしかない」と声を弾ませた。
県立芸大工芸専攻2年の辺土名奏位(かない)さん(20)は「首里城にバスケットゴールが置かれている写真を見て、とても驚いた」とし、再現に意欲を燃やしていた。
備考
首里城の歴史
そして、2019年10月31日未明に、正殿内部から発生した火災により、正殿をはじめする9施設が焼失しました。
火災は約11時間にわたり燃え続けた後に、鎮火されました。火災後には、警察及び消防による調査が行われましたが、火災原因の特定には至りませんでした。