2012年3月の公演を最後に一線での活動を控えていた民謡歌手・知名定男の復帰コンサートが3月29日、うるま市民芸術劇場響ホールであった。ブランクを感じさせない艶っぽい歌声としなやかな指使いから奏でられる三線の音色―。「これからは、しがみついてでも歌い続ける」と誓った。南こうせつや宇崎竜童らと共演するなど豪華なステージで復帰を飾った。
「南洋小唄」や軽快なリズムの「ヒンスー尾類小」など立て続けに5曲歌った。知名定照の琉琴に合わせ、味のある声で完全復活を印象付けた。
最初のゲストは知名を「さだおじー」と親しみを込めて呼ぶ夏川りみ。「童神」「涙そうそう」をしっとりと歌う。「十九の春」は知名と掛け合いで歌い、会場を沸かせた。
知名が「兄弟分」と呼ぶ南は「うちのお父さん」を観客と共に歌い、心を一つにする。知名との「神田川」ではギターの旋律と三線の音色が調和し、ぜいたくな舞台をつくり上げた。南の声だけが静寂の会場に響き、観客も心に染み入った様子で聞き入った。
続いて登場したのは知名が「透き通る歌声」と絶賛する森山良子。「初めて沖縄と関われた歌」(森山)と言う「さとうきび畑」をギター1本で歌うと、心を揺さぶられ、涙を拭う人の姿も見られた。知名の三線に合わせ、「てぃんさぐぬ花」をうちなーぐちで歌うなど沖縄の人に寄り添った歌を披露した。
宇崎もギターをかき鳴らしながら「沖縄ベイブルース」などを歌い、知名とは「赤花」をセッションした。特別ゲストとして元THE BOOMの宮沢和史も飛び入り。知名から「せがれです」と紹介された宮沢は「島唄」を歌った。
知名は再び舞台に登場し、ネーネーズと「バイバイ沖縄」を歌い終わると「復帰できてよかった」としみじみと話した。アンコールでは知名作曲の「山河、今は遠く」「黄金の花」を全員で歌い上げた。
感謝の思いを込めるように、それぞれのゲストとセッションを始める前に目を合わせて、笑顔で三線を弾き始める知名が印象的だった。58年間の歌手生活で得た“家族”との共演で再出発を果たした。(大城徹郎)
下は懐かしの動画
島唄-Gackt&知名定男
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声が出る限り、歌い続けて欲しいものです。