個別指導塾 ONE-S(ワンズ)のブログ

堺市上野芝にある個別指導塾です。進学から補習、不登校の子どもの学習サポートなど、さまざまな子どものニーズにこたえます

知らないって言いにくいですよね

2017-08-03 12:08:53 | 教室から
こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。

少し前のある会議での、70代の男性と40代の女性との会話です。男性「最近は昔と違って女性も働きやすい社会になってきたのではないでしょうか」 女性「そうですね。まだまだ不十分だとは思いますが、少しずつ良くなっていると思います。子育てに関してもイクメンという言葉もできましたし」 男性「ああ、イケメンですよね」 女性「(それには答えず)イクメンという言葉がもっと浸透してほしいですね」 男性「そうそう、イケメンね」 女性「(まあいいか)そうですね」

私もそこで話に入ればよかったのですが、おまけに参加させてもらったような会議でしたのでその場では何もいえず、会議の後この男性に「イケメン」と「イクメン」の違いを話しました。みなさんだったら、どうしますか? 本当のことを言うと男性が傷ついてしまうかもと考えて黙っていようと思う人もいるかもしれませんが、このときの男性はすごく感謝してくれました。「知らないままの方がずっと恥ずかしいから、教えてくれてありがとう」と言ってました。

私は知らないことがあればすぐに人に尋ねたり調べたりします。知らないことは別に恥ずかしいことでもなく、「そんなことも知らんの?」などと言う人がいても基本気にせず、関わらなければいいんです。私が指導してきたこれまでの生徒の中にも、語彙力がかなり低い子がいました。その生徒や保護者の方と何度も話しているうちに、その原因がわかってきました。

この生徒は、自分の家族に何かを質問したことがなかったのです。家族ですらそうですから、友達や学校の先生に対してはもちろんなかったのです。正確には、小学校の低学年頃までは少しは質問していたらしいのですが、それ以降はわからないものがあっても、絶対に人に聞かなかったようです。「バカにされるのがいやだった」のが一番の理由でしたが、家族であれこれ話をしていて、何かわからない言葉がでてきたりしても、適当に話を合わせていました。テレビで家族のみんながある場面で笑っているが、自分はどこがおもしろいか意味がわからない。でも同じように笑っていよう、そんなふうに過ごしてきたのです。

そうしているうちに、学校の授業もまったくわからなくなってきて、中学生になる頃にはどの科目もえらいことになってしまっていました。私の塾に来てくれたのは、中1の終わりでした。私もすぐには気づきませんでしたが、話をするときにも私の表情を見て返事をしているのです。おそらく、私が話している内容が理解できなかったのでしょうが、どういう返事をするのかを表情をうかがいながら決めて、話を合わせようとしていました。そこで本人とゆっくり話し合って、「他の人にできなかってもかまへんから、俺にだけはわからんことはわからんと言ってほしい。それが勉強のことであっても、そうでなくても。どんなことでもいいから、わからなかったり疑問に思うことは全部俺に聞いてほしい。」と約束してもらいました。

この生徒の学力が低かったのは、もちろんこれが原因だけでなく、いろいろな要素が重なり合っていたのですが、私と約束したことを守ってくれて、どんどん質問してくれるようになり、そのうち私だけでなく家族にも聞けるようになった結果、少しずつですが学力の面でも変化が現れてきました。

語彙力が高くなり国語がよくなったばかりでなく、社会や理科や英単語の暗記、さらに数学まで全体的に学力が上がりました。わからないときは、すぐに誰かに質問し、理解したうえで暗記したり、解き方を考えたりする習慣がついたことが大きな要因だったのでしょう。そして、少しできるようになったことから、自信が生まれたのも大きかったと思います。

私はこの生徒と出会えてから、よりいっそう生徒との対話を大切にしています。知らないことやわからないことは誰かに聞くようにと言われますが、それが簡単にはできない子どもはたくさんいます。生徒たちが気軽に質問できるような環境づくりをすることで、勉強の面だけでなく、これからの人生においても子どもたちの役に立つことができると信じています。

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