こんにちは。堺市西区の上野芝にある個別指導の学習塾ONE-S(ワンズ)の塾長の松下です。
先日は「知らない」ことについての話をしましたが、今回もそこから生まれる問題について書いていきます。
「万引き」をした子どもがいたとします。私たちは「万引き」が犯罪であり、いけないことと知っていますが、もしこの子どもが「万引き」をすることがいけないことだと教えてもらっていなかったらどうでしょう? 私は子どもではなく、それを教えていない保護者に責任があると思います。法律には詳しくないため、正しいことはわかりませんが「万引き」がいけないことだと知らなかったわけですから、少なくとも子どもに責任はないと思います。
「万引き」をいけないことだと教えていない家庭はほとんどないでしょうが、それでは「先生に暴言を吐いてはいけない」「友達をいじめてはいけない」「授業中は立ち歩かず静かにする」「宿題はきちんとする」などはどうでしょうか。これらを教えていない家庭となると「万引き」の場合と比べて、ずっと増えるはずです。授業中に騒いだり、同級生や先生に暴力をふるったり、いわゆる問題のある子どもに対しては、「ホンマ最近の子どもはあかんよな」という声をよく聞きますが、正確には「最近の一部の親は子どもに教えなければならいことを教えていない」のです。ではどうして、子どもに教えないのでしょうか。それは、その親も教えてもらっていないからです。
ほぼ例外なく、人は家族の影響を受けて育ちます。生活の面で、各家庭のルールは存在しますよね。たとえば、私の家庭ではバスタオルだけでなく普通のタオルも家族それぞれが自分のタオルを持っていて、共有のタオルというものがありません。ずっとそれが当たり前だと思っていたのですが、友人などに聞いてみると家族みんなで同じタオルを使う家庭の方が多いことにビックリしました。子どもにとっては、特に10歳ごろまでは、やはり家庭がその子の常識になるのです。
ですから、大切なことを教えてもらっていない子どもは、学校でもそれがいけないこととは思わずに、いろんな悪さをします。それを先生に注意されても何が悪いのかわかっていません。そこできちんと先生が子どもに教えてあげることができればいいのですが、以前と違って学校ではそういうことができる環境がだんだんと崩れてしまっています。
貧困家庭が大きな社会問題となっていますが、よく負の連鎖をどこかでとめないといけないと言われます。貧困家庭の子どもは、経済的な理由で塾などにもいけませんし、勉強できるような環境ではないことが多いです。そうなると社会に出てもなかなか就職できずにさらに経済的に厳しくなるというのが負の連鎖です。もちろんそういった面はありますが、私は貧困というのは経済的なものよりも、知識の貧困が問題だと思います。
貧困家庭といっとっても、それこそさまざまなケースがありますので、すべてに当てはまるものではありません。ですから、ここでは誰もが聞いたことのあるケースについて話します。10代、特に16~19歳頃に結婚するのも最近では珍しくなくなりましたね。ですがこのケースの多くは貧困家庭になっているのです。考えてみれば当たり前のことで、子どもを育てるには、まずお金が必要です。10代の夫婦ですと、貯蓄はほとんどないでしょうし、まだどちらか一方は学生で就労すらしていないかもしれません。そして往々にして離婚して、シングルマザーになったりします。誤解のないように言っておきますが、私はシングルマザーを否定しているわけでもなく、離婚はだめだと言っているのでもなく、ただ無計画性を問題にしているのです。何が問題かというと結婚した当事者同士は、自分たちの選んだ道だから、それがたとえ苦しい道であっても逃げ出さずに頑張らないといけませんが、生まれてくる子どもが、適切な子育てをされず成長してしまうと、さまざまな面で不利になり苦しい生活になってしまう可能性が高いです。生まれた瞬間から、子どもの運命が決まってしまっているような、これが負の連鎖ですね。しかも下の世代にいくごとに悪化していきます。
どうしてこのようなことが起きるのかを一言でいえば「知識の貧困」です。子どもを育てること、親になることがどれほど大変でどれほどの覚悟が必要なのかを知らないからなのです。
貧困家庭には経済的な援助は必要でしょう。しかし、この負の連鎖を食い止めたり、新たな貧困家庭を生み出さないためには、経済的な援助だけでなく、知識を与えてあげることこそが何よりも大切です。
各家庭で教えることができないものは学校で教えればいいのです。せっかくの義務教育なのですから、基本的には子ども全員に伝えることができる絶好の場所なのです。確かに算数や国語などの勉強も必要でしょうが、それと同じくらい、いや将来的にはもっと大切になってくるようなことをもっと授業に取り入れればいいんです。たとえば法律、刑法や民法など自分たちの暮らしと大きな接点がありますし、知っていた方がいいことがたくさんあります。無駄な知識を詰め込むよりも、よっぽど効果的だと思います。または、親になるということはどういうことか、子どもを育てるということはどういうことか。いろんなデータや統計なども合わせてはっきりと伝えればいいんです。厳しい現実を伝えることもせずに前に進めるはずもありません。子どものときから、勉強だけでなく、幅広い知識を与えてもらうことで、いろいろと考えることができ、より冷静な判断力や養われ責任感も強くなります。テストのための勉強だけでなく、人間として生きていくうえで大切なもの、それを教えるのは今は家庭ではなく学校でしなければならないと感じます。そうすることで必ず負の連鎖を断ち切ることができるはずです。
ONE-SのHP
先日は「知らない」ことについての話をしましたが、今回もそこから生まれる問題について書いていきます。
「万引き」をした子どもがいたとします。私たちは「万引き」が犯罪であり、いけないことと知っていますが、もしこの子どもが「万引き」をすることがいけないことだと教えてもらっていなかったらどうでしょう? 私は子どもではなく、それを教えていない保護者に責任があると思います。法律には詳しくないため、正しいことはわかりませんが「万引き」がいけないことだと知らなかったわけですから、少なくとも子どもに責任はないと思います。
「万引き」をいけないことだと教えていない家庭はほとんどないでしょうが、それでは「先生に暴言を吐いてはいけない」「友達をいじめてはいけない」「授業中は立ち歩かず静かにする」「宿題はきちんとする」などはどうでしょうか。これらを教えていない家庭となると「万引き」の場合と比べて、ずっと増えるはずです。授業中に騒いだり、同級生や先生に暴力をふるったり、いわゆる問題のある子どもに対しては、「ホンマ最近の子どもはあかんよな」という声をよく聞きますが、正確には「最近の一部の親は子どもに教えなければならいことを教えていない」のです。ではどうして、子どもに教えないのでしょうか。それは、その親も教えてもらっていないからです。
ほぼ例外なく、人は家族の影響を受けて育ちます。生活の面で、各家庭のルールは存在しますよね。たとえば、私の家庭ではバスタオルだけでなく普通のタオルも家族それぞれが自分のタオルを持っていて、共有のタオルというものがありません。ずっとそれが当たり前だと思っていたのですが、友人などに聞いてみると家族みんなで同じタオルを使う家庭の方が多いことにビックリしました。子どもにとっては、特に10歳ごろまでは、やはり家庭がその子の常識になるのです。
ですから、大切なことを教えてもらっていない子どもは、学校でもそれがいけないこととは思わずに、いろんな悪さをします。それを先生に注意されても何が悪いのかわかっていません。そこできちんと先生が子どもに教えてあげることができればいいのですが、以前と違って学校ではそういうことができる環境がだんだんと崩れてしまっています。
貧困家庭が大きな社会問題となっていますが、よく負の連鎖をどこかでとめないといけないと言われます。貧困家庭の子どもは、経済的な理由で塾などにもいけませんし、勉強できるような環境ではないことが多いです。そうなると社会に出てもなかなか就職できずにさらに経済的に厳しくなるというのが負の連鎖です。もちろんそういった面はありますが、私は貧困というのは経済的なものよりも、知識の貧困が問題だと思います。
貧困家庭といっとっても、それこそさまざまなケースがありますので、すべてに当てはまるものではありません。ですから、ここでは誰もが聞いたことのあるケースについて話します。10代、特に16~19歳頃に結婚するのも最近では珍しくなくなりましたね。ですがこのケースの多くは貧困家庭になっているのです。考えてみれば当たり前のことで、子どもを育てるには、まずお金が必要です。10代の夫婦ですと、貯蓄はほとんどないでしょうし、まだどちらか一方は学生で就労すらしていないかもしれません。そして往々にして離婚して、シングルマザーになったりします。誤解のないように言っておきますが、私はシングルマザーを否定しているわけでもなく、離婚はだめだと言っているのでもなく、ただ無計画性を問題にしているのです。何が問題かというと結婚した当事者同士は、自分たちの選んだ道だから、それがたとえ苦しい道であっても逃げ出さずに頑張らないといけませんが、生まれてくる子どもが、適切な子育てをされず成長してしまうと、さまざまな面で不利になり苦しい生活になってしまう可能性が高いです。生まれた瞬間から、子どもの運命が決まってしまっているような、これが負の連鎖ですね。しかも下の世代にいくごとに悪化していきます。
どうしてこのようなことが起きるのかを一言でいえば「知識の貧困」です。子どもを育てること、親になることがどれほど大変でどれほどの覚悟が必要なのかを知らないからなのです。
貧困家庭には経済的な援助は必要でしょう。しかし、この負の連鎖を食い止めたり、新たな貧困家庭を生み出さないためには、経済的な援助だけでなく、知識を与えてあげることこそが何よりも大切です。
各家庭で教えることができないものは学校で教えればいいのです。せっかくの義務教育なのですから、基本的には子ども全員に伝えることができる絶好の場所なのです。確かに算数や国語などの勉強も必要でしょうが、それと同じくらい、いや将来的にはもっと大切になってくるようなことをもっと授業に取り入れればいいんです。たとえば法律、刑法や民法など自分たちの暮らしと大きな接点がありますし、知っていた方がいいことがたくさんあります。無駄な知識を詰め込むよりも、よっぽど効果的だと思います。または、親になるということはどういうことか、子どもを育てるということはどういうことか。いろんなデータや統計なども合わせてはっきりと伝えればいいんです。厳しい現実を伝えることもせずに前に進めるはずもありません。子どものときから、勉強だけでなく、幅広い知識を与えてもらうことで、いろいろと考えることができ、より冷静な判断力や養われ責任感も強くなります。テストのための勉強だけでなく、人間として生きていくうえで大切なもの、それを教えるのは今は家庭ではなく学校でしなければならないと感じます。そうすることで必ず負の連鎖を断ち切ることができるはずです。
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