オートバイで旅して観たモノの記録

 Ôtobai de tabi site mita mono no kiroku.

上北山村の奥地へ ②

2019年04月25日 | 探検


 池原ダムから湖畔沿いを走ってしばらくすると,大瀬水没の碑がある.この辺りは,かつて多くの集落が存在し,東の川地区と呼ばれていたそうだ.しかし,ダム開発によって,昭和40年頃にはすべての集落が水没したという.大瀬集落もその内のひとつだ.



 哀愁漂うダム開発の地をさらに奥へと進んでいくと,備後橋という立派なつり橋があらわれる.備後橋の竣工は昭和38年だ.色あせた朱色のつり橋は,違和感なく周囲の自然に溶け込んでいるように見えた.吸い込まれるようにして,橋を渡ってその先へと進んでみた.



 備後橋の先には,昭和38年竣工の坂本ダムがある.このような大自然の奥地に,突然,ダムが現われるので,驚いてしまった.ダムには慰霊碑もあって,竣工に際して殉職者も相当数あったようだ.



 坂本ダムの天端を走行して,反対側から全景を眺めてみた.ダムの堤高は103メートルで,高所恐怖症ではないと自負していも,足がすくみ上がってしまうほどのスケールだった.このようなところに,どうやってダムを建設したのか,想像することさえできない.



 坂本ダムの天端の柵は,ちょうとオートバイのシート高と同じくらいだ.大の大人がみっともないが,オートバイから降りるにしても,写真を撮るにしても,スリリングな高さに思わず腰が引けてしまうのだった.



 誰もおらず,物音一つしない峡谷深き秘境の地.そして,奥地に進むにつれて,湖の色は,言葉で表現できないような,きれいな青色へと変わっていく.日常生活が,どこか違った国での出来事の様に思わせる空間が,そこには広がっていた.


コメントを投稿