
キャンプツーリングの快適な季節はあっという間に過ぎ去ってしまって,寒さ厳しい12月へと突入してしまった.今年は奮発して寝袋をグレードアップしており,寒さとは無縁だった.しかし,流石に12月となると寒さが堪えてくる.翌日は寒い山間部を避けて,暖かな海沿いを北上して帰路へと向かうことにした.

案の定,翌朝は暗い内から目が覚めて,テントが乾くまでは寒さとの戦いを強いられる始末だった.計画通り,帰路は海沿いを北上するより他になかった.紀伊半島の内陸部から評議峠を越えて,三重県熊野市に広がる太平洋―熊野灘―を目指すことにした.一路,向かった先は評議峠線だ.

評議峠線はいわゆる険道だ.とても12月とは思えない青々とした常緑樹林帯の中を走行していく.山から海へと近づくことで,明け方までの震えるほどの寒さが、まるで嘘のように暖かな気候へと変わってしまった.

険しい山道をただただ海へと目指して下って行く.幅員は一車線,それでも交通量は皆無であるため,走行していてそれほど苦にはならない.そして,道は生い茂る木々で覆われていて暗いが,その先には明るい緑の景観が広がっている.表現はおかしいが,暗いけれども明るい道だ.

そんな明と暗のコントラストの強い道を辛抱つよく進んで行くと,一気に視界が開けて熊野灘の鮮やかなブルーが視界に飛び込んでくる.地図の通り進んだまでであるが,やはり目標である海が見えると嬉しいものである.

山と海がこれだけ近い存在でありえるのも,紀伊半島の醍醐味かもしれない.オートバイに跨ったまま,しばらくの間,熊野灘の景観に見とれてしまっていたようだ.そして,辺りは寒いというよりは少し汗ばむくらいの陽気に包まれていた.
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