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半年振りに紀伊半島を南下し,池原ダムに立ち寄った後は北山村を走り,御浜北山線で熊野市へ抜けることにした.北山川を挟んで東側は三重県になっている.この三重県道は,幅員は狭いけれど,緑のトンネルの下を駆け抜けていく気持ちのいい道だ.
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道沿いに尾川川が流れており,路肩から川岸へ降りていくことができるようになっている.今までこの道の途中であまりオートバイを停めることはなかったけれど,道路の上から見える川がとてもきれいだったので,川岸まで行ってみることにした.
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尾川川の水流はとても穏やかで,水は澄み渡り,川底まではっきりと見てとれた.川の両岸は,柱状節理の岩石で形成されていて,まるで紀伊半島を圧縮して表現したような景色だった.川岸に腰掛けながら,この清流を眺めているだけで,時間があっという間に過ぎてしまった.
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尾川川の絶景に気分を良くして,さらに東へとオートバイを走らせる.そして,大丹倉のビューポイントにたどり着く.4月上旬に訪れるのは初めてのことかもしれない.生命力にみなぎり,躍動感にあふれる新緑の樹木たちの姿が印象的だった.
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大丹倉を通過した後は,熊野市までアップダウンを繰り返す展望の良くない峠道が続く.ところが,道の途中で視界が開ける場所がひとつだけある.目に飛び込んできたのは,熊野灘の青い海だった.半年振りの紀伊半島,そして,これまた半年振りに見る海だった.
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