goo blog サービス終了のお知らせ 

オートバイで旅して観たモノの記録

 Ôtobai de tabi site mita mono no kiroku.

海金剛での朝(1)

2020年12月13日 | 紀伊半島


 和歌山県の串本町で目覚めた朝,天気予報は晴れで,日の出を見にいくことにした.潮岬や橋杭岩は,人が多いだろうから,紀伊大島にしようと決めていた.日米修交記念館前の駐車場にオートバイを停めて,鬱蒼とした木々の間を抜けていくと,海金剛の展望スポットがある.



 海金剛は,紀伊大島の東端にある断崖絶壁の景勝地だ.荒々しい巨岩が海面から突き出ている.ちょうど北の方角に樫野埼灯台があって,灯光が明滅していた.



 目論見通り,海金剛の展望スポットには,誰もいないようであった.それもそのはずで,東の方角に目をやると,水平線の上には厚い雲が発生していた.日の出が拝めないコンディションであることは,一目瞭然だった.



 それでも,雲は割と低い位置にあったので,雲の下から太陽が顔を出すまで待つことにした.しばらくすると,雲の切れ間から,紅色の光が差し込んできた.



 太陽はすでに水平線の上にあるはずなのに,この日の雲は中々の曲者であった.いつもは,太陽の上昇と共に,雲は次第に薄らいでいくのだが,そうはいかなかった.



 太陽は,雲の上まで昇りきって,ようやく顔を出してくれた.それでも,太陽の位置はまだそれほど高くなくて,オレンジ色に染まった鮮やかな光景を見せてくれた.幻想的な瞬間だった.



 その後,太陽の光は次第に白んできて,強烈な朝日が海や陸地を照らし始めていく.海金剛で迎えた初冬の朝だった.

コメントを投稿