古座川を彷徨していると,陽が傾きはじめて,少し冷え込んできた.暗くなる前に暖かい海沿いへ出ることにした.夕暮れ時のR42を走り,和深海岸へとやってきた.日没までは,あともう少しだ.
和深海岸での夕景を堪能し,ふと陸の方を見上げると,和深駅のホームが目に入った.和深駅は,去年の夏以来ご無沙汰していたし,そういえば,風のうわさで駅舎が改築されてしまったと聞いている.
和深駅にやってくると,うわさ通り,駅舎は新しくなっていた.以前の白塗りの木造駅舎のことを思うと,がらりと様変わりしていた.新しい駅舎は,ずいぶんとモダンである.
駅舎は,老朽化により,今年の6月に建て替えられたそうである.建て替えられるなど,まるで知らなかったので,古い木造駅舎を最後にひと目見られなかったのが,とても残念に思えた.
昔の木造駅舎を思い起こしながら,写真を撮っていると,串本方面から紀勢本線の電車がやってきた.和深駅で降りる乗客はいなかった.電車は駅に2,3分を停止した後,紀伊田辺方面へと走り去っていった.
駅舎は,新しくなってしまったけれど,味のあるプラットホームは以前と変わらずだ.夕景の和深駅もすばらしく,少しの間,旅愁に浸ってしまった.
太陽が山の影に隠れると,辺りは急に暗くなり,水平線の空が急に鮮やかな色に染まりはじめた.さてもう帰ろう.ホームから駅舎へ通り抜けると,ちょうど駅舎の電灯が点灯したところだった.
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