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役行者(えんのぎょうじゃ)が開基したという伝説が残っている金胎寺(こんたいじ)は,古くからの山岳信仰の霊地となっている.金胎寺(こんたいじ)の寺務所の奥に,修験道―いわゆる行場への道がある.
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金胎寺の行場は,鷲峰山(じゅうぶさん)の東方斜面で,鎖場などの難所もある本格的な山登りのルートになっている.修験道の聖地である大峯山に対して,北大峯と称されたともいう.
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山登りをしたことのない自分にとっては,場違いなところだが,本格的な行場の道が始まる前の迎え行者のポイントまで進んでみることにした.
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迎え行者のポイントまでは,道幅は狭いけれど,とても歩きやすいハイキングコースのようになっている.地面には,ほんの少しだけ雪が積もっていた.
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この行場付近の山は,野生動植物の保護地区になっており,天然林が多く存在しているそうだ.そう言われてみると,樹木の緑が真冬なのに,みずみずしく潤って見えた.とても寒いけれど,緑と白の風景が爽やかで,歩いているだけで気持ちがよかった.
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そして,迎え行者のポイントまでやって来た.なるほど,役行者(えんのぎょうじゃ)様の像が,ここでこうして出迎えて下さるわけだ.ここから先がいわゆる行場の道で,急な下りの斜面となっていた.
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事前に分かっていたけれど,ここから先の道を行くのは,はっきり言って無理であり,簡単に諦めがついた.役行者様に両手を合わせてから,しばし休憩し,来た道を戻ることにした.
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着ぶくれた格好で少しだけ歩いたので,体が暖まってきたようだ.オートバイを停めてある入り口まで,一気に戻って,体が冷えないうちに鷲峰山を転がるように下山した.
迎え行者までの道は,樹木の緑が美しい神秘的な場所だった.
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