
松本峠は,三重県熊野市の大泊町と木本町を結ぶ熊野古道のひとつで,前回日の出を見た鬼ヶ城の山手側に当たる場所だ.ただし,今回の目的は熊野古道を歩くことではない.

国道311号線の大泊海岸交差点にある広場へオートバイを停めて,身支度を整えてから松本峠を目指して熊野古道を登っていく.石畳のすばらしい峠道であるが,非常に大きな勾配となっている.

この辛い峠道を登っていると,颯爽と下ってくる人と出会った.松本峠までどれくらいあるかと聞くと,1キロメートルもないとのことだった.それに安堵したことを察知されてしまったのか,ただし傾斜は急ですからと念を押されてしまった.

この石畳の道は,緑に囲まれた落ち着いた雰囲気の素晴らしい所なのだけれど,確かに勾配は急で,運動不足で怠けた体では休憩を入れないと,登って行くことができなかった.

息を切らしながら登り続けていくと,峠にあることで有名な等身大のお地蔵さまが現われた.このお地蔵さまには,江戸時代元禄のころに,月明かりの下で妖怪と間違われ,鉄砲で撃たれてしまったという逸話が残っている.そして,その傷跡が残っているという.

確かに鉄砲傷のように見えるような跡がないではない.それよりも松本峠を訪れた実の目的は,ここから少し先に行ったところにある東屋から,紀伊半島を眺めることだ.何度も北山川でキャンプしている間に,地元の方から教えてもらった絶景スポットなのだ.
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