
大台町側から見た水呑トンネルは真っ暗だ.そして,同時に魔境への入り口でもある.肉体的,精神的な疲れもあるけれど,峠から下ることになった紀北町側の方が,道の過酷さの度合いは増したように感じた.

この道の特徴は,日差しを遮る木々たちである.時刻は14時前であるが,日差しを遮られた道路は,鬱蒼とした雰囲気を醸し出す.そのため,苔が堂々と道の真ん中を陣取っていた.そして,路面上では,苔と落ち葉のコラボレーションが始まり出す.コーナリングは慎重に,と言い聞かせながら走るのだった.

頭上には,天然の緑のアーチがいたるところにあり,日差しを遮ることで苔の成長を育んでいるようだ.同時にライダーたちの視界を悪くして,路面の情報を読み取りにくくする.

同じような景観がいつまでも続き,まさにライダーの精神力が試される道だ.ここはひとつ割り切って,ゆっくりと写真を撮って楽しみながら進んでいくことにした.
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます