おせっちゃんの今日2

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重松 清…数えきれない星のその次の星

2023-06-13 14:00:14 | 読書

茂松 清 という作家をご存じですか。私は5年ほど前まで知りませんでした。図書館で、どれにしようかな~あまり複雑なものは老化した頭では読みこなせなくなっていることは自覚しています。子どものころから、学生時代も、まだ頭がしっかりしている時には、長編を好んでいました。それがあまりの長編は半ばまで読むと、登場人物が、まぜこぜ、どれがどうなったか繋がらなくなっているのです。

図書館で、何の気なしに、茂松氏の本を手にしました。これが私には幸運でした。読みやすい文章。何か心温まる内容。おまけに、出身地が岡山だとか(?)使ってある会話表現が、わが故郷・山口弁に似ていたのです。一気に引き込まれました。その時から彼の作品を端から次々読みふけったのです。

気に入って、娘Maにいったところ、「知らんかったの、」と馬鹿にされもしました。とにかくくじけず読んだのです。

そして図書館にあるだけは読みつくしたのでした。仕方なくひとまず離れました。

そして2週間前、久しぶりに彼の棚の前にたたずんだのです。その時見つけたのが最近購入されたばかりと思われるこの本でした。

彼の作品であれば、それだけで逃しはしない私ですが、新品同様の新しい本です。いそいそと持ち帰りました。題名も心惹かれます。

厚さセンチばかりのかなり読みごたえありそうな本だと思っていましたが、中は11の短編の集まりです。よしよし、これなら読みこなせるでしょう、ますますうれしくなりました。読み始めました。思っていた通り素敵な内容です。

巻頭の一作のみ簡単に紹介します。

5月、大きな青空に鯉のぼりが泳いでいます。燕もすっすっと軽やかに飛んでいます。
中に貫禄のある鯉のぼり、真鯉は校長先生です。緋鯉は保健室の先生と呼ばれています。

校長先生は、燕を呼んで頼みます。鯉たちにやってもらいたいことを伝える役目です。

ここから簡単に書きますが、夜、校長先生に呼び集められた鯉たちが、子どもたちを背にの載せて大空を泳ぐのです。子供たちは夢の国で大満足するのです。
子供たちはコロナという病気のために友達ができない、愉快な遊びができない3年間だったのです。それを一気に取り戻すのです。

私が要約したのでは何の良さもありません、よろしかったら、図書館ででも手に入れてみてください。


ポジティブ思考の元祖 宇野千代

2022-11-08 13:37:59 | 読書
カテゴリー「読書」と書いて恥ずかしくなりました。読書したものではありません。新聞の書籍広告に載っていた宇野千代さんの本の広告が、あまりに前向きで、夫の病とともに落ち込んでしまっている自分に鞭を当てられたような気がして書き抜いたものです。4度の結婚と離婚を経験、98歳でなくなった小説家、随筆家、。野間文学賞、女流文学賞をとった人です。
紙面下三分の一の広告ですが、そこにあふれんばかりの前向き思考です。

「98歳まで生きてわかった、超ポジティブ思考」!
「考え方ひとつで、人生は180度かわる!」
「転んだら、起き上がればいいのです。失敗したら、反省すればいいのです。人間というものは体験することによって、必ず、一握りのものを掴んで立ち上がるのです」
「幸せな思い込み」はその通りになる。死ぬ瞬間まで「楽しいことだけ」を考えて暮らす。

◉ 迷ったときは「行動する」方を選ぶ。
◉ 一人でいる時も「陰気な顔つき」をしない
◉ 「張り切っている状態」が最も健康にいい。
◉ 「いやなこと」は大急ぎで忘れる。
◉ 何に対しても否定的に言わない。
◉ 「習慣を作ることが「達成」への「最短距離」。
◉ 「他人との関わり」が老年の生命力を引き出す。
◉ おしゃれはアイデアを生む原動力になる。
◉ 95歳には95歳の美しさがある。
◉ 愛した、それだけでもう得をしている。
◉ 長く続く夫婦は、いいぐあいに「相手を気にしない」。
◉ 「猿の干物のような顔」になっても、自分を見捨てない。
◉ 「暗示」で病気が治ることもある。
◉ 「失ったものを嘆かない」。
◉ 充実した人生を送るのが、人間の義務。
◉ 一生懸命に生きた者は、納得して死を受け入れられる。

「趣味は読書」と言えなくなりました

2022-07-06 13:44:56 | 読書

こんなに読む力がなくなるとは思いもしないことでした。
最近の私の様子をいくつかお話しましょう。恥ずかしき限りですが。

図書館から借りてきた本を読み始めます。「あ、冷凍室からお肉を出しておかなければ今夜の食事に困るわ」・・・集中して座っておれません。言わなくてもお分かりと思いますがお肉だけではありません。お布団入れる時間だわ、あゴミの日、当番だった。など立ったり座ったり。ページは一向に進みません。

体力もなくなった。夜ベッドで眠りに落ちる前の読書が楽しみな人でした。それが・・・

横になる。さてさて、どこまで読んだのだったっけ。栞の挟み忘れ、ええと、ここは読んだね、この文章は初めてだ。ここからかな、やっと今日の出発点を見つけたところで、体力尽きてコックリ。栞、また挟み忘れた。

今回は柔らかく推理ものを借りてきた。これなら軽く読めるだろう。え~えっ。この人物誰?この人とどういう関係?

こうしてまごまごしているうちに貸出期限が来て、そのまま返しに。

結局読解力が地に落ちて、登場人物の多いもの、関係が複雑なもの、すべて私の能力外になってしまったということ。長編も期限内に読みあがらないからダメ。

などなど情けないこと極まりなし。

月曜日、読まずに帰す本を抱えて図書館へ。今回は方針を変えた。エッセイ集を読んで見ようと思ったのです。エッセイなら短編が多いし・・と思ったのです。

そこで選んだのが向田邦子のエッセイ集・「海苔と卵と朝めし」。

私が子育てをしている頃だったか、「父の詫び状」で売れた人です。それまでにも、脚本を書いたり、エッセイでも名をあげている人でしたが、私をすっかり虜にしたのは「父の詫び状」でした。これをきっかけにずいぶんたくさん作品を読んだけれど、これは読んでいなかった。

ぴったり。読みやすいけれど、・・・衰えた私の力でも・・文章の達者さ、エピソードを語りながら人情の機微で温かく人をひきつけます。それに自分が食いしん坊で、料理が好き、集めた食器を使って、小料理屋でも・・・と、妹さんを巻き込んでお店を出した経験から、中にこれは珍味。これはとっておきの私のご馳走、などが織り込まれている、ちょっとした気の利いたおつまみなど、家のみの今日この頃、お好きな方は参考になるのでは。

読める本に出会えてよかった。

 


俵万智・・・未来のサイズ

2020-12-10 15:56:51 | 読書

友人が俵万智さんの新刊本・未来のサイズを貸してくれました。サラダ記念日で鮮烈デビューを果たしてから、子育て、石垣島、宮崎へとの転居などますます人間としての深みを増した短歌に引き込まれました。
ごく日常的な言葉で、でも短歌31文字にはこだわって、詠み続けています。ごく日常的な体験や、感情を繊細に詠んでいるのは、さすがと思い、共鳴し、感心します。
表題の「未来のサイズ」は入学式に出た子供たちが、すぐ大きくなるからの親心からひとサイズふたサイズ大きな制服を身に付けている。その制服を「未来のサイズ」と詠んでいるのです。

共鳴できる和歌は数多くありますが、こんな和歌もありました。

青島でサーフィン
波に乗るためには波を見ないこと背筋を伸ばして遠く見ること

これは単にサーフィンの心得を詠んだのではないと思います。人生のいろいろな場面で悩んだようなときは、近視眼的に見るのではなく、大きく見直してみることが大事と、子どもに伝えたかったのかもしれないと思ったことでした。

この意味深い話の後に、お笑い草ですが、娘Mが名言を吐いたことがあります。
遠く山口県に嫁いだM 家族は夏休み、旧盆の前後に家族そろって里帰りをするのが恒例でした。
息子Kの家族も集まると親族11名の大入り満員になります。食事を台所から座敷に運んでいた時だったと思います。器に汁ものがたっぷり入っています。Mと子供たちの会話。
「こぼさないように気を付けて」
「そういっても難しいよ」
「こぼさないように、こぼさないように緊張してお椀を見つめて歩くとこぼすよ。普通に歩けば案外うまくいくのよ」
「そうかなあ??」

これがあたり~!!でした。

平常心で、自然体でやることが良いようでした。


こんな本・・・重松 清「ひこばえ」

2020-12-07 14:06:22 | 読書

ごく最近こんな本読みました。重松清著・「ひこばえ」。

朝日の新聞小説として連載されていたもののようです。私は、細切れになってしまうので新聞に連載されているものはほとんど読みません。だから先日図書館に行った時、書棚で見つけた時も、書下ろしかと思ったのでした。
重松氏は岡山出身の方のようで、前々から、使われている方言が、ふるさとの山口県に似ているところがあり、一頃作家読みをしていました。読んで容易な文章で、書かれている内容が、心にしみて好きなのです。
上下2冊で、老いた私には、読みこなせるかな?と心配もしましたが、2冊一気に読めましたし、今回も心にしみる物語でした。

あらすじを書くことは作者に失礼なような気がしますから、さっとしか書きませんけれど、固まっていた感情が次第にほどけていく親子の情が好きでした。
嘘ばかりつき、金銭問題も起こし、親族からも、妻からも嫌われて、3歳の少年の前から、ある日出て行ったきり、消息の分からなかった父親が亡くなったとの知らせが来た。公園でくも膜下出血を起こして一人死んでいった父親。父親が出て行ったときは3歳だった私は憎しみも、愛情も、とにかく何にもない状態。3歳年上の姉は憎しみしか持っていない。ただ姉は母親を守っていくと心を閉ざしている。
そんな父と子だけれど、父親の残したメモ帳の知人友人蘭をたよりに調べてみると・・・。ほとんどの人から無視、または拒否されている人ながら、何人かのつながりのある人が見つかる。・・・だんだん認め、心を通わせていく過程が温かい。
私はとても好きな小説でした。良かったら読んでみてください。