尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

風になって

2005年11月09日 11時34分51秒 | 少年詩集

夜の風に姿を変えて
葡萄畑なら
葡萄ランプに灯をともす
林檎畑なら
林檎ランプに灯をともす
蜜柑畑なら
蜜柑ランプに灯をともす

全体果物畑が
季節外れの
クリスマスツリーのように
合図を送れば
ぴかぴかちらちら
それは僕の悪戯だよ


   (3/16)

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幻灯

2005年11月09日 11時28分18秒 | 詩の習作
私のことを
肉体といってよい
言葉といってよい
あるいは からっぽ
といってよい

うす暗い箱の中では
観客もいないのに
今わたしの見ている風景が
壁の四面や天井に投影され
稲妻をともなう嵐のように
ものすごい速さで
過ぎているのだった



コメント (2)
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2005年11月09日 11時23分07秒 | 詩の習作


世界中で祈られた
祈りが届くよりも
早い朝が来て
僕は白い道を歩いている
それは
道が膝を通りすぎている
と言ってもよい
空が額をこすっている
と言ってもよい

渡ってゆく鳥が
昨日か明日のように
鋭く鳴いた

空には祈られる前に
鳥の開く道があり
私には祈られる前に
私の開く道がある


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