生まれたときほんの
冗談でつけられた名前を
十年背中にしょった灰色の犬が
きちんと座って庭の木を見ている
雀のさえずりに耳が動いている
名前を呼べば
十年間そうしつづけたように
ふりむくにきまっているが
その背中のなだらかな傾きに
あまりに気まじめな
あばら骨の影が見えて
冗談のような名前は
呼べなかった
その代わり
背の角度で
木漏れ日と
小鳥のさえずりが
彼を呼んでいた
冗談でつけられた名前を
十年背中にしょった灰色の犬が
きちんと座って庭の木を見ている
雀のさえずりに耳が動いている
名前を呼べば
十年間そうしつづけたように
ふりむくにきまっているが
その背中のなだらかな傾きに
あまりに気まじめな
あばら骨の影が見えて
冗談のような名前は
呼べなかった
その代わり
背の角度で
木漏れ日と
小鳥のさえずりが
彼を呼んでいた