尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

花の目

2005年11月20日 23時14分22秒 | 短詩集
花は観察している
虫と鳥と人を

自分自身が
彼らに
どう映っているか
彼らの背中から

つまり
空から

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夏の雪

2005年11月20日 22時58分52秒 | 短詩集
日々の労苦は
眠りに誘うけれど
夢には夢の哀しみがある 
たとえば私の夏には雪が降り
私の冬には蝉が鳴く


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2005年11月20日 22時34分33秒 | 詩の習作
外国船が行き来している
海が見えるところで
蝶々の飛んでいるところで
あなたは花だよって
見せてくれたけれど
僕にはあなたの
傷に見えたのだ

あの時もらったものが
ただの花だっり
ただの傷だったら
こんなに永く
考えこまなかっただろうし
こんなに永く
愛さなかっただろうね

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泥の舟

2005年11月20日 22時16分09秒 | 少年詩集
夜が明けても
沈まないで
がんばっている
泥の舟を
悲しむ
乗せている
タヌキを悲しむ

絵本を読んでから
ずっと
コメント (2)
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人形の家

2005年11月20日 22時12分40秒 | 詩の習作
一人っきりの寝室で
坊やが見てはいけなかったもの
鏡に映ったお人形の 
大あくび
永遠が油断したのです

一人っきりの寝室で
裸のママが見てはいけなかったもの
鏡に映ったお人形の 
まばたき
永遠が油断したのです


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鳩よ

2005年11月20日 22時04分02秒 | 自選詩集
公園では
日だまりの中
知らない鳩が
いっぱいだった

その夜
知らない詩の
一行目を
書き始める
知らない詩のまま
書き終えた

思い出の
日だまりで
歩く度
首振る鳩ぐらい
遠く小さい
男だ

その男の
一生を
今日も生きたし
こうして
いわれのない男の
一行を明日へ
改行する

おおい
鳩よ
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怪談

2005年11月20日 21時50分08秒 | アバンギャルド集
鎧の音に
怯えながらも
耳のちぎれた
裸の男
木の中に腕を入れ
かき回す

と、芳一っつあん!
観音の眉だけが
来て叱る



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蒼いキス

2005年11月20日 21時28分21秒 | 自選詩集
星のない夜だった

彼は失意の
蒼いキスをして
人と人の間を
去ってゆかれた

自分の左手が
そっと右手をさわるような
やさしさだけが
残された

彼を思い出す度に
鶏が鳴くのだ
三度

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マッチ

2005年11月20日 21時18分35秒 | 詩の習作
名前のない女が
自分の部屋に帰ってきて
ドアに鍵をかけた
遠くで犬が吠えている

窓のカーテンを引く
薄闇の中の
空っぽの椅子に座り
煙草もないのに
マッチを擦る
(誰も知らない一日だった)

軸が燃え尽きて
指を火傷した
(二度と戻らない一日だった)

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2005年11月20日 21時11分50秒 | 詩の習作
象に墓場があるように
私は私のために
誰も読まない
詩を書いている

短い鼻を
上下に揺すりながら
砂漠のようなモニターに
たらたらと小骨のような
文字を撒いている


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街路

2005年11月20日 12時41分21秒 | 詩の習作
誰かが
呼んだと思って
振りかえると
誰もいない
僕の毛先から
木の葉が一枚落ちた
帽子がほしい

あなたにさようなら
をしようとして
手先を振ったら
もう誰もいない
しずくがつたった

ポケットに手を
かくして帰った


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ドラムカン

2005年11月20日 12時29分11秒 | 詩の習作
煙草を吸おうとしたら
ライターがなかった
座ろうとしたら
椅子がなかった
寝ようとしたら
ベッドがなかった
散歩しようとしたら
足がなかった
泣こうとしたら
顔もなかった

一本のドラムカンが
太陽のまわりを
まわっていた
あれが
俺の詩集だ

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立つ

2005年11月20日 12時26分03秒 | 短詩集
深夜の風呂に
灯りを暗くしてはいる
湯面がひかる
なつかしい湯音
ぬめる液体の感触
墨をかぶった
肉体
海坊主
立つ!

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しっぽ

2005年11月20日 12時19分13秒 | 少年詩集
おぼろ月には
しっぽがはえてんだよ
のら猫たちが
屋根の上で
月見すりゃ

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冬の星座

2005年11月20日 12時13分32秒 | 詩の習作
思い立って
白い犬を抱いて
夜の空を見せた
喜ぶと思ったけれど
しょげた
ぼくも

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