いろいろな混成語・略語・複合語をあたっているうちにアルファベットとの混成語で個性的な事例を見つけました。
「360度写真コンテンツ提供VRサービス Q撮(きゅうと)」というものがあります。なかなか新鮮な読み方です。
これは 読み:Qと、「撮」部分のリード:とる
とやっても「とる」には同音和語が多すぎて(取る/摂る/採る/捕る/執る/獲るなど)なかなか思うような代表変換が出てきません。
しょうがないので「さつえい」で「撮」を出そうかと思いきや、「影」の方が代表変換候補になっているので思うようにアクセスしようにも思惑どうりにいかなそうです。
これは「さつ」より「えい」の方が同音語のライバルが多いために埋没を引き出そうとする選好がはたらくためです。
このように音でも訓でもアクセス阻害要因がはたらいて思ったように代表変換を導けない場合に奥の手として「リードを英語で変換してしまえばどうか」というのが新しいアイデアであります。
撮影する、には英語でShootという単語がありますのでこれを使います。ただ、ペンタクラスタキーボードの英語入力はいささか不便ですのでShootではなくカタカナ語の「シュート」を使います。
「シュート」には文字通りサッカーやバスケのシュート動作を意味するものですが代表変換は連想紐づけや複数字の語からあえて捨除して代表字をあて込むなどというように必ずしもリードの言葉とイコールでなくても構わないものであるので英語(カタカナ語)を組み入れても発展的拡張としてなんら違和感のないものであると言えます。
まあ「シュート」に「撃」や「射」などをあてないこともないのですがこれらの表現は日本語としての比喩に過ぎませんし感じ方の個人差もありますから表示の裏付けもしっかりしているという面で英語の簡単な訳語というのはむしろ案外はまっているものだと思います。
よってQ撮(きゅうと)を入力するには以下の手続きを踏んでいくものとします。
1.「Q撮(Qと)」という語をタイプしたがちゃんと変換できる自信がない
2.新設の②キー(登録ワンタッチキー)を押してここまでの文字列に着目・捕捉動作をする(それと同時に単語登録プロセス開始)
3.二度手間になるが「Q」の部分をもう一度「Q」でタイプする
4.シュート[の][の]で「撮」を出し「と」の部分に当てはめていく(カタカナ語トランス変換)
5.「と」まで使い切ったので読みの文字列はこれ以上ない、終端部分と認識して同時に
読み:(Qと)、単語:(Q撮)のデータが紐づけられて単語登録が終了
…以上のような手続きですがアルファベットが絡むものの基本的な仕組みはトランス音訓変換と同列にあるものですので呑み込みやすいのではないでしょうか。
「とる」の「る」さえいらない語幹の「と」だけをもって「撮」をあてるのはいささか無理があるのではないか、という声も聞こえてきそうですがこれはなかなか説明するのに骨が折れそうな問題です。
強引に言ってしまえば、代表変換というものは何らかの縮約であり全体に対する部分としてしか存在しないものなので、「と」に値する単独の語として成立する「無頼の徒」の「徒」や「帰国の途についた」の「途」というのは初めから代表変換候補から除外されるものであるというのがあってこのケースの「とる」のように形成途中のものであってなおかつそれが語頭として表出する、という条件はある程度限定性があるので「と」単文字であってもあて込みの受け皿となれるのだということです。
とはいうものの「行く(いく)」の代表変換物として「い」にあて込むという調子では少々やり過ぎですし英語からの翻案的なトランスあて込みというカラミに限って(和語の同音語が多いため)このような単文字語幹でのあて込みをある程度吟味していくことが求められると思います。
ただし単文字ですので「エンプティ(空く)」を「あ」にあて込むぐらいなら許容できそうですが仮に「黒いけれどよく消える消しゴム『墨擦』(スミス)」みたいなものへも対応させようというのならためらいも少しはあります。
ちなみに 読み:すみす / リード:インク[の][の]=墨、ラブrub[の][の]=擦 の和英トランス変換でこれを実現させるといった具合です。
とかく扱いの繊細な単文字要素の変換にこのような判断基準のわからない語彙情報を組み込もうというのは一種の賭けでもあり危うい議論でもあるというのが正直なところです。
ただ注意深く傾向を探ってみると英語基本語にはhaveやgetのように前置詞を伴った熟語のバリエーションが多くあって歯切れ良いカタカナ語一語が対応するうまい言葉がない場合もありますし同じ「下」でもlow・under・below・downなどのように用途の異なる別語が割拠してい場合もあり英語での代表判断が困難なものが足かせになったりしています。
さらに「読む」をリードに、「詠む」をコンポーズにあてようなどと思っていてもリードleadは「導く」のニュアンスの方が大きそうですしコンポーズcomposeは「作曲」がまず浮かんできます。代表というからには第一義的なものを選びたいのでサブ用法のものをこじつけてまで本家取りさせたくはありません。
もう一つ言えば「座る」の「座」は「すわる」の基本代表として変換できるとは思いますが、「度胸が据わる」の「据」はhave nerves of steelとなるのでひと口に言えませんし「腹が据わる」のほうはhave gutsとなるので同じ据わるでも用法のニュアンスによって英語で違う言い方になるという問題もあるので単純直訳ですむというシンプルな話にはいかないようです。
このようにカタカナ語をまるで部品のように都合よく使えるというのは幻想であってそうそう思った通り活躍できるというものでもありません。
さらに「経る」は「けいけん」の代表変換で出せますしその同音語の「減る」はそのまま「へる」の第一候補として出せばよいのでそもそも英単語マターが登場する機会というのも限られてくる見込みなのではないでしょうか。
たとえ、「職業転々経」(しょくぎょうてんてんへ)みたいな造語であっても案外日本語のままでトランス変換が完結する(経験:の代表変換で出せばよい)場合というのも多そうですし「機会減」(きかいげん)みたいな場合はこちらは「--減」のように捉えて接頭語・接尾語の変換の助けで何とかなるケースもあるかもしれません。
いずれにせよなんでもかんでもカタカナ語対応がいきわたっているというようなイメージではなく同音語の音でも訓でもアクセス阻害要因があって困る場合であるとか同音訓はあっても日本語の枠内で何とかなる場合を除いてどうしても英単語の助けが必要であるなどの確固たる理由があったもだけのをカタカナ語変換として整備し、その位置づけはあくまで補完的なものにとどめるという使い方が現実的というものでしょう。
なのでうたい文句としては派手なものですが読者の方々には過度の期待をさせてしまったとしたらこちらとしても少々申し訳ない気持ちであります。
これらの例のように決して上首尾に物事が進むわけではありませんが、同音語の多い「倒れる」=「倒(とう)」を「ダウン」から出したりできる使い方であるとか
「釣果」に対して「狩果(しゅか)」みたいな造語を作りたいときには「ハント」+「結果(の代表変換)」で事足りるのもあったりしますので使いどころによっては重宝するのではないかと思いますのでまだまだ捨てたものではありません。
あとは<解くsolve・説くpreach・溶くDissolve・梳くcomb>などの「とく」同音動詞の使い分けはそれぞれ「ソルブ・プリーチ・ディソルブ・コーム」をあてれば済むというのもうれしいところです。
ただ「解」についてはちょっと補足もあるので説明させたいただくと、
「妥協解」であるとか「囲碁名局細解」みたいな語における「解」は厳密に言えば「解 (solution)」なので「ソリューション」をあてるべきですがこれは名詞化接尾辞「tion」がついていることからもわかるように派生感の強いものであり言語イメージの原初幹のあるものは動詞の「solve」(ソルブ)の方が展開していく基礎としては合っていると思います。
ですので「解」を導くリードは「ソルブ」になります。英語の訳義厳密性にこだわるのではなくあくまで日本人感覚による田舎英語の素朴な語彙感で捌いていきます。
この辺は品詞の違いの誤差みたいなものでありますし漢字の字面の代表性をフォーカスしているのですから四角四面の考え方はなじまないというものです。不思議なことに英語が動詞中心の言語であるということもこのシステムには上手く符合しているものだと言えます。
ちなみに「囲碁名局細解」は以下のような入力プロセスを想定しています。
1.いごめいきょく[Ø]さいかい のようにタイプする(適度なパーツ分けのために[Ø]文字マーカーでセパレートするため)
2.[通常変換]を押す
3.「囲碁名局」が出るまで適宜候補選択する 出たら[Enter]キー押しでこの部分は確定
4.セパレーター以降の「さいかい」が変換対象文字列に切り替わる
5.ここで②キー(登録ワンタッチキー)を押してここまでの文字列に着目・捕捉動作をする(それと同時に単語登録プロセス開始)
6.こまかい[の][の]で「細」を出し「さい」の部分に当てはめていく(音-訓トランスマッチ)
7.そるぶ[の][の]で「解」をだし「かい」の部分に当てはめていく(カタカナ語トランス変換)
8.読みの文字列はこれ以上ない、終端部分と認識して同時に
読み:(いごめいきょくさいかい)、単語:(囲碁名局細解)のデータが紐づけられて単語登録が終了
あと何か特徴的なものはないか探してみると、
「オク下率」(おくしたりつ)というのを変換するのに「した」の部分を「落下」の代表変換で出せそうですがあまりとっさに出てきなさそうですし、先程の「下」でもlow・under・below・downといろいろあって
「down」については「倒」をあてるのでこれはないとして「low」は「低」ですし代表的には「under(アンダー)」が良さそうな感じがします。
なかなか行き当たりばったりな運用ですが気にせず話を進めてまいりますと「した」のもう一つの双璧である「舌」の方にはワンポイント注意点があるので言及したいと思います。
それは「舌」には「貧乏舌」「バカ舌」のように複合語になると連濁するという性質があることです。「下」は清音のままで濁らないので「オクじた」とはなりませんのでこれは何といって良いか「片務的」な違いであります。
理由はともかく、代表変換「舌」を「タン」で出すにしても「じた」に柔軟に対応してあて込めることが望まれます。いやむしろ代表変換で使われるような複合語はまずもって連濁パーツでありますのでこれは必須条項であるのです。
もちろん連濁には規則性がなくデータの整備が困難であるというのもありますし、「--寿司(ずし)」≒「図示」や「--喧嘩(げんか)≒「原価」の同音例のように連濁をカバーしてしまうがゆえに余計な同音語とのカブりが増えてしまって混乱要因が増す、などの事情もあるでしょう。
ただこの代表変換・トランス音訓変換などに限って言えば変換対文字列は単漢字の切れ切れした配置を主にしているのがまずあります。想定される編集文脈というのが限定されているのです。
さらには闇雲にプレーンな文の中の紛れやすい環境であたえられる変換文ではなく「でにをは別口入力」という枠組みの中で名詞チャンク・動詞チャンクなどがある程度目星のついた中で、しかも代表変換は複合語・略語の構成要素を編集するシーンにおいて使われるというのが変換前提としてあるのです。
なので「何だこのスレは…」を「何蛸のスレは…」と間違えるようなことは決してありません。これだけでもだいぶ違ってきます。
このようにシチュエーションがある程度読める中であるのなら、基本語彙に限っては網羅的に連濁要素の収集という力任せな方法でもある程度「勝機」はあるのではないでしょうか。
カタカナ語の変換から話が逸れてしまいましたが、ましてやカタカナ語トランス変換に使われて、さらに連濁要素も絡むというパーツというのはある意味稀少ですからそれくらいは漏らさず押さえてほしいものです。
…以上でカタカナ語トランス変換というコンセプトで言いたいことは大体述べたところですが再度ポイントを確認いたしますと、
(本に)載る という意味で「appear(アピア―)」を「載」のカタカナ語変換にしようとしてもアピア―には「現れる」(現)というのがまず第一にきますし、
「help(ヘルプ)」を「助」のリードにあてようとしてもhelpには「避ける」という意味合いも持っていてニュアンス込みだと真に適切な代表変換候補を選び出すのも一定の基準というものがないとなかなか話を進められそうにありません。
つまり日本語と英語との橋渡しをする「カタカナ語トランス変換」というものも、単純に1対1で対応するという簡単な話ではないことを認識しなければなりません。これが一点です。
なので適用基準、適用場面は限定的・補完的なものとしてこれを使うということがもう一点です。
あとは先程の連濁のようにシチュエーションの限られた中で使うものなのでで連濁や促音音素の解釈は柔軟にして対応していくべきだというのが三点目です。
せっかく代表変換・トランス音訓変換…とここまでぶちあげてきてもまだ完璧さが足りないというのであればせっかくここまで建てたのだからいっそのこと"増築"してしまえば良い、ということで思いつきで追加したこのアイデア、
微調整という名のバランスによる完成ではなく、新規拡張というベクトルで動的均衡を目指すというのもひとつの解決策のありかたではないか、と自分に言い聞かせつつこの記事を締めたいと思います。
「360度写真コンテンツ提供VRサービス Q撮(きゅうと)」というものがあります。なかなか新鮮な読み方です。
これは 読み:Qと、「撮」部分のリード:とる
とやっても「とる」には同音和語が多すぎて(取る/摂る/採る/捕る/執る/獲るなど)なかなか思うような代表変換が出てきません。
しょうがないので「さつえい」で「撮」を出そうかと思いきや、「影」の方が代表変換候補になっているので思うようにアクセスしようにも思惑どうりにいかなそうです。
これは「さつ」より「えい」の方が同音語のライバルが多いために埋没を引き出そうとする選好がはたらくためです。
このように音でも訓でもアクセス阻害要因がはたらいて思ったように代表変換を導けない場合に奥の手として「リードを英語で変換してしまえばどうか」というのが新しいアイデアであります。
撮影する、には英語でShootという単語がありますのでこれを使います。ただ、ペンタクラスタキーボードの英語入力はいささか不便ですのでShootではなくカタカナ語の「シュート」を使います。
「シュート」には文字通りサッカーやバスケのシュート動作を意味するものですが代表変換は連想紐づけや複数字の語からあえて捨除して代表字をあて込むなどというように必ずしもリードの言葉とイコールでなくても構わないものであるので英語(カタカナ語)を組み入れても発展的拡張としてなんら違和感のないものであると言えます。
まあ「シュート」に「撃」や「射」などをあてないこともないのですがこれらの表現は日本語としての比喩に過ぎませんし感じ方の個人差もありますから表示の裏付けもしっかりしているという面で英語の簡単な訳語というのはむしろ案外はまっているものだと思います。
よってQ撮(きゅうと)を入力するには以下の手続きを踏んでいくものとします。
1.「Q撮(Qと)」という語をタイプしたがちゃんと変換できる自信がない
2.新設の②キー(登録ワンタッチキー)を押してここまでの文字列に着目・捕捉動作をする(それと同時に単語登録プロセス開始)
3.二度手間になるが「Q」の部分をもう一度「Q」でタイプする
4.シュート[の][の]で「撮」を出し「と」の部分に当てはめていく(カタカナ語トランス変換)
5.「と」まで使い切ったので読みの文字列はこれ以上ない、終端部分と認識して同時に
読み:(Qと)、単語:(Q撮)のデータが紐づけられて単語登録が終了
…以上のような手続きですがアルファベットが絡むものの基本的な仕組みはトランス音訓変換と同列にあるものですので呑み込みやすいのではないでしょうか。
「とる」の「る」さえいらない語幹の「と」だけをもって「撮」をあてるのはいささか無理があるのではないか、という声も聞こえてきそうですがこれはなかなか説明するのに骨が折れそうな問題です。
強引に言ってしまえば、代表変換というものは何らかの縮約であり全体に対する部分としてしか存在しないものなので、「と」に値する単独の語として成立する「無頼の徒」の「徒」や「帰国の途についた」の「途」というのは初めから代表変換候補から除外されるものであるというのがあってこのケースの「とる」のように形成途中のものであってなおかつそれが語頭として表出する、という条件はある程度限定性があるので「と」単文字であってもあて込みの受け皿となれるのだということです。
とはいうものの「行く(いく)」の代表変換物として「い」にあて込むという調子では少々やり過ぎですし英語からの翻案的なトランスあて込みというカラミに限って(和語の同音語が多いため)このような単文字語幹でのあて込みをある程度吟味していくことが求められると思います。
ただし単文字ですので「エンプティ(空く)」を「あ」にあて込むぐらいなら許容できそうですが仮に「黒いけれどよく消える消しゴム『墨擦』(スミス)」みたいなものへも対応させようというのならためらいも少しはあります。
ちなみに 読み:すみす / リード:インク[の][の]=墨、ラブrub[の][の]=擦 の和英トランス変換でこれを実現させるといった具合です。
とかく扱いの繊細な単文字要素の変換にこのような判断基準のわからない語彙情報を組み込もうというのは一種の賭けでもあり危うい議論でもあるというのが正直なところです。
ただ注意深く傾向を探ってみると英語基本語にはhaveやgetのように前置詞を伴った熟語のバリエーションが多くあって歯切れ良いカタカナ語一語が対応するうまい言葉がない場合もありますし同じ「下」でもlow・under・below・downなどのように用途の異なる別語が割拠してい場合もあり英語での代表判断が困難なものが足かせになったりしています。
さらに「読む」をリードに、「詠む」をコンポーズにあてようなどと思っていてもリードleadは「導く」のニュアンスの方が大きそうですしコンポーズcomposeは「作曲」がまず浮かんできます。代表というからには第一義的なものを選びたいのでサブ用法のものをこじつけてまで本家取りさせたくはありません。
もう一つ言えば「座る」の「座」は「すわる」の基本代表として変換できるとは思いますが、「度胸が据わる」の「据」はhave nerves of steelとなるのでひと口に言えませんし「腹が据わる」のほうはhave gutsとなるので同じ据わるでも用法のニュアンスによって英語で違う言い方になるという問題もあるので単純直訳ですむというシンプルな話にはいかないようです。
このようにカタカナ語をまるで部品のように都合よく使えるというのは幻想であってそうそう思った通り活躍できるというものでもありません。
さらに「経る」は「けいけん」の代表変換で出せますしその同音語の「減る」はそのまま「へる」の第一候補として出せばよいのでそもそも英単語マターが登場する機会というのも限られてくる見込みなのではないでしょうか。
たとえ、「職業転々経」(しょくぎょうてんてんへ)みたいな造語であっても案外日本語のままでトランス変換が完結する(経験:の代表変換で出せばよい)場合というのも多そうですし「機会減」(きかいげん)みたいな場合はこちらは「--減」のように捉えて接頭語・接尾語の変換の助けで何とかなるケースもあるかもしれません。
いずれにせよなんでもかんでもカタカナ語対応がいきわたっているというようなイメージではなく同音語の音でも訓でもアクセス阻害要因があって困る場合であるとか同音訓はあっても日本語の枠内で何とかなる場合を除いてどうしても英単語の助けが必要であるなどの確固たる理由があったもだけのをカタカナ語変換として整備し、その位置づけはあくまで補完的なものにとどめるという使い方が現実的というものでしょう。
なのでうたい文句としては派手なものですが読者の方々には過度の期待をさせてしまったとしたらこちらとしても少々申し訳ない気持ちであります。
これらの例のように決して上首尾に物事が進むわけではありませんが、同音語の多い「倒れる」=「倒(とう)」を「ダウン」から出したりできる使い方であるとか
「釣果」に対して「狩果(しゅか)」みたいな造語を作りたいときには「ハント」+「結果(の代表変換)」で事足りるのもあったりしますので使いどころによっては重宝するのではないかと思いますのでまだまだ捨てたものではありません。
あとは<解くsolve・説くpreach・溶くDissolve・梳くcomb>などの「とく」同音動詞の使い分けはそれぞれ「ソルブ・プリーチ・ディソルブ・コーム」をあてれば済むというのもうれしいところです。
ただ「解」についてはちょっと補足もあるので説明させたいただくと、
「妥協解」であるとか「囲碁名局細解」みたいな語における「解」は厳密に言えば「解 (solution)」なので「ソリューション」をあてるべきですがこれは名詞化接尾辞「tion」がついていることからもわかるように派生感の強いものであり言語イメージの原初幹のあるものは動詞の「solve」(ソルブ)の方が展開していく基礎としては合っていると思います。
ですので「解」を導くリードは「ソルブ」になります。英語の訳義厳密性にこだわるのではなくあくまで日本人感覚による田舎英語の素朴な語彙感で捌いていきます。
この辺は品詞の違いの誤差みたいなものでありますし漢字の字面の代表性をフォーカスしているのですから四角四面の考え方はなじまないというものです。不思議なことに英語が動詞中心の言語であるということもこのシステムには上手く符合しているものだと言えます。
ちなみに「囲碁名局細解」は以下のような入力プロセスを想定しています。
1.いごめいきょく[Ø]さいかい のようにタイプする(適度なパーツ分けのために[Ø]文字マーカーでセパレートするため)
2.[通常変換]を押す
3.「囲碁名局」が出るまで適宜候補選択する 出たら[Enter]キー押しでこの部分は確定
4.セパレーター以降の「さいかい」が変換対象文字列に切り替わる
5.ここで②キー(登録ワンタッチキー)を押してここまでの文字列に着目・捕捉動作をする(それと同時に単語登録プロセス開始)
6.こまかい[の][の]で「細」を出し「さい」の部分に当てはめていく(音-訓トランスマッチ)
7.そるぶ[の][の]で「解」をだし「かい」の部分に当てはめていく(カタカナ語トランス変換)
8.読みの文字列はこれ以上ない、終端部分と認識して同時に
読み:(いごめいきょくさいかい)、単語:(囲碁名局細解)のデータが紐づけられて単語登録が終了
あと何か特徴的なものはないか探してみると、
「オク下率」(おくしたりつ)というのを変換するのに「した」の部分を「落下」の代表変換で出せそうですがあまりとっさに出てきなさそうですし、先程の「下」でもlow・under・below・downといろいろあって
「down」については「倒」をあてるのでこれはないとして「low」は「低」ですし代表的には「under(アンダー)」が良さそうな感じがします。
なかなか行き当たりばったりな運用ですが気にせず話を進めてまいりますと「した」のもう一つの双璧である「舌」の方にはワンポイント注意点があるので言及したいと思います。
それは「舌」には「貧乏舌」「バカ舌」のように複合語になると連濁するという性質があることです。「下」は清音のままで濁らないので「オクじた」とはなりませんのでこれは何といって良いか「片務的」な違いであります。
理由はともかく、代表変換「舌」を「タン」で出すにしても「じた」に柔軟に対応してあて込めることが望まれます。いやむしろ代表変換で使われるような複合語はまずもって連濁パーツでありますのでこれは必須条項であるのです。
もちろん連濁には規則性がなくデータの整備が困難であるというのもありますし、「--寿司(ずし)」≒「図示」や「--喧嘩(げんか)≒「原価」の同音例のように連濁をカバーしてしまうがゆえに余計な同音語とのカブりが増えてしまって混乱要因が増す、などの事情もあるでしょう。
ただこの代表変換・トランス音訓変換などに限って言えば変換対文字列は単漢字の切れ切れした配置を主にしているのがまずあります。想定される編集文脈というのが限定されているのです。
さらには闇雲にプレーンな文の中の紛れやすい環境であたえられる変換文ではなく「でにをは別口入力」という枠組みの中で名詞チャンク・動詞チャンクなどがある程度目星のついた中で、しかも代表変換は複合語・略語の構成要素を編集するシーンにおいて使われるというのが変換前提としてあるのです。
なので「何だこのスレは…」を「何蛸のスレは…」と間違えるようなことは決してありません。これだけでもだいぶ違ってきます。
このようにシチュエーションがある程度読める中であるのなら、基本語彙に限っては網羅的に連濁要素の収集という力任せな方法でもある程度「勝機」はあるのではないでしょうか。
カタカナ語の変換から話が逸れてしまいましたが、ましてやカタカナ語トランス変換に使われて、さらに連濁要素も絡むというパーツというのはある意味稀少ですからそれくらいは漏らさず押さえてほしいものです。
…以上でカタカナ語トランス変換というコンセプトで言いたいことは大体述べたところですが再度ポイントを確認いたしますと、
(本に)載る という意味で「appear(アピア―)」を「載」のカタカナ語変換にしようとしてもアピア―には「現れる」(現)というのがまず第一にきますし、
「help(ヘルプ)」を「助」のリードにあてようとしてもhelpには「避ける」という意味合いも持っていてニュアンス込みだと真に適切な代表変換候補を選び出すのも一定の基準というものがないとなかなか話を進められそうにありません。
つまり日本語と英語との橋渡しをする「カタカナ語トランス変換」というものも、単純に1対1で対応するという簡単な話ではないことを認識しなければなりません。これが一点です。
なので適用基準、適用場面は限定的・補完的なものとしてこれを使うということがもう一点です。
あとは先程の連濁のようにシチュエーションの限られた中で使うものなのでで連濁や促音音素の解釈は柔軟にして対応していくべきだというのが三点目です。
せっかく代表変換・トランス音訓変換…とここまでぶちあげてきてもまだ完璧さが足りないというのであればせっかくここまで建てたのだからいっそのこと"増築"してしまえば良い、ということで思いつきで追加したこのアイデア、
微調整という名のバランスによる完成ではなく、新規拡張というベクトルで動的均衡を目指すというのもひとつの解決策のありかたではないか、と自分に言い聞かせつつこの記事を締めたいと思います。