昨年夏、我が家において第169回芥川賞がにわかに盛り上がった。
受賞作の『ハンチバック』市川沙央:著 のインパクトである。
重度障害者の主人公が、両親の遺した施設で暮らす様子を鋭いユーモアで描き出す作品。
…との触れ込みでセンセーショナルに報じられ、作者の市川さん自身も筋疾患先天性ミオパチーという難病をかかえる障がい当事者としての視点と、
記者会見での障がい者の読書環境に対する筆者のかなり強烈な怒りが社会的メッセージとして強く受け止められ
それが、ふだんはノンフィクションをもっぱら読むほうである母の目に留まって
「なにこれ、その小説読んでみたいから注文して」
とめずらしくリクエストがあったからである。
そのムーブメントの盛り上がりもあって、注文するにあたって「俺は別のやつでも読んでみるか」と
惜しくも受賞を逃したノミネート作にもいろいろ情報収集をしたところ、
ニコニコ生放送の
第169回 芥川賞・直木賞発表&受賞者記者会見
というのを見つけて、幸いにも見逃し配信がまだ残っていたので吟味材料になるかなと思って長尺だったが試しに聞いてみた。
業界では有名?そうな評論家の方々がわちゃわちゃ論評とか雑談を繰り広げていて会場の発表進行に合わせてゆるーく、そして時には熱く語っておられて
文学界には全くの門外漢である私にとっても思わず聞き入ってしまうようなプレシャスな時間であった。
なにより文芸を、作者のバックグラウンドと社会問題をテーマにすることについてや、物語登場人物の「当事者性」というのをいかに汲み取って描いていくのかという近年で焦点になる問題意識について
識者の「常見」となるモノサシを知ることができ、「こういうのを意識しながら読み解いて、味わっていくのだな」
と、浅学な私にとっても親切なガイドとなってくれたのである。
2024今年年頭の芥川賞・直木賞のニコ生も公式ページがすでに開設されており、タイムシフト予約ができるのでせっかくなので当ブログ記事にも貼っておきます。
第170回 芥川賞・直木賞発表&受賞者記者会見 - 2024/1/17(水) 16:00開始 - ニコニコ生放送
https://live.nicovideo.jp/watch/lv343673196
(ちょっとやり方がわからなかったのでテキストリンクです)
芥川賞候補
・安堂ホセ「迷彩色の男」
・川野芽生「Blue」
・九段理江「東京都同情塔」
・小砂川チト「猿の戴冠式」
・三木三奈「アイスネルワイゼン」
各ノミネート作のくわしい解説をご用意できるほどの見識は持ち合わせていないので割愛させていただきます。
さて今年初頭の芥川賞(正確には令和5年下半期)はどのお方にスポットが当たるのか、また文壇の盛り上がりはいかなるものか
ご興味のあるお方は適宜チェック&タイムシフト予約等目くばせをしてくださいませ。
さてここからは惰性で穴埋め的内容なんですが、芥川賞にちなんで今回は著名な作家のリストアップをしてつぶやき数を集計してみました。
誠に恐縮なんですが浅い知識で誰でも知っていそうな有名どころとテンポラリに注目されている人はこうかな…とたどたどしい人選ではあるのですが
選出に当たっては独断も偏見もございません、ブログ読者の皆様からお叱りを受けないように保守的で安全牌的なチョイスをびくびくしながらこなしてみましたよ。
異論はあるかもしれませんが、なにしろ紙面が限られてしまうのでアプリ的にも10選が限界ということで若輩者の所感と思ってどうぞ受け流してください。
それでは、調査項目10作家さんの発表です。
調査はいつもの通りYahooリアルタイム検索アプリを使って定点観測をしてのリサーチです。
去年2代目のタブレットを購入したのでダブルシフトでリアルタイム検索アプリを回しているので今年は[リアルタイムアプリのカテゴリ]の手数を増やしてアウトプット発信していければいいなと思っております。乞うご期待!
結果を発表する前にここで本に関する小ネタ画像をひとつ!↓
江戸川区にある、こだわりの本屋さん「読書のすすめ」です。
新刊本は置いておらず、店主・スタッフのおすすめの厳選された面白い本、興味深い本が置いてあります。
インターネット通販や電子書籍が流通する中、「本のソムリエ」というユニークな志をもって10数年前から強烈な異彩を放ち全国から本好きの猛者たちが訪れる名物書店となっております。
店主の清水克衛(しみずかつよし)さん曰く
「読書には『縦糸の読書』と『横糸の読書』があります。縦糸の読書とは時代が変わっても変わることのない事実や人の在り方などを書いている本。横糸の読書とは時代の流行などにのっている本です。」
清水さんが勧めるのは『縦糸の読書』。人生を変えてしまうような読書体験が、一つの書店がきっかけとなって始まるかもしれません。
当ブログ当記事のミーハーなチョイスとは違って、日々消費する燃料とは別のベクトル、コンパスとして懐中に携えるようなチャーム(お守り)、そんなありようを立ち返って気づかさせてくれる素敵な本屋さんだと思います。
さてさて読書熱も高まってきたところで注目の集計結果発表!
花盛りのビブリオ・ア・ラ・モード、青春はNon Stopでまいります!結果はこちら↓
【著名な作家さん10選 つぶやき言及数調査】
調査期間:2024年1月1日-1月3日(3日間)
1.東野圭吾 359
2.村上春樹 971
3.湊かなえ 144
4.宮部みゆき 111
5.京極夏彦 264
6.伊坂幸太郎 133
7.逢坂冬馬 34
8.西加奈子 25
9.村田沙耶香 50
10.米澤穂信 80
【各作家さんの代表作】
東野圭吾▶ガリレオシリーズ、秘密、白夜行
村上春樹▶ノルウェイの森、世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド、騎士団長殺し
湊かなえ▶告白、夜行観覧車、贖罪
宮部みゆき▶模倣犯、ソロモンの偽証、火車
京極夏彦▶魍魎の匣、姑獲鳥の夏、ルー=ガルー 忌避すべき狼
伊坂幸太郎▶ゴールデンスランバー、重力ピエロ、アヒルと鴨のコインロッカー
逢坂冬馬▶同志少女よ、敵を撃て、歌われなかった海賊へ
西加奈子▶サラバ!、きいろいゾウ、漁港の肉子ちゃん
村田沙耶香▶コンビニ人間、生命式、丸の内魔法少女ミラクリーナ
米澤穂信▶〈古典部〉シリーズ、満願、黒牢城
今回の芥川賞受賞作についてはまだよくわかりませんが昨年夏の第169回芥川賞にちなんで入手した本の中に、
『それは誠』乗代雄介:著
というのがありました。
高校2年生の〈僕〉佐田誠。学校をずる休みして古式ゆかしい自作PCに向かって文章を打ち込んでいる。
何について? つい前日帰ってきたばかりの修学旅行の思い出だ。
…というスタイルで進んでいく、書き手の立場からつくられる新しい小説の試みなんですけれど、同じ班になった高校生のみずみずしくもTeenshoodな少年少女が彼らなりの真剣なやりとりを繰り広げていて
誠君の「音信不通になったおじさんに東京での自由行動のときに会いに行きたい」という突飛な発案が修学旅行前の班ミーティングで皆を動揺させるのでありますが
先生にバレるとそれはリスクがあるし、特待生で優等生であるとあるメンバーも自分のリスクとの板挟みに揺れ動きながらも心的交流のプロセスを経てとうとうサポートする側に回るし
大きな物語の転回をささやかな会話、話者のパーソナリティーが出る調子の流れ、態度の含みであるとかしぐさなどから丁寧に描写してあって空気感がああなんか青春してるなーって感じなんですよね。
GPSで居場所を把握されている問題をクリアするための苦肉のアリバイ工作だとか保護者や担任先生の方の葛藤と導きの美しさであるとか
7人の班メンバーがそれぞれ個性的で修学旅行という非日常の舞台でまぎれもなく冒険を繰り広げている。かけがえのない一瞬を切り取ったかのような物語でした。
あと、小川楓ちゃんがかわいい。
惜しくも芥川賞受賞は逃したのですけれどたまたま運が良かったのか私にとっては読みやすくて読後感もさわやかでこの作品をチョイスできただけども十分めっけもんだったと思います。
読書、最近は雑多なコンテンツ消費に時間を取られて、あんまり捗っていないのですよねー。
電車で本読もう作戦はちょっと尻すぼみしてしまったし、あとは寝るときに電気を消している状態だからそこからガサゴソ本読もうと思ったらやっぱし液晶タブレットを枕元において電子書籍で読むしかないのかなー。
でも私はペンタクラスタキーボードを標榜する身として文字媒体というものに最上位の関心を払っていきたいので
このコンテンツ飽和時代にあっても、読書はあきらめたくない、
そしてこの駄文を書き綴っているさ中にあっても文章表現の栄養をもっと吸収して少しでも向上心をもって自分なりの書き物スタイルというのを確立していきたい、
あとは気づいたらこまめにメモを取ってやっぱり記録していかなくちゃね、定着させていかないと。
やっぱり名作と呼ばれる書物があったら時間を作ってでも読まなくちゃね、と自分に言い聞かせていきたいかと思います。
Audible召喚するかな?
今年のミッション:「コード:ぽげムた」発動!
今回は以上でした。