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「でにをは」別口入力・三属性の変換による日本語入力 - ペンタクラスタキーボードのコンセプト解説

アニメキャラ名の止め字を変換できるとうれしい

2018-09-01 | 変換三属性+通常変換のシステム考察
ニャル子・クー子・ハス太・ニャル夫・シャンタッ君・ニョグ太・ナチャ橋・ニャル滝・イス香・アト子・クー音

…これらは名状しがたいアニメ 『這いよれ!ニャル子さん』に出てくるキャラクターの名前です。
これらは日本人一般の人名で目にするパーツや名前の「止め字」と呼ばれる結び要素(子とか太とか)を配置してそれっぽく見せた創作の人名であります。
こんな名前が一発変換できれば面白くないですか?
このような人名はお遊びの範疇でありIMEの機能でわざわざサポートするものでもなかろう、と訝し気に構えてしまわれるのも無理はないかと思いますが、
「コンビニで懐中電灯が売っていればうれしい理論」と同様に、さほど需要がなくともたまにないとすごく困るものが置いてあると店への信頼感がグンと高まり利用基点としての地位を確固たるものにするのと同じ効果が期待できると見込んでいるのです。
アニメキャラに関わらずとも、「ジョニ男」や「チャラ男」のように人称パーツの言葉遊び的用法は一般的でありますので間口は広いイシューなのではないでしょうか。
ここで着目するのは「ジョニ男」や「チャラ男」のように逐一単語辞書に登録しておけばよいというのではなく、ポプ子・ピピ美・ナオ太・ハル子・マミ美・ルル子・モジャ子・パゾ美のような未知語としての人名にも常に変換してくれるという安心感をシステムとして提供できないかということです。

以前このブログで三属性変換の応用例として過去記事
属性選択の遷移過程を反映した変換候補のリオーダリング - P突堤2
において解説してきたことの延長なのですが、
「○○美や○○男などの生産力のあるパーツを使っている」
「それでいて固有の人名を表している」
という2つの条件を具有しているという特徴はまさに「接辞からみの語句=属性ハ」と「人名・名詞=属性イ」の三属性の遷移過程をトレースすれば限定性が際立つので、
単文字「み」や「お」という接続の広い分断のしかたであっても適切に人名/高生産性の「美」であると解釈できるという理屈が成り立つのです。
せっかく通常変換から一歩踏み込んだ三属性変換なのですからこういうローカルイシューを利用しない手はありません。
他にはポメ吉・キキ菜・チワ丸・トケ井・ポメ千代・キョロ乃・ちゃき右衛門 などの人名(ペット名?キャラ名?)などといったものに出会いましたが、
これらのキャラ名は概して基本カタカナ+典型要素 の構成が多いものだと言えますので変換のデフォルトはカタカナで良いと思います。
--中にはちゃき右衛門のようにひらがなであったりトケ井のように苗字部分の止め字だったりする例もありますが基本的な考え方は通じると思います。
あとは「奈」と「菜」や「夫」と「男」などの複数候補がある場合もあるのですがこれは地味に候補選択で使いわけるしかないですね。

もっと発展させて考えるのなら、
立つ瀬無し夫・口先ペラ男・びっくらこき麻呂・がまぐちふくらみの助・口数多子 のようにひとかたまりの句や何がどうしたの言いさしを含むパーツであっても柔軟に対応できればなお良いかと思います。
「たつせなしお」にしても「辰瀬奈塩」のように脈絡のない変換はいかにもこじつけっぽいですし、「お」さえ決定済みというヒントが与えられているのなら「立つ瀬無し」がもっとも無駄のない変換であるのは言わずもがなです。
ここはちょっと込み入ってはいますが実現できないほどの難題とまでは言えないと勝手に考えています。

せっかくキャラ名の変換も考えたのですから、それとともに深く関連する事項としましては、
たっ君・海坊・源爺・エモやん・ヤンさん・メーガン妃・ベイダー卿・芭蕉翁・ナチ公・さや姉・プロシュート兄ィ・遠藤関・ホメイニ師・日ナレ生
…などのような尊称や役職、立場関係の呼称名詞接尾辞一般についても[属性ハ]-[属性イ]経由での遷移変換で狙い目通りに処理できればありがたいところです。
これらはどれも末尾要素に呼称語がついているのでアニメキャラ人名と同様特徴的ではないかと思われます。
「日ナレ生(にちなれせい)」についてはちょっと変換が難しそうですので、この前提案した「トランス音訓変換/パズルのピースをはめる変換」の方で対応するのもアリかもしれません。このへんは臨機応変にということで…。

さらにいえば
Y田さん・F川さん・H美 のようなアルファベット混在時のケースや
マリアっち・凛にゃん のほか○○ぴょん・○○たん・○○っぺ・○○りん
なども先述の延長上で実現可能かと思います。
何もこんなオタク根性丸出しの些末な変換に肩入れしてどーする、と思われるかもしれませんが単純に法則性に則ってバリエーションをちょっと足すようなものですのでこれも一種の「もったいない精神」のあらわれでありますのでどうぞご容赦ください。

再びキャラ名の変換について考察していきますが、「○○丸」とつくようなキャラ名には
剣獅子丸・爆烈丸・九十九丸
のようにカタカナではなく漢字が使われる例の方が優勢である場合もありますのでこのへんはここの止め字に応じた細かなチューニングが求められるかもしれません。
[属性ハ]-[属性イ]経由ときておりますので変換候補をずらずら出すためにはこのまま[属性イ]を続けて押下していくものなのですが、漢字パーツという文字列の特性上、目的の語にきちんとたどり着けるかどうかインターフェイス上の難点が懸念されるところではあります。
ここのところはまだ改善策が見つかっていませんので今後の課題としていきたいかと思います。

あとは世間一般の人名の止め字には
希/沙/穂/佳/哉/吾
などのようにある程度定型的な止め字もあるのですが、「美」や「菜」などのように音感/添え物的な止め字の類だけにとどめておいて前述のような"語彙的止め字"については適用を控え気味にしていった方が良いのか判断の分かれるところでもあります。
あくまで感覚的な分類ですし明確な線引きは決まってはいないのですが、気軽に創作駄洒落人名を作るのにはある程度タイピカルな「型」というのがありますのでその流儀に従うのであればある程度制限するのは仕方のないことかもしれません。

最後に人ならざる者の「人生」をあえてひねくり出したいときに
ニャン生・ワン生・犬生・魔女生・ロボ生
のように当て字をすることもありますがこの例はタイピカルな接尾辞というわけでもなさそうなので対応範囲に含めるべきなのかというのも本質論として浮かび上がってくると考えます。
属性ハの挙動性質の位置づけをもっと検証していくことが求められますね。今後もこのトピックは深掘りしていきたいところです。

以上でアニメキャラ名という切り口で入ったこの議論でしたが三属性変換の奥行きについて考えさせられた面白いテーマだったと思いました。


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