旅に出たのが先週のこととはとても思えない。
ペトラ・ブッシュ『漆黒の森』を読み終わり、面白かったこともあって、
この本の訳者・酒寄進一さんがあとがきで勧めていたドイツミステリを買ってみた。
小説自体ももちろんいいんだけども、この訳者の方の訳がとても上手い。
海外文学の面白さの半分は訳者の方の力だと思う。
・フェルディナント・フォン・シーラッハ 『犯罪』
・ネレ・ノイハウス 『白雪姫には死んでもらう 』
の2冊。
まとめて読む時間はあまりなかったので、通勤時間に少しずつ読んだり、
今週は2回出張があったので、出張の帰りに出先でコーヒー1杯で1時間ほど本を読んだり。
ミステリ好きが高じて文学全般が好きになったのに、
社会人になってからはあまり読めていなかった。久しぶりのミステリ三昧にワクワクした。
フェルディナント・フォン・シーラッハの『犯罪』は、短編集のような形式。
起承転結がとても緩やかで淡々としていて、不思議な後味の小説だけど、
昔好きだったサキの小説の雰囲気を思い出させた。日本人にはない、乾いた感覚が良かった。
乾いているけど、深みがある。
フェルディナント・フォン・シーラッハが普通の小説家ではなく、
弁護士という別の仕事を持っていることが関係しているような気がする。
全ての小説にリンゴが登場するということは、最後まで気がつかなかった。
読み終わった日の夜、不思議な夢をみた。
キリスト教に関する夢で、たぶんこの小説の影響だろうと思った。
罪とは何だろうと、しばらく考えこんでしまった。
次に読んだネレ・ノイハウスの『白雪姫には死んでもらう 』は、
『犯罪』が哲学的な作品(と思った)だったのに対して、
完全にエンターテイメントの側面が強い小説だった。
同じドイツミステリ分野でも、かなり路線が違う。
それもそのはず、
調べてみるとネレ・ノイハウスは「ドイツミステリの女王」(このとき、初めて女性であることを知った!)
すなわち一時期の山村美紗氏みたい(?)な扱いを本国で受けている超売れっ子作家だった。
オリヴァーとピアという男女の刑事が主役で、この2人の人物がとても魅力的。
事件とは関係ない、それぞれの家庭のストーリーも組み込まれていて、
これって海外ドラマの脚本にそのままして欲しい!と思ってしまうくらいだった。
映像で見てみたい!絶対面白い!
2人の少女殺しという無実の罪で、
11年の有罪判決を受けてしまった青年トビアスが出所したことから始まった物語。
彼の帰りを望まない村、村人全員がなんだかおかしい・・・・と、舞台も充分!
犯人候補が多過ぎて、もう登場人物みんな怪しいくらいに中盤から思ってしまうけど、
真実がわかるにつれて、ふええ・・・人間って怖い・・・・・・。
あと、この小説でも『漆黒の森』でもキーとなったのが自閉症の男性の存在。
特に『漆黒の森』での自閉症男性の心の表現が本国で話題になったそう。
作者が自閉症の方に長い期間接して、かなり綿密な取材をもとにして作られたキャラクターなんだそうだ。
全ての人を『花』として見ていたこの男性の心象風景にはとても驚いた。
ものすごい風景だ・・・。
また、どんどん連想ゲームのように思考が『跳ねている』状態にも。
私たちの知覚世界では到底、到達することのできない世界観だった。
気になる人はぜひ『漆黒の森』を読んで欲しい。
『白雪姫には死んでもらう 』でも、偶然、事件を見てしまった自閉症の青年が事件の鍵を握っていた。
しかし、彼はしゃべることができないのだ。彼をめぐる人々の思惑が交錯する様子も怖い。
それにしても驚きの結末。
途中から犯人はわかるように書いてあるのだけど、
それに手を貸した人間があの人だったとは!!!!!!
結末まで読みたいがために、毎日の電車通勤時間がどれだけ待ちどおしかったか。
昨日読み終わり、
すぐにでもまたフェルディナント・フォン・シーラッハかネレ・ノイハウスのを読みたい!
と思い、少し時間があったので武術の練習前に駅内にある本屋さんへ。
小さな街の本屋さんなのでないかもしれないなあと思ったら、
ネレ・ノイハウスの『深い疵』があった。
武術の帰りの電車で早速読み始めたら、
どうやら『白雪姫には死んでもらう 』の方が『深い疵』よりも後の話なんだそうだ。
事件は別の話だけど、同じシリーズでオリヴァーとピアが出てくるので、
ああ、オリヴァーはこのあと・・・!とか、
それぞれのプライベートの行く末を知っちゃってるところがちょっと残念(笑)。
とはいえ、今回のも面白そうだ。
海外文学全般に訳に時間がかかるだろうから、どんどん出てくるわけでもないだろう。
今、私の中ではたまたま出会ったドイツミステリが熱いけど、
そのうちドイツ以外の国の最近のミステリも読みたい。
どの国にいても、人間って底知れない恐ろしさや魅力を持ってるなあとミステリを読むといつも思う。
ペトラ・ブッシュ『漆黒の森』を読み終わり、面白かったこともあって、
この本の訳者・酒寄進一さんがあとがきで勧めていたドイツミステリを買ってみた。
小説自体ももちろんいいんだけども、この訳者の方の訳がとても上手い。
海外文学の面白さの半分は訳者の方の力だと思う。
・フェルディナント・フォン・シーラッハ 『犯罪』
・ネレ・ノイハウス 『白雪姫には死んでもらう 』
の2冊。
まとめて読む時間はあまりなかったので、通勤時間に少しずつ読んだり、
今週は2回出張があったので、出張の帰りに出先でコーヒー1杯で1時間ほど本を読んだり。
ミステリ好きが高じて文学全般が好きになったのに、
社会人になってからはあまり読めていなかった。久しぶりのミステリ三昧にワクワクした。
フェルディナント・フォン・シーラッハの『犯罪』は、短編集のような形式。
起承転結がとても緩やかで淡々としていて、不思議な後味の小説だけど、
昔好きだったサキの小説の雰囲気を思い出させた。日本人にはない、乾いた感覚が良かった。
乾いているけど、深みがある。
フェルディナント・フォン・シーラッハが普通の小説家ではなく、
弁護士という別の仕事を持っていることが関係しているような気がする。
全ての小説にリンゴが登場するということは、最後まで気がつかなかった。
読み終わった日の夜、不思議な夢をみた。
キリスト教に関する夢で、たぶんこの小説の影響だろうと思った。
罪とは何だろうと、しばらく考えこんでしまった。
次に読んだネレ・ノイハウスの『白雪姫には死んでもらう 』は、
『犯罪』が哲学的な作品(と思った)だったのに対して、
完全にエンターテイメントの側面が強い小説だった。
同じドイツミステリ分野でも、かなり路線が違う。
それもそのはず、
調べてみるとネレ・ノイハウスは「ドイツミステリの女王」(このとき、初めて女性であることを知った!)
すなわち一時期の山村美紗氏みたい(?)な扱いを本国で受けている超売れっ子作家だった。
オリヴァーとピアという男女の刑事が主役で、この2人の人物がとても魅力的。
事件とは関係ない、それぞれの家庭のストーリーも組み込まれていて、
これって海外ドラマの脚本にそのままして欲しい!と思ってしまうくらいだった。
映像で見てみたい!絶対面白い!
2人の少女殺しという無実の罪で、
11年の有罪判決を受けてしまった青年トビアスが出所したことから始まった物語。
彼の帰りを望まない村、村人全員がなんだかおかしい・・・・と、舞台も充分!
犯人候補が多過ぎて、もう登場人物みんな怪しいくらいに中盤から思ってしまうけど、
真実がわかるにつれて、ふええ・・・人間って怖い・・・・・・。
あと、この小説でも『漆黒の森』でもキーとなったのが自閉症の男性の存在。
特に『漆黒の森』での自閉症男性の心の表現が本国で話題になったそう。
作者が自閉症の方に長い期間接して、かなり綿密な取材をもとにして作られたキャラクターなんだそうだ。
全ての人を『花』として見ていたこの男性の心象風景にはとても驚いた。
ものすごい風景だ・・・。
また、どんどん連想ゲームのように思考が『跳ねている』状態にも。
私たちの知覚世界では到底、到達することのできない世界観だった。
気になる人はぜひ『漆黒の森』を読んで欲しい。
『白雪姫には死んでもらう 』でも、偶然、事件を見てしまった自閉症の青年が事件の鍵を握っていた。
しかし、彼はしゃべることができないのだ。彼をめぐる人々の思惑が交錯する様子も怖い。
それにしても驚きの結末。
途中から犯人はわかるように書いてあるのだけど、
それに手を貸した人間があの人だったとは!!!!!!
結末まで読みたいがために、毎日の電車通勤時間がどれだけ待ちどおしかったか。
昨日読み終わり、
すぐにでもまたフェルディナント・フォン・シーラッハかネレ・ノイハウスのを読みたい!
と思い、少し時間があったので武術の練習前に駅内にある本屋さんへ。
小さな街の本屋さんなのでないかもしれないなあと思ったら、
ネレ・ノイハウスの『深い疵』があった。
武術の帰りの電車で早速読み始めたら、
どうやら『白雪姫には死んでもらう 』の方が『深い疵』よりも後の話なんだそうだ。
事件は別の話だけど、同じシリーズでオリヴァーとピアが出てくるので、
ああ、オリヴァーはこのあと・・・!とか、
それぞれのプライベートの行く末を知っちゃってるところがちょっと残念(笑)。
とはいえ、今回のも面白そうだ。
海外文学全般に訳に時間がかかるだろうから、どんどん出てくるわけでもないだろう。
今、私の中ではたまたま出会ったドイツミステリが熱いけど、
そのうちドイツ以外の国の最近のミステリも読みたい。
どの国にいても、人間って底知れない恐ろしさや魅力を持ってるなあとミステリを読むといつも思う。
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