『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
    そして
  日々の出来事など

フルート奏者・白川真理

第142回 音楽家講座 in鶴見~甲野善紀先生を迎えて~

2025-03-20 20:54:51 | 音楽家講座・甲野善紀先生を迎えて
3月17日(月)
良いお天気に恵まれた一日となりました。
この日は、午前中にコンサートの打ち合わせがあり、その後ランチをして、1時から近くのカラオケ屋さんで練習(フルートを!)したのですが、平日だというのにとても混んでいて15分待って、2時間限定。
本当はもう1時間くらいと再度申し込もうと思ったら、今度は30分待ちとのことであきらめ、他のお店に行ったら、やはり30分待ち。
でも、とにかく色々と試したいことも多かったので、そこで再び練習。

程よい時刻となり、音楽家講座。
朝から色々とやって、練習も4時間弱、とフル稼働でしたが、楽しいことばかりなので、旅行の時と同じで全く疲れを感じることもありませんでした。

甲野先生は京都からそのままお越しくださいました。
お忙しい中、本当にありがたいことです。

少し早く到着されたので、今回の気付きをご報告して、演奏も聴いていただくことができました。

「白川さんも、今生を長く生きて、その気付きがあれこれ考えなくても、出て来るようにならなければいけないですね。もちろん、それを他の人に説明するには役に立ち良いのですが・・。何しろ、今私は誰よりも自分の未熟さを自覚したところで、それは家の倉庫の地下にもう一つ隠し部屋があって、そこに宝が沢山入っていた、というような驚きと喜びがあるんですよ。」

とのこと。
先生のレベルで、先生のお年で、「未熟を自覚して喜んでいる」ということが凄いことです。

これしきのことで喜んでいちゃあまだまだですよ、と諭された気持ちで、

「はい。なにしろ、これに気付いたのが昨日のことなので、私も元気に長生きしてより探求していきたいと思います。」とお返事。

ともあれ、先生の前でもより自在に演奏出来たのは大きな進展。

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講座は半数が初参加の方だったこともあり、またその後、私もそうでしたが、先生の不思議な体験のお話によって、相当色々と変化された方が多かったこともあり、また「不思議な話」で始まりました。

この御話しに付随して先生が体験されたその他の不思議な体験のお話もありましたが、いずれも、先生のプライベイトなことなので、ここに記すのは控えさせていただきます。

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前回のお話に加えて、更に2つの不思議な体験のお話をされる。
また、それに関係した身体を観ることが出来る方々のお話も。
会場の全員がとてつもない集中力で引き込まれているのが判る程。

お話はいつもの1時間よりも長くなりましたが、ちょっとそれを止めて個別指導に、という感じではなかったし、参加者の方の雰囲気も同様だったので、そのままに。
こんなことは音楽家講座が始まって以来、22年にして初めてのこと。

そして、この不思議な体験によって、ご自身の内面が変化したことにより、大きな技の進展が。

(お話)
今回のことで、根本的にものの見方が変わった。
極当たり前のことにでも感謝する。その「ふり」だけでも違うが、本当に自分の中が変わると驚く程の変化が。

「天然もの」の変化には力がある。





(刀を何度も構えながら)
微妙な働きの凄さ。
何十か所もが、ザワっと揃う気持の良さがあり、ずっとやってしまう。

左小指はちょっとはずれるくらい。右手でやっているようだが、じつは左。
左が体中で持っている。(だからこそ)左は触れているだけ。

感情も含めた気持ちよさがある。

自分のあらさがし。








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(個別指導)

1.三味線
  身体が音を止めた感じになってしまう。
  大きな音ががなってしまう。

(先生)「自分の中から止めているものを払う。今やります」
祓い太刀で大きく変化。


2.フラメンコギター  
   様々な姿勢があって悩んでいるのだけれど、どれが良いか?

(先生)脚のポジションを変化させることを提案
    「動こうとしたとき、動ける姿勢で」

軸が整い、音にも芯が通った響きに。



3.三味線
   響きを自分で感じられない。
   弾いているうちに、どんどん怖い表情になってしまう。

(先生)「自分で自分に対する不満がそうさせる。ある世界にパっと入れるとFlowな状態に入ることが出来、内面が変化する」

丸紐による四方襷で、響き、表情のみならず、声、肩の位置も大きく変化。


4バストロンボーン
   柔らかい音から勇ましい音までをより自然に吹き分けられるようにしたい。
   呼吸に関して何かないか?

(先生)「呼吸に関しては、あまり話したことがなく、これも今回初めて話すのだけれど、動きに肺が関わってくる。肺を色々な形になるように。動きにもいろいんな役目がある。子供のダンスの様に肺が踊る」

そのまま下がろうとされたので、「今の今ですし、出来なくでも当たり前のご助言ですから、もし良かったら、なんとなくで、良いので、アフターも吹いてみていただけませんか?」と司会者無茶ぶりをしてしまったのを快く受けてくださり演奏。

より楽しそうに軽々と変化し響く演奏に。


5.歌
   以前祓い太刀をしていただいて、大分首肩周辺がラクになり高い声も出るようにな  ったので、御聞かせしたい。またやっていただきたい。

祓い太刀で更にのびやかに変化。

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なんといっても、「肺のダンス」だろう。

丁度、ポニョ、エイと進化?してきて2日目だったこともあり、それがより深い場所(肺)で行われているのだよ、とヒントを頂いた心地。
思わず、「先生、それは何か具体的な形とか、イメージはありますか?ハートとかこう何か?それとも、そういうものではなく、何か?」

「そりゃあ、具体的にありますよ」

とのことだった。

懇親会でも初参加の方に技を経験していただいて、いつもの居酒屋稽古会に。

「ね、人は人の心がありありと読めますから、こちらの手は何もやっていない、と思わせるのです」と仰っていたので、ここでもまた質問。

「先生、それは楽器も同様ですか?」

ニヤっとされ「それは、そうですよ。楽器は最も思念の残るものですからね。楽器、刀、そして着物・・」

いつも、「今日もよろしく」と楽器に挨拶して始めて、「今日もありがとう」と楽器を手入れしてしまって、とやっているし、生徒さんにもそのように教えているけれど、楽器に技をかけて通じるようにしよう、なんていうことは思ってみたこともなかった。

でも確かに、そのように思った時の自身の心身は全く違う訳だから、これは科学的手法といっても良い。

また新たな研究課題が出来、面白いです。

ご参加くださった皆様、スタッフAさん、会場スタッフの皆様、甲野先生
本当にありがとうございました。

次回は同会場同時刻で、4月17日(木)となります。
5月はお休みで、その次は6月となります。

どうぞお越しくださいませ!



第141回 音楽家講座in鶴見~甲野善紀先生を迎えて~ 1月28日(火)

2025-01-30 00:37:01 | 音楽家講座・甲野善紀先生を迎えて
いつもよりは、やや少なめの人数でしたが、やはり先生の予言の通りの、濃いひとときとなりました。

20年間やってきた音楽家講座の歴史の中でも、特別な回となったと思います。

いつもは、参加された方のため、またこれから参加しようかと考えてくださっている方のため、何より自分自身の覚書のために、かなり詳細なレポートを書くのですが、今回のことは、私の手による文章になってしまうと、その本質が伝わらなくなってしまう可能性も高いと感じているので、申し訳ありませんが先生のお話は、無記載といたします。

それにこのお話は書いておかないと忘れてしまう、といった類のものではなく、一生忘れられない体験となったので、自身のための覚書を書いておく必要もない。

手の甲を使った先生の技の利きも冴え冴えとした不思議なものでしたが、この進展も先生の心の変化からもたらされたもののようでした。

20年前、少しでもマシな演奏が出来る様になりたい、とお願いした音楽家講座でしたが、フルートの取り扱いの技法だけでなく、楽器を取り扱う奏者自身の心に働きかけることこそが、本質的な飛躍をもたらすということを教えていただいた心地です。

響いているのは楽器だけでなく、奏者の身体も。
身体も楽器の一部です、と常日頃言っているのに、その楽器でもある身体に付随している心に関しては、今あるものでやっていくしかない、というような感覚でした。

でもそうではなく、今は心を掘り下げていくことで、大きな変化があるのは確かだろうなと予感しています。

ただ、私は今回のお話をうかがってからというもの、自身の心を掘り下げ始めるともういたたまれなくなるほどの疲労感と焦燥感が生じ辛い気持ちが増してしまいます。

その結果飛躍的に上手くなるのと、そこからは目をそむけて、のほほんと生きて、その中で出来る限るの演奏で満足して生きていくのと、果たしてどちらが幸せなのか?

特に、健康で動ける残り時間がカウントダウンとなってきた年代となり、その迷いは猶更。

人には人夫々の器というものがあるので、まあ致し方ないとは思うけれど、やはり私は、後者だなあ、と思ったり。

それでも、今日吹いたフルートの音は今までとは全く異なるものでした。

・・考えたくはないのに考えてしまうことになっている・・??


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(個別指導)
1.一般・・足に関するひもトレ効果を体験したい

丸紐を足指に巻いて歩く。中々変化したという実感は掴めなかったようだったが、観客からは姿勢と足運びの変化を指摘する声も。





2.フルート・・ポップスはOKで自分の音楽が吹けるが、クラッシックだとだめになる。習って吹くとだめ。フルート以外ではあるが、過去の音楽の怖い先生の記憶がよみがえるからか?自分の中の意識の問題とは思うがなんとかしたい。

丸紐の四方襷で変化。「応援してもらっている気がする」との感想。

甲野先生の御助言・・「何が変わったんだろう?」「アレ?あれ?!」を追求していくことで、自分の中に解放できるかも。



3.ピアノ・・右と左のバランスが悪く交差させて利き手でない左手でメロディーを弾くとき、それが聴こえにくい。また右手が伴奏の時にうるさくなってしまう。

祓い太刀で大きく変化。ばらけていた印象の左右の腕、背中、全身が繋がりひとまとまりになり、良いバランスの演奏に。音色も深まる。

甲野先生の感想「想像していた以上に大きく変わりましたね!」(同感)



4.ドラム・・左手で出す音が右に比べて弱いのをなんとかしたい
スティックで椅子の座面を叩く。

指紐。 本人の自覚はなかったものの、観客側は音色と響きが瞬時に変わったのを感知。




5.サクバット(ルネッサンス・バロック時代のトロンボーン)・・長くて重く、とても疲れて身体が痛くなるのをなんとかしたい。

許可をいただき、甲野先生に実際に構えていただくことに。
「・・なるほど・・確かにこれは相当大変ですね・・」と仰って数秒後、錘を付けることを提案。先生が持っていた手袋に何か(紐?)を詰めたものを後ろ側に下げて再び演奏されたところ、響きが深く音色は明るくなり、楽しそうな流麗な演奏に。あまりの違いに奏者、観客共驚く。


6.一般・・人前でとても緊張してしまうのをなんとかしたい

壁から少し離れて立って前に傾いていく方法を紹介。肩のポジションが落ちると共に喉がひらき、横隔膜も下がり、声の通りが良くなる。表情も明るくなる。
全員でステージに上がり、壁の前に立ち、先生からやり方を教わる。



その後、真剣を使って、鷹取の手の内のビフォーアフター効果も紹介しようとされたところ、既に壁の前に立つやり方で、皆肩が下がっていたせいか、最初から誰も刀を向けられても緊張しなかったので、こちらの検証は出来ないままに。壁立の効果の検証にもなりました。

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懇親会もしみじみと楽しいひとときでした。

甲野先生、ご参加くださった皆様、ありがとうございました!

2月はお休みで、次回は3月17日(月)です。
どうぞお越しくださいませ。
・・今回、動画ばかり撮ってしまい、先生のお写真が殆どなくすみません。






(告知)第141回音楽家講座in鶴見

2025-01-27 11:43:56 | 音楽家講座・甲野善紀先生を迎えて
いよいよ明日は、甲野善紀先生を迎えての音楽家講座です。
https://www.shouseikan.com/yotei.htm#music

甲野先生のお忙しさは更にとんでもない事になっているご様子ですが、以下ご連絡をいただきました。

(引用開始)
この日は、私が1月9日に体験した 「本当に不思議な話」を行いたいと思います。 18日から名古屋、 関西と回りましたが それぞれのところで、話して、 多くの人に今までにない感じを 味わっていただきました。 まあ、この話は人を選ぶので、 あまり人が来られないかもしれませんし、 かえって 普通は来ない人が来られるかもしれません。 聞いた人の中には 自分の生き方が変わる人もきっと出るでしょう。 そういう種類の話です。
(引用終わり)


広い会場ですので、お申し込みなしでも大丈夫です。
どうぞお越しくださいませ!

 



第140回音楽家講座~甲野善紀先生を迎えて~ 11月28日(木)

2024-11-30 17:17:23 | 音楽家講座・甲野善紀先生を迎えて
風は冷たかったものの、11月末とは思えない程の陽気となりました。

先生の御忙しさは更に増していて、メールの返信だけでも大変なご様子。
早く到着されたのでラウンジにてお仕事を。

でも、昨年よりは、ずっとお元気なご様子でした。

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(お話)
武術というのは「対応の技術」。
スポーツと最も違うのは感覚、意識のあり様を当然の事として探求してきたところ。

身体を上手く使うためには、ここを気にしない。
「集中する」は違う。

自分がどうやっているかわからないような感じ。

「身体も自分の意識に注目されているとうごきにく」

75歳となったが、「技」自体は今が一番出来るようになっている。

(技を紹介、体験してもらいながら)
影観法 
左右を分離してやるほうの左を使わず右を使う
意識をパっと消してしまう
人は予想できる能力を持っているからこそ、普通に電車に乗って人混みをかき分けてここに来られる。
武術はその優れた機能の逆利用
人間は人が動くための事前の情報が必要
それを「ずらす」ことで「術と呼べる程のもの」となる
「津波の原理」・・筋トレ、反復練習では決してもたらされない、全く違う原理
人は人の心が読める

(誰でも出来る立ち上がり方の紹介)稽古人の女性の気付き
殯(もがり)で立つ
左右に脚を開くと重心がいったりきたりするのをクロスすることで重心が整う。

(重ね雲)
階段を虎拉ぎや火焔によって脇腹が脚を助けるやり方でなく、感覚だけで、心法で、とやっていたが、実はその裏が更にあり、階段をこちらに引き寄せて、とやる時の身体の取り扱い方に原因があった。重心が下後ろにがることで脚が出る様に。
これで「謙譲の美徳」をやると相手は足元から崩れる。

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(個別指導)
1.肩が痛む
祓い太刀

2.うた
胸紐で響きが増し安定。

3.ピアノ・・ショパンのエチュードで小指が痛くなってしまい、ミスしてしまう。
指紐でミスタッチが減り、響きが変化。



4.肩が痛む
肩、背中周辺への施術でラクに。

5.数年前からの人差し指の引きつりをなんとかしたい。
祓い太刀

6.座骨神経痛で両足が痺れる
(あとで)控室にて施術でラクに。

7.サックス
膝裏を緩めるようご助言。丸紐の四方襷で、息が伸び、響きが増す。

8.横笛(パイプ)・・右が抜けない自覚がありなんとかしたい。
祓い太刀。

9.ピアノ・・力を抜こうとすると却って力が入ってしまう。
自分の中で、自分が力が入ってしまったという事を逆に使って、悪いと思わないで、それを自分の中で任せてみる。
施術と祓い太刀で、響きが深くなる。


10.ウクレレ・・ネックの裏表の指が同時に動いて不安定になる時に苦心しているのをなんとかしたい。

四方襷で精度が上がり、響きが増すのでゆとりが生まれた。


11.フルート(白川)
左親指に大きな石の指輪を付けた時とそうでない時の響きの違いを、どちらが良いか聴いていただきたい。(会場の皆様にも)
馴染みのない、残響少な目の会場(旧奏楽堂)で演奏する時の対応方法は?


指輪による違いははっきりとあるが、どちらがよいかというよりも、好みの問題。
(客席からは指輪在り推しの声多し)

場所に関しては、そこに自分が行った時に、まずどういう感じがするかということが一番大事。何処でやるにしても自分の中でその今ここに居るその中で、何がより自分にとってより納得できる状況なのかを観て求める。その場での存在の仕方がどうするのが悔いが残らないか考える。

何かに向けて準備するということがあるかと思うが、「準備をしている」というその行為もいわば「本番」。
どうすれば、今いる自分がより納得できるかという方法を色々なところから、探し、その納得できることを続けて行く。

つい先のことを思ってしまうが、そうではなくて「今の今」を納得できる自分のありようを追求して「今そこがどうなのか」が自分の中で出て来る答えを探す。



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音楽家講座始まって以来の「演奏のビフォーアフターなし」続出ではありましたが、これはこれで、今回の流れの一つと受け止めました。

施術後の血色がよくなり、パっと明るい表情となった皆さまを見ると、「これで良いのだ」と感じられ、故障を治し整えられた心身は音楽に限らず幸せに生きていくための大前提にあることを再認識です。

そのお陰もあり、個別指導希望者は多かったのに、私も受講出来、先生からの貴重で深いご助言を受けることが出来ました。

「その時々の今ある自分をどう見つめられるか」
これを日々思いながら、過ごしていければと思います。

少し早い忘年会も弓の話、火起こしの話と先生の話題はディープかつ多彩で、とても楽しいものでした。




年内の音楽家講座はこれで終了となり、次回は来年1月28日(火)となります。

ご参加くださった皆さま、会場スタッフの皆様、甲野先生、一年間ありがとうございました。

来年もどうぞよろしくお願いいたします!







第139回 音楽家講座 in鶴見~甲野善紀先生を迎えて~ 10月24日(木)

2024-10-26 12:19:45 | 音楽家講座・甲野善紀先生を迎えて
10月も半ば過ぎたというのに、とても蒸し暑い陽気となりました。
ここ数日も、もう暑いのだか寒いのだか、よくわからない毎日。

そんな中、甲野先生は、日本中を駆け巡っておられて、本当にとんでもない御忙しさのはずなのに、以前のような憔悴された感じは一切なく、何かしら突き抜けられたお元気な様子で、これがこの日の一番の嬉しい驚きでした。

おそらく、旅先の様々な出会い、それに伴う技の進展が、先生のエネルギーの源になっておいでなのかな、と思います。

そうした先生の「波」にシンクロしたかのように、私にも大きな進展がもたらされたので、そのご報告。
これも7月2日に口腔内の変化に気付いたからこそなのですが、それ以降導火線に火がついたかのように変化しています。

今回はフルートを吹いている中、もたらされた気付きですが、その状態で声を出してみたところ、大きな変化がありました。

声に響き、奥行き、ボリュームが出るように。

講座開始前に、控室で歌とフルートを検証していただいたところ、どうも、今回のものは、以前先生がみつけられた声帯に関する気付きと同じような働きをしているのでは、とのこと。

そういえばかつて植村泰一先生からも「フルートは声帯ともとても関連があると思う。」と仰っていました。

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(お話と技の紹介)

前よりも基本的な体力や肉体的な衰えはあるが、身体の使い方、技に関しては50代、
60代の頃よりも、今が一番使える。

今の技は特に、感覚、意識、思考といったものが、どういう構造でこうなっているのか?
凄く複雑だ。

よくやろうと思ったり、上がったりという思いをサっと消してしまう技の一つに、2017年暮れに気付いた「影観法(えいかんほう)」というものがあった。

(体験者を相手に技の解説)
相手を突こうとしたときには、こうして払われてしまう。
しかし、相手に触れているところではなく、触れていないところでやると払われない。

(しかしただそうするのでは何も起こらず)意識の有様が違っているのをどう説明したらいいのかがわからない。

人には皆、とても繊細で精妙な能力があり、次に来るであろう力の方向性を把握し先回りし正確に読んでいる。
こうした機能がないと満員電車に乗ったり、雑踏で人をよけながら歩いたりは出来ない。
人間がスムースに動作出来るのは予測できるから。

しかしこの技はそうした予想から外れているから止められない。

クラッシック音楽でメロディーがわかっていても微妙に心地よく予測を外されるから感動する。

この時、意識が全然違うものになる。

何気なくやっていても、意識は何処にあるかわかっている。その意識がパっと飛んだ時は何もないので予測できない。

(自分ではなく)まるで隣の誰かがやっているような感じで、完全に(意識の)スイッチを切っている。
こうしたこと(影観法)は気配に敏感な人程出来ない。
意識を分離させない。
人間は表の意識と裏の意識が絡み合っている。
パっとやっていることを持続させるといろんなことが違ってくる。
そのへんは、どういう人間の構造になっているのか?
出来る様になると、生き方も人生も変わってくる。
何かをやる時の意識のあり様が大切。
ただただ繰り返すだけでは、上達どころか、むしろヘタになるだけ。
どこかで気持ちをパっと転換する。
自分をパトロールするかのように見回っているもの(意識?)があるので、それをどうやって切り替えるか。過剰に働きすぎないようにするか。

(両手で手をもたれた相手を崩す)ただ上げようとする手と反対の手を操作すると地震の津波が伝わるようになる。ただイメージするのとは違う意識の在り方があえい、動きの質が違う。

これとは別に「階段上り」の応用での突きはこうした(意識の)手続きはいらない。
意識のあり様の違い、何かに気付くという大事さ。
「術と呼べるもの」はただただ反稽古では出来ない。
表にある意識をパっと切り替えている。

ネドじゅん、刑務所で講演した曹洞宗の僧侶、伝説の養護学校教員・山元加津子らの話。

人が生きているということは色々なことに対応すること。
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(個別指導)
1.ピアノ
フォーカルジストニアとなり大分回復したが、まだ思う様に右手が利かない。右手のパッセージが速い時、人前で弾く時など、左右のバランスが悪い。

指紐、祓い太刀で、指は軽く、音はふくよかに大きく変化。

2.ピアノ
本番での意識、自我をなんとかしたい。背中がバリバリになっている。

祓い太刀で、大きく変化。

3.ヴァイオリン
前回の受講後大きく変化し、周囲からの評価も上がったとのご報告。
(実際そうでした!)

祓い太刀で更に響きが増す。


4.能管
ナンバ歩きをご指導いただきたい。

膝をのばさない、手をふらない。
現代歩行は踵着地が問題。
クッション性の高いスニーカーはよくない。
「ヌケヌケ症候群」となる場合も。
人の身体は驚くほど精妙で、分厚いコートの上に巻かれたものが丸紐か平紐かを感知するくらい。確実に違いを感知する。
道は実際には硬いはずなのに、足元が柔らかいということで脳が混乱し、身体が理解できなくなり、運動機能そのものがおかしくなる。
裸足が一番。波打ち際の湿ったところを歩く。
具の目歩き
10分かけて45度まわる。「頑張ってやっている」ではなく。
「無構えの構」の稽古は、身体各所がピタっと揃うのが楽しく面白く、いつまでもやっていられる。決して苦労して何かをやる、というのではない。





5.ピアノ

祓い太刀で音に深みと輪郭が。


6.ピアノ
粒がそろわない。

丸紐による四方襷により大きく変化。

7.ウクレレ
肩が痛い。

祓い太刀で、背中が変化し、音が明るく晴々と。


8.ピアノ
身体の節々が痛い

祓い太刀でクリアに変化。

9.うた
喘息が辛い

鎖骨近辺の調整で、より響くように。


10.イタリア歌曲、フルート’白川)
せっかく色々な気付きがあっても、本番での「うまくやってやろう」があると失敗する。
これをなんとかしたい。

祓い太刀
歌、フルート共に変化。

演奏自体は以前よりはマシになったものの、意識はやはり緊張したままで、ベストコンディションではない演奏なのでなんとかしたい。

労宮のツボをへこませる手の内の紹介とその効果を持続させるための方法の紹介。

意識の変容にも結び付くせいか、内心のドキドキが消滅。


時間があったので、追加で個別指導
11.ヒーラー 
先生との対話

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これ程沢山の祓い太刀をされたのは、初めてではなかったか、と思います。
いつもより、丁寧に刀の手入れをされておいででした。

何度も受けている祓い太刀ですが、この日は更に威力が増していて、ズドンという衝撃がきました。

この日最初にお会いした時の先生の清明な印象は、更に増し、自分も含め、受講された方々の響きにもうつっていたような気がします。
懇親会も少人数だったせいかよりディープな話題で盛り上がりました。

翌日のお疲れが心配だったのですが、Xで以下のように仰ってくださっていて、とても安心しました。

(引用開始)
『昨日は朝起きた時どうしようかと思うほど気分も悪く、体調が良くなかったが、昨夜、鶴見であった音楽家講座は、私自身にとっても体の調整になったのか、何かが祓われたのか、今日は昨日とは打って変わった調子の良さ。

一人で剣術の稽古をしたくなって木刀を様々に使ったが「今までこれほど気持ちよく木刀を使えたことがあっただろうか」と思うような動きが出た。』(引用終わり)

ご参加くださった皆様、お手伝いくださったNさん、会場スタッフの皆様、
甲野先生、本当にありがとうございました!

次回は11月28日(木)となり、年内最後の音楽家講座となります。
どうぞよろしくお願いいたします。 白川真理