『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
    そして
  日々の出来事など

フルート奏者・白川真理

西園美彌 先生 個人セッション 第2回目 1月31日(火)

2023-01-31 16:50:51 | 魔女トレ
様々な方達から求められていて、とてもお忙しい美彌先生。
そのような状況下、貴重なお時間を割いて、やっていただいているのでは?と恐縮しているのですが、2回目の魔女トレ・西園美彌先生による個人セッションでした。

1回目は昨年8月で約5カ月ぶり。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1983086129&owner_id=4088413

今回はまず歯の相談。
実は昨年末から右下奥歯に水が沁みるようになっていて、知覚過敏?と思いつつ歯医者さんに行ったら、なんと虫歯に。

右下の親知らずが横向きに埋まっていて、その影響で隣の奥歯が下から虫歯に・・というレアなケース。

ドイツ留学する前に、万が一に備えて、親知らずはみな大学病院で抜いて処理済み、とばかり思っていたけれど、そういえば、横向きで埋まっていて下顎の神経とも近く、やっかいなところなので、今のところ、悪さもしそうにないので、とりあえず、このままで様子をみましょう、という話になっていたかもしれない・・・となんせ40年近く昔のことでうろ覚えですが、そんな気もします。

というのも、左下の親知らずを抜いた後が大変で10日くらいつばも飲み込めない程痛かった・・それで、右はもういいです、となったような気もする・・

そんなこんなで、すっかり忘れていたのでした。
そいつが、今頃になって・・

冬休み前、ギリギリに間に合った歯医者さん。
麻酔をしてガリガリして神経をホジホジして‥という治療は、一度で終わらず、どうも、歯の神経が一番細い針よりも細いので、大変なのだそう。
既に3回、1時間くらいの治療を受けています。
また今週のあるの。トホホ・・

お陰で、沁みるのは治ったけれど、やはり常にどんよりしていて、体調もいまいち。
フルートもせっかく色々と気付きと変化があるというのに、1時間くらいで、右首筋と肩が痛むので、大事をとって吹くのを、やめている。

この話をしたところ、すぐに、いつも持ち歩いている、という割りばしを3等分に割ったというものをくださって、これを右奥歯に挟んで、歩いてみてください、とのこと。

半信半疑でやってみると、すぐに、重怠い感じだった右側がすっきりとして驚きました。

事前に歯の話など全くしていなかったのですが、ご自身のバランス調整の為にいつも持ち歩いているとのこと。

理由も、かくかくしかじか、とクリアな説明で、詳細な解説は省きますが、本当に不思議です。

フルートも最初は、この歯の影響で右が響いていなかったのですが、不思議なことに最近の中では、一番良い演奏となりました。

吹いているうちに、右も調整できるようになったのがわかる。

これは1回目の時も感じたのですが、美彌先生の前だと、何かしらが伝わってきて、良い演奏になる。これまた不思議です。

・・・甲野先生の前だとあんなに緊張してボロボロになるのにね・・

美彌先生も、「後半から調整が始まって、整ってきましたね!」と。

思い込みかもしれませんが、何かしら、「気」の交流がとてつもなく感じられるのです。
こんなことは初めてです。

そして、最近の行っている奏法を説明して、急に右に負荷がかかり始めたのは、この歯のトラブルだけのせいなのか、もしくは奏法にも問題があるのか?とうかがったところ、
演奏している状態を少し聴かれて、すぐに構える前に右の小指の先端にトントンと触れてまっすぐにしてからいつもの「ここしかない」の腕回しの所作をやるというご助言。

それまでうまくいっていたのが、歯の治療による神経のダメージによって、首が使われなくなったので、それを補うために、小指、とのこと。

やってみると、ポーンと音の抜けがダントツによくなり、右もちゃんと繋がって、負荷が減る。

「・・・・本当に、魔女ですね・・・」

と思わず口をついて出てきてしまいましたが、これまたびっくりでした。

これで片手を消すやりかたがより効果が上がる様にもなった。

そして江平の笛。

昨年末から復活させて稽古はしているものの、やはりまだまだフルートに比べると、難しく、一か八かの不安定な笛。
上手く流れに乗れた時は、ずっと気持ちよく音が伸びるけれど、そうでないと、途切れたり、息が不足したり、とコントロールが難しい。
2月5日の岩城先生の講座の最後で吹く予定の前奏的な小手調べの曲と、それに続いての水月を聞いていただきました。

上記の悩みを申し上げたところ、いいですか?と笛を両手に載せて、数秒。

「この笛は霊力が物凄くあって、それは左側にひっぱる力が強いので、どうしてもそちらに連れていかれてしまいますね。なので、ほんの少しだけ、重心を右にされるといいのでは?」

とやってみると、そのとたん、何の心配もなくスっと音が出てくれるようになったのでした。

さらに、オクターブ上の高音も納得できないことが多いと言ったところ、持つ時に離していた右薬指を付けて、小指を伸ばして離して持つ、というご助言。
・・フルートを持つ時の癖で、キイがないのに小指で持っていた・・・
急に違う笛になったかのように、これで高音もより自由度が増し、クリアになりました。

これでもう一度演奏したところ、
「後半から段々疲れてくるので、最初からではなく、途中から左の肘を上げるといいかも」
とさらにご助言。

もう一度、吹きながら自分の要求で、中間部の高音域のところで、これを試すととてもうまくいきました。

「先生、このフルートも持っていただいて良いですか?」
と初代ロットをお渡しする。

これまた霊力のある笛なので、コロナ前などは、笛吹き同士、フルートを交換して「どれどれ?」みたいなことは気軽にやっていたのですが、この初代ロットに関しては、それはできなかった。というか、人に触れさせたくなかった・・
笛の機嫌を損ないそうなので。

なので、私以外では、修復された秋山さん、リペアマンの綾部さん、師匠・植村先生。そして甲野先生、陽紀先生・・だけ。

そして本日、美彌先生の手の上にしばし収まるロット。
居心地が良さそうだった。

「この笛もあの竹笛程ではありませんが、やはり霊力がありますね。でも笛だけのバランスはとれている・・・」
としばし探るような感じになって

「これは縦です!」
私はポカンとするばかり。
「横に横に、という感じがあるので、縦を意識して吹いてみてください。
丁度このあたりから前に向かってスっと線がのびているように」

とウクライナワンピースの胸元を止めているあたりを押さえて仰った。

ビームみたいな感じでいいのかな?とやってみる。

そのとたん、これまた出したことがなかったような深くなんというか雄大だけれどうるさくない音、フルトーンとでもいえば良いのか?それが出てびっくり。

他にも、色々と、今後の指標となるようなお話を伺いました。

私以上に、私の身体で起きていることをご存じの様で、本当に不思議でした。

結論。

やっぱり美彌先生は魔女!!


あと1か月で本番なのに・・と歯の治療のことで、ちょっと気持ちがダウンしていたのですが、すっかり元気になれました。

美彌先生、ありがとうございました!!






溶かしてなくして消す

2023-01-29 00:46:40 | 気付き
3か月前から甲野先生が取り組まれている新たな気付き。

両手が協力し合うのではなく、片手は消す。

大将は一人。


という教え。


これをなんとかフルートにと色々と試みてきた3か月でしたが、どうも今一しっくりこない。

ママレードの蓋はすぐに開けやすくなったのだけれど・・・

フルートを吹いている時間の方が、ママレードの蓋を開ける時間より断然多いせいかもしれないけれど、元々、蓋を開ける時の様な力みとは無縁だったせいもある。

片方の力をより抜こうとしてしまうとダボダボになって、抜いた半身の響きが失われてどうも気に入らなかったのだ。

という訳で、一知半解なまま取り入れようとして自滅するよりは、とずっと棚上げにしていたのですが、先日の音楽家講座でのウクレレの方のお試し演奏で、なるほど!
と感じたのと、新たな先生の言葉「溶かしてなくして消す」という言葉、そして別の次元の世界に置く、というような意味のお話から、ようやく・・

講座が終わった時点ではまだ漠然としていた。

ウクレレやギター、ヴァイオリンは右手と左手の動きは全く異なるものだけれど、フルートは両方共にキーを操作する似たような動きだし・・

それに、そもそも右と左と、どちらを消すのが良いのか?

私は左を保持の基本としているので、右を抜いたほうが確かに指の動きは良くなったけれど、ひびきがなあ・・

と、この時も悩んでいた。

でも、ウクレレという楽器のことを考えると、どちらも抜き過ぎてしまったら、そもそも演奏は不可能だ。

左手で弦を押さえ、右手で弾く。

最初に95%と5%という比喩を聞いて、ただ物理的に力の入れ具合を変えようとしていたのが失敗の原因だったのだ。

それは「内観」によるものだからこそ、効果がある。

左右の手の圧は同じ。
でも内観で「溶かしてなくして消す」ということで、その音色と響きは、本当に素晴らしいものに変化するのをウクレレのお手本で知った。

そもそもイメージはわかるけれど「内観」のハードルは高い。

自分が「内観」出来るとは到底思えない。

なので、内観のお話をうかがっても、ちょっとスルーしてしまっていたようなところがあった。最初からあきらめていたので。

甲野先生は「音楽家の人達は、こうしたことはやれるのではないですかねえ」と日頃よく仰っているけれど、やはり私にとっては???だった。

それが、ともかく、現世の物理的な話ではなく、違う世界のものなのだ、と認識したことで、モドキかもしれないけれど、別世界が登場したのでした。

そして、それをお伝えした生徒さん達も、みな同様に・・

催眠術か?と思う程で。

右をなくして左だけの時は、自分の正面から華やかな音が朗々と響き、
左をなくして右だけの時は、自分の中に音が入り込んで、それが身体から出て行くという幽体離脱的な不思議な別世界から聞こえてくるようなしっとりとした響きとなりました。

何もせず両手が働いている時、つまり今までのやり方は、全て現実世界の音。

・・・わかりにくくて申し訳ないけれど、聞いていただければ、その差は歴然・・

曲想によって、この左右を使い分けると、より表現の幅が広がりました。

音色のパレットが急激に増えたし、没入する感覚となったのも不思議です。
なんせ、この世の出来事という感じがしないので、緊張とかとも無縁かも?
一種、自分を飛ばす、アシスタントに徹する、という時の感覚にも似ている。

まだこの操作をするのに結構時間がかかるし、まだレッスンなどで吹く時、うっかりすると両手のままで吹いてしまって、「ごめんね、ちょっと気に入らないのでやり直させてくださいね」となることもあるけれど、それはつまり今までのものと全く違う、というのと、今の片手方式の方が断然いいね、というのを身体が認識しているからこそ。

身体の状態としては、両手だった時は背中が混線していた感じだったのが、片手だと、綺麗に整って「整列!」という感じ。

整列しているのは、ギュスターヴくん。

先日、新聞記事で初めて知って、すぐに絵本を買いました。
ちょっとボッシュの画集を眺める楽しさにも通じてる。

毎晩眺めているせいか、フルートで片手にすると、すぐにワラワラと背中に整列し始める。

頭は猫で、6本の足はタコ、2本の手はヘビ、という・・キメラ?


エジプトの神様にも、頭がワニ、上半身がライオン、下半身がカバのアメミット神というのがあったけれど・・・怖い動物大集合なのも、審判の時、悪人の心臓を食べちゃう神だから、まあ妥当な組み合わせだ。

でも、猫にタコ???蛇??
猫はまあ、実際、「液体」と呼ばれるくらいに、にょろにょろっともしているので、タコや蛇っぽい感じもあるのかな・・?


ワニもリアルで素晴らしい。

著作権の問題もあるので、整列している絵の写真は撮れないけれど、こちらです。
カテゴライズなんてしなくても、もうどうでもいいじゃん、という感じが好き。

https://www.hakusensha.co.jp/books/9784592762003



第125回 音楽家講座~甲野善紀先生を迎えて~ in鶴見 1月23日(月)

2023-01-26 01:41:10 | 音楽家講座・甲野善紀先生を迎えて
(お話)
(剣術に関しては)50年前、鹿島神流の検証をしながらやってきていたが、
2008年5月3日、韓競辰師とお会いした折、刀の柄は船の舵の様なものだから、と、両手を寄せて持つ持ち方を提案され、やってみたそのとたんに、背中がもぞもぞと変化するのがわかり、それ以来、ずっとこのやり方となった。

昨年11月6日に整体協会の野口裕之先生から、「片手を絶対に使ってはいけない」という整体での話を聞き、「刀も片手はないようにするのが良いのでは」と提言を受ける。

片手がもう片方の手を邪魔しないように、ただついていくようにする。

今回、こちらの方が絶対に良いのがわかっているのに、3か月経っても以前の良くなかった方が身体はやりやすい。

こんなことは初めて。

「巧拙無二」の土田昇氏によると野村貞夫という名人大工はのこぎりをひくとき、左手は持たずにただあてて使っていたという。

これは芸事でも同じだろう。

片手だけの時も、反対の手を手伝わせて、ということが通常良いことのように言われているが、それがダメ。

「内観」とイメージは違う。

(野口先生から聞いた話だが)火傷をすると仙骨周辺に三角形が出るが、自分の家が火事で焼けても、同様に三角計が出た人がいた。心が火傷したのが身体に出る。

(この片方を使わないというのは)「溶かしてなくして消す」内観。

高校生の(反抗期の)娘に対して、母親が露骨に手伝うとだめだが、それと判らぬ様に助けてやると良い。

安易に左右を同等に使うことが問題だ。

『願立剣術物語』に「大将は一人で良い」という意味の教えがあるが、
「師の引導に従って脚は手に引かれ」
「左の手を働かせること莫大な非なり」
ともある。

近代の合気道では、左右平等、対象の稽古などもあるが、
玄能作者第一人者の長谷川幸三郎などは、左が主だったそうだ。

「科学」は精妙なところには追い付いていない。

(実践)
(木刀で)

左手が通常に右手に協力して木刀を持ったものと、そうでないものの違い。

そうでないもの・・左手がこの世から手伝っていないような感じで。

明らかに、威力が増し、相手が崩れる。


(手刀で)
通常は、一見、片手しか使っていないようだが、反対側が手伝っている。
それをやめさせる。



今やっていることと違う働きで手伝わせるともっと効果が・・

筋トレはそこそこの効果はあるが、このような質的変化は得られない。

影の世界、言葉にならない世界にますますなってきた。
これからどうなるか全くわからない。
普通の鍛錬とは全く別のやり方。
それをなんとか見つけていければ・・・なんとかなるのかな?

(今まで培ったものを)どう壊していくか?
ただの反復練習とは絶対に違う方法がある。

回数さえやれば、というのは安易な発想。「待ちぼうけ」

「努力」も安易な発想。
本質的な上達を妨げる。

努力で身につけたものは「めっき」みたいなもので、剥がれてしまう。

世の中全般と全く違う、超少数者。

「正しい~」と言い張るところ程、いい加減なものが多い。

前衛ダンスは本質的なものと、(それとは似て非なる)浅いものとの区別がつきにくいが、武術は「技」で出るから、それがはっきりとわかる。

今の常識を根底から考え直す。

かつての達人は刀の先をほんの少し動かすだけでヒュンヒュンと音がしたらしい。

人として生まれているというのは、可能性があるということ。

低いレベルに留まっていたら、身体に相すまぬ。

人生のシナリオは色々。基本を誰かに習うという発想それ自体がおかしい。
自然に身に付く母国語の様に、習った記憶がないのに、いつの間にか身に付いて、というのが良い。

努力していることに負い目と嫌悪感を持つこと。

・・・嫌悪感は努力しては持てない・・

「努力が大事」は恥ずかしい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(個別指導)
1.ウクレレ
普通に両手で、左手を消して、右手を消して での実践。

毎回大きく変化。


2.ダンス
肩甲骨を上手く使えるようになりたい。

浮きをかけるための稽古法。膝を抜いてパっと沈み90度回る稽古。
大概は時間を稼ぐために上にジャンプしてしまうのだけれど、それをしないように、
下がる一方の中でやる。

肩甲骨は翼の名残。


3.シタール
上2本の弦の響きが自分の中で気に入らないので、それをなんとかしたい。

指紐で大きく変化。



4.ヴァイオリン
演奏時の姿勢などご助言いただきたい。

弓を持ったまま肘を身体中央に寄せて手首から先をダラッとしてから肘を返して弾く。

加えて右手をぐるっと左耳を通過するように回してから弾く。

一回目でも大きく変化。二回目でさらに艶やかに。


5.フィドル(演奏ではなくメンタル面の相談)
緊張したり夢中になるとはを食いしばる癖があるのでなんとかしたい。
過去(のトラウマ等?)を忘れたいと思えば思う程、思い出している。

祓い太刀。


6.茶道
歩く時や袱紗捌きの時の所作を観ていただきたい。

丸紐の四方襷を左右どちらを最初にするかで、身体は大きく異なる。
こうした違いを茶道の稽古の中で感じていくようにする。

普通に左右均等に歩くのではなく、片足先行で数歩歩くと、何歩目かで、先行する足を変えたくなる。人によって歩数は違うが、このような歩き方をして観察してみる。



・・・・・・・・・・・・・・・・・

(所感)
ここ数日の旅のお疲れのご様子も全くなく、とてもお元気そうなのは、やはり大きな技の変革の最中だからなのでしょうか・・・

元々が少数派なのに、さらにディープな少数派に。
今後の先生の進展、展開が楽しみです!

この左右の手が協力し合わない、という術理は、ママレードの蓋を開ける時には役だったのですが、中々フルートで取り入れるのが難しく、棚上げ状態にしていました。

でも今回の講座で大きなヒントを沢山いただきました。
これは参加された皆様も同様かと思いますが、常連のウクレレ奏者Tさんによるその場での先生の術理の実践での大きな変化に刺激されたのではないか?と思います。

ようやく本日25日夜に、この応用で大きな変化が!大きく響きも変化し、背中がとても爽やかになりました。(詳細はまだ後日)

やはり楽器演奏での具体例、というのは音で身体に沁みてくるので、とても分かりやすい。

実際、木刀で撃ち合う時も、相手の崩れ方だけでなく、木刀の撃ち合う響きの変化にも驚かされました。

・・・打楽器などは、これを見るだけでも大きく変化できるのではないかな?とも思いました。

最後の歩き方の稽古にもびっくり。
これでわかったのは、私はいつも左足先行で歩いていた、ということ。
右足先行に全く切り替わらなかった。もしや歪んでいるのか?それともフルート奏法の姿勢からの影響か?左軸、という思考製造の残滓のせいか?等々考えさせられました。

人気のないところで、この歩き方は今後も試してみたいと思います。

参加された皆様、会場スタッフの皆様、スタッフの忍者・五十嵐くん、鈴木さん、そして甲野先生、ありがとうございました!

次回は2月20日(月)です。どうぞお越しくださいませ!

右腕

2023-01-20 21:56:03 | 気付き
昨日、電話で、急遽とある音楽家の方の内輪の追悼会コンサートへのオファーをいただきました。

ずっと海外で活躍し、多くの著名な音楽家のお弟子がおいでだった方。

私には全くご縁がなかった方ですが、その方と深い所縁のある方からのご依頼で、「水月」を吹いてほしい、とのこと。そのお気持ちが有難く、急遽、私も参加し、演奏することになりました。

その折、ふと、フルートが吹けなくなってしまわれた方のお話が出ました。

所謂、フォーカルジストニア。

専門家ではないし、心の領域も関係するものだから、迂闊な事は言えないけれど、これは他人事ではなく、自分にとっても、誰にとっても起こりうる問題だと思う。

楽器演奏自体が、不自然な構え方や動きを長時間強いるもので、それも「本番」という失敗が許されない毎回の真剣勝負の緊張の中、行われているのだから。

第一線で活躍していればいるほど、このリスクは増大するのだろうと思う。

寝る前に、もし直接助言を求められたら、そして以前よりは依頼の本番が増えてきている自分にとっても、こうした状態にならないようにするには、どうしたら良いか?とふと考えた。

結論は、もちろん甲野先生の下、ずっと取り組んできている滞りのない心身奏法で、というものだけれど、まだまだ、沢山の「病」がおびき出されてきている現状。

今は右腕と肩周辺が課題。

「ここしかない腕」、つまり「腕のフック化」によって、激変した響きだけれど、人前でこの動きをするわけにはいかず、舞台袖でこの動きをして、感覚を覚えておいて、舞台上では掬い手で持ち上げてから右手をすべらせながら回転させてキイの上に置いて、とやっている。

この最期に指をキィに置くために手首を回転させる時のごくわずかな滞りが昨年末くらいからずっと気になっていて、なんとかしたいなあ、と思っていたのだけれど・・

つまり、これをそのままヨシとして放置していると、場合によってはジストニアの原因にもなりかねないよね、と思えたのだった。

フルート奏者のジストニアは口元に起きることが多い。
吹こうとすると震えてしまう。

私も学生時代、そして演奏活動をするようになった後も、今の奏法になる前は、何度も震えて大失敗、という経験がある。

それがジストニアまで至らなかったのは、おそらく本番回数も、練習時間も圧倒的に少なかったからではないか?と思う。

口元への対処方法なども色々考えられるけれど、それ以上に腕、肩、首の取り扱いというのは、とてもこの口元周辺にも影響を及ぼす。

そんなことをつらつらと考えていて、ベッドの中で腕だけで試していて、すぐに閃いた。

多分、実際にフルートを持っていなかったから良かったのだと思う。

それまで、私はフルートの天地を勝手に自分で決めて、それを動かすことなど微塵も考えていなかったのね、ということを発見してしまったよ。

半世紀吹いてきて、やっと。

なんと愚かなこと、と茫然としてしまった。

あのフルートの厚みを最後にヨイショっと指でまたぐときに、思いっきり発生していた滞りの芽。それは時間と共に育ち、筋肉を疲労させ、響きの邪魔をし、パフォーマンスを低下させる。

フルートを手前に回せばいいんじゃん!?
フルートのキイの方から指下に来るようにしむける。
フルートと手指が繋がったところで、再び外に回して口元に当て直す。

ということで、久々に上機嫌な目覚めとなった本日でした。
右肩がラクチンで、微妙にあった口元の滞りも解消されて、また新たな世界に。

こうした些細な事が、とても嬉しいので、やめられない・・




脚線美

2023-01-17 20:15:53 | ピピ
ピピの最近の一番のお気に入りの場所は楽譜棚の上で、法螺貝を押しのけて、いつも夕食後は、ここで休んでいます。
ムニュ~っと後ろ脚を伸ばしたところ。





開脚して毛繕い。
所謂、「おっさん座り」もサマになってきました。





軽井沢彫りの箱の上も時々座っている。
ちょっとツタンカーメンのアヌビスみたいです。
やや太めですが、尻尾が似ている。